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2006年3月26日 (日)

デベロッパーへの質問状を〜回答

昨年末から今年の年始にかけて、取材をしておりました「デベロッパーへ質問状を」ですが、私的な理由により中断しておりました。
読者の方より問い合わせをいただきましたが、(*1私の私的な理由によって)まだ回答をいただいていない社があることや、依然として取材できない状況であることなどから記事を書くことができませんでした。
取材できる環境がようやく整ってまいりまして、デベロッパーへの質問状についてはどのタイミングで記事をUPするかなどを検討する前に、本日一読者である鮫島さんがわざわざ新しくブログを作ってまでして私へご質問くださり、それだけ社会での関心が高いものだと判断しましたので、現時点で回答をいただいているものをご報告します。

【 質問の内容 】
1.偽造問題発覚後、貴社内で耐震構造の再確認はなさっていますか。
2.なさっているのでしたら、具体的にどの様な方法で行われているのですか。
3.再確認の結果、問題点は見つかりましたか。あればどのようなことかも教えてください。
4.問題点があった場合、貴社者内で具体的にどのように是正するのですか。

【 現時点でいただいている回答 】

● 三菱地所株式会社
回答日:2005.12.27
1.行っている。
2.当社が分譲を行ったマンションについては、各設計委託先より、適正な構造計算に基づく設計であることの確認を得ている。
また、今般、建築確認業務が民間検査機関に開放された1999年5月4日(改正基準法施行)以降に民間検査機関において建築確認を取得し、当社が単独もしくは幹事会社として分譲を行ったマンションを対象に構造計算に係る再調査を行う。
3.見つかっていない。
4.仮定の質問にはお答えできない。

● 三井不動産株式会社
回答日:2005.12.27
1.当社では、信頼できる建設会社、設計会社に設計・施工を依頼し、また、当社技術スタッフが品質管理、施工管理を行っており、耐震性能を含めた品質について充分に信頼に足るものだと考えています。しかしながら、今回の耐震強度偽造問題を受けて、お客様から安全性についてお問い合わせをいただいていることもあり、お客様のご不安をやわらげるため、民間機関に建築確認審査が開放された平成11年5月以降に民間機関で建築確認を取得した物件を対象に、当社技術スタッフによる再チェックや、発注先の建設会社、設計会社に構造関係の再確認の依頼を行っています。
2.上記のとおり、構造図面や構造計算書の確認などを行っています。
3.現在、上記1のとおり、再確認中ですが、現在のところ、特に問題となるようなことは見つかっておりません。
4.当社では、従来より、信頼できる建設会社、設計会社に、設計・施工を依頼するとともに、当社技術スタッフが品質管理、施工管理を行っております。今後とも、法令関係の遵守はもとより、当社独自の品質管理体制によるチェック等、品質管理に万全を期し、お客様に安心して暮らしていただける住まいづくりに努めて参ります。なお、万一の場合においても、品質については、当社が売主として責任を持って対応させていただく所存です。

● 住友不動産株式会社
回答日:2005.12.22
1.実施している。
2.姉歯との取引確認は96/4以降の物件で実施し、一切関係がないことを確認。
さらに、99/4以降の竣工物件で偽装があるか否か、元請設計会社に対し再確認を指示。
3.無し。
4.問題がない現状で、あった場合の具体的コメントはできないが、構造上の瑕疵が発見された場合は責任をもって対応する所存です。

● 野村不動産
回答日:2006.1.10
1. 下記の通りになります。
2. ・平成1年4月以降竣工物件につき、今回の偽装事件当事者との関りの有無を確認
  ・平成12年4月以降竣工物件で民間検査機関で建築確認を行った物件について、構造計算書の再確認を実施
3. 問題点はありませんでした。
4. 問題にも個別性があり、一概にはお答えできませんが、その場合は責任をもって対応する所存です。

● 株式会社ジャパンコープレーション
時間的な余裕がなくて取材は受け付けられない。

● 東急不動産株式会社
回答日:2005.12.16
当社の顧客へは個別に対応している。
1.再確認しています。
2.現時点ではお答えできません。
3.現時点ではお答えできません。
4.時点ではお答えできません。

●リクルートコスモ
回答日:2005.12.26
1.1999年5月以降の民間及び自治体にて建築確認申請が受け付けられた分譲マンションについて再点検を行っております。
2.第三者である構造専門機関による再点検を行っております。
3.現時点における再点検の結果では「問題点が無い」旨の回答を得ております。引き続き再点検を進めて参ります。
4.現時点において「問題無」ですが、万一、今回の件にかかる問題(構造計算書偽造等)が判明した場合は弊社の責任において対応させていただきます。

● 伊藤忠ハウジング株式会社
回答日:2006.1.12
先日依頼がありました、アンケートについてご連絡申し上げます。
「構造計算偽造」問題の事実が明らかになっていないので、現時点では、回答を差し控えさせていただきます。
貴殿のみならず、他の取材に対しましても同様に対応させていただいてますので、何卒ご理解賜りますようお願いも申しあげます。

● 丸紅株式会社
回答日:2006.1.11
1.実施した。
2.・当社物件につき、事件当事者との関わりの有無を確認。
  ・構造計算書を再検査。
3.見つからず。
4.問題点なしの為、対応策は特にとらず。

● 双日土地開発株式会社
回答日:2005.12.27
1.民間審査機関の全案件のチェックを行っている。
2.外部の専門家による構造計算書及び設計図のチェック。
3.現在までのところ、無し。(件数も多く、作業時間が相当掛かるので作業の途上です。)
4.無い事を確信していますが(再チェックはあくまで連日の報道により民間の審査機関の信用が失墜した事による顧客不安の解決が目的)、万が一あった場合は適法に適正な処置を講じます。

● 株式会社大京
回答日:2005.12.25
1. 現在、実施中です。
2. 建築確認の民間代行が認められた1999年5月以降に、民間および特定行政庁により
建築確認が下付された物件(約600棟)を対象に、建築確認機関または元請設計事務所に対し、再確認を依頼しております。
3. 現在までのところ、偽装等は一切判明しておりません。
4. 万が一、問題点があったとしましても、その内容、程度、原因等により異なってまいりますので、その物件や事例に応じて対応してまいります。

● ダイア建設株式会社
回答日:2005.12.26
姉歯建築事務所による「構造計算書偽造」事件について
姉歯建築設計事務所による「構造計算書偽造」事件について②

耐震強度偽装事件に関するアンケート
質問に回答の前に
平成17年11月17日以降マスコミ各社で報道されて降ります「構造計算書偽装」事件につきまして、弊社では姉歯建築設計事務所とは一切取引が無い事を11月18日にお知らせいたしました。
また、平成17年11月28日に続報といたしまして、下記内容もお知らせいたしております。
・国土交通省より公表されております企業につきましても、一切取引きが無い事を確認いたしましたので、改めてお知らせいたしております。
・一般的に建築主は当該建築物については、建築基準関係規定に適合されているかを建築主事、または、国土交通大臣・都道府県知事が指定した者に確認の申請を行い、適合していると確認されると確認済証の交付を受け、工事を完了したときに検査を受け、検査済証の交付を受けます。弊社の分譲いたしましたマンションは、全てこの手順通りに申請・施工・完成し、お客様にお引渡しをしております。関係法令を遵守することはもとより、今後ともお客様に「安全」「安心」「快適」な住まいづくりに引き続き努力していく所存でございます。

現段階で、耐震強度偽装事件についての状況が流動的であり、現時点におきましては、個別のお客様や管理組合への対応を最優先に取り組んでおりますので、お問い合わせいただきましたアンケート等への回答はお応えいたしておりません。
ご理解いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

● 藤和不動産株式会社
回答日:2005.12.26
1. 構造設計図書(構造計算書を含む)に問題がないかの再チェックを行っています。
2. 社内の技術部門および社外の構造コンサルタント会社で再チェックを行っています。
3. 現在調査中です。現時点で調査が完了している範囲内では問題点はありません。
4. 現時点では問題点はありません。万一問題が判明した場合は、売主の責任において対応します。

● 扶桑エクセル株式会社
回答日:2005.12.28
1.実施している。
2.1983年よりマンション分譲事業を行っておりますが、過去にお引渡しした全てのマンションに関して当社、および設計事務所にて構造計算の再確認を行っている。あわせて民間検査機関へ建築確認業務を委託した物件については、再度民間検査機関または行政検査機関へ構造計算書の再確認を依頼している。
3.問題はない。
4.問題点を正確に把握し、お客様が安心してお住みいただけるために必要な対応を迅速に行う。

● 近鉄不動産
回答日:2006.1.5
1. 平成11年4月以降の竣工・工事中物件に関して、設計事務所および民間検査確認機関
と再点検いたしました。また、顧客の皆様によりご安心いただけるよう、第三者機関による
再点検を実施中です。なお、詳しくは当社ホームページ http://www.kintetsu-re.co.jp  をご覧下さい。
2. 構造計算が適正に行われていること、および図面が計算結果に基づいたものであることを、確認します。
3. これまでに問題点は見つかっておりません。
4. これまでの確認作業で問題点はなく、今後も具体的な問題点があることは想定しておりませんが、建築基準法等諸法令に適合したマンションをご提供することは、事業主としての責務であると考えており、今後とも真摯に取り組んで参りたいと考えております。

● 株式会社 新日鉄都市開発
回答日:2005.12.23
1.構造計算書の再確認を実施中
2.設計事務所による再確認
3.なし
4.-

● ナイス株式会社
回答日:2005.12.26
1. 建築確認業務が民間に開放された平成11年5月以降のマンションについて、イーホームズ、東日本住宅保証センター、日本ERIが関与した60物件と、その他の機関で建築確認を行った現在着工中の11物件につき、再チェックを実施。
その他の物件については、姉歯建築設計事務所が開業した平成2年にさかのぼり、構造設計において同事務所が関与したか否かのみ確認
2. ①担当した構造設計事務所による自主点検(すべて問題なしとの回答)。
②ほかの構造設計事務所(第三者)によるチェックを順次依頼中。
3. 問題は見つかっておりません。
4. 万が一、構造計算書に問題(偽造)のあるマンションが見つかった場合は全戸買い戻す方針です。
平成17年11月11日付リリース
「震災対応型マンション」を横浜市港南区で建設
〜地震発生時と地震発生後の「対震」に注目〜

■ニュースポイント■
・ ナイス株式会社(社長・平田恒一郎、本社:横浜市)は、横浜市港南区で計画中のマンション「パークフロンテージ港南台」(総戸数99戸、平成18年8月完成予定。セントラル総合開発株式会社との共同事業)において、地震の被害を軽減する「免震構造」を採用するほか、災害発生後のライフラインにも配慮する「震災対応型」のマンションを開発いたします。
・ ナイス株式会社では、地震発生による対策について独自の「対震」という視点に立ち、地震発生時と地震発生後の2つの側面に分けて整理し、その必要性を強調しております。地震発生時の対策として、積層ゴムやすべり支承で震度7の揺れを震度4に軽減する「免震構造」を採用することで、お客様へ建物構造面の安心を提供するとともに、地震発生後の備えにも着目し、「オール電化」「蓄電池」「ソーラー照明」「雨水利用」「非常用トイレ」など、災害発生後の生活までを想定した設備を積極的に取り入れました。
・ 阪神・淡路大震災や新潟中越地震など、大地震が発生した際の復旧において、電気はその他のインフラより復旧が早かったという実績がありますので、標準装備された「オール電化」「エコキュート」は災害発生時に大変有効な設備となります。また、災害発生時には貯湯タンク内の水約370リットルを各住戸ごとの生活用水として利用することができます。
・ 「蓄電池」「ソーラー照明」に関しては、一部の電灯やライフラインコンセントの電源として利用することが可能となります。更に、約4,000リットルの水槽を設置し、「雨水をためる」ことで共用の生活用水を確保するとともに、居住者用の「非常用トイレ」の設置により、災害発生時における地域環境への負荷を軽減いたします。
・ ナイス株式会社は、住宅資材販売部門において「住まいの構造改革」を掲げ、昭和56年以前の旧耐震基準で建設された一戸建住宅の建て替えを促進し、住宅資材の納入を通じて全国的に地震に強い家づくりの必要性を訴えており、自社で供給するマンションに対しても、これまで首都圏や仙台市、浜松市で12物件の免震構造マンションの実績があります。今後は、免震・強耐震(建築基準法に定める地震力の1.25倍以上の強度)を標準採用することを決定し、これから計画および建築確認申請を行うマンションに随時導入する方針を明確にしました。また、一戸建住宅の供給においても、集成材と建築接合金物による「パワービルド工法」を採用し、「強い家」をコンセプトに、全社をあげて地震への取り組みを推進しております。
・ 「対震」とは地震発生時に「倒壊しなければよい」というのではなく、「災害から家族を守る」ための住宅の提供を目指す考え方であり、今回の震災対応型マンションのように、さらに多角的な視点で入居者の安全・安心を追求してまいります。

【「パークフロンテージ港南台」物件概要】
・所在地:(地番)神奈川県横浜市港南区港南台1-4
・交通:JR根岸線「港南台」駅徒歩11分
・構造・規模:鉄筋コンクリート造地上7階建
・敷地面積:3,778.98㎡・建築面積:2,130.70㎡・建築延床面積:9,355.41㎡
・総戸数:99戸・住居専有面積:68.70〜84.42㎡・予定最多価格帯:3,600万円台
・完成予定:平成18年8月下旬・入居予定:平成18年9月下旬

● 森ビル株式会社
回答日:2005.12.26
1. 実施しています。
2. 社内の構造設計担当者による耐震安全性の再確認。
ならびに、今回の偽造問題に関連する設計事務所、施工会社への発注実績(下請けも含め)の確認。
3. 問題点はありません。
4. 弊社では、物件の計画段階から、設計段階、施工段階、そして竣工後の維持管理に至るまで、  一貫、継続して専任の技術者(構造設計部門)が責任を持って品質管理に努めています。
弊社の事業の特色である都心部の再開発においては、耐震性の劣る老朽化ビルや木造家屋を、耐震性の高い建物へ更新することが大きな目的のひとつです。
「地震や災害に強い都市づくり」を企業理念のひとつに掲げる弊社では、免震構造、制振構造など最新の耐震技術を積極的に採用し、耐震性の高いビルを社会に供給しています。

● 平和不動産株式会社
回答日:05-12-29
1.建築確認業務が行政から民間機関に開放された平成11年5月1日以降に当社が着工したマンションについて調査した結果、姉歯建築設計事務所との取引関係が一切無いことを確認いたしました。
耐震構造の再確認は、販売中のマンション並びに直近で引渡予定のマンションについて行っております。
2.再確認については、第三者の民間審査機関、設計事務所等に依頼しております。
3.現在、再確認中のため結果は判明しておりません。
4.万一、耐震強度に問題があった場合は、売主として責任をもって対応いたします。

● UR都市機構
回答日:2005.12.28
姉歯設計事務所による構造計算書偽装の件につきましては、
調査した結果、当機構が供給した住宅(機構(旧公団)賃貸住宅及び旧公団の分譲住宅)
では、設計に当該事務所は関与していないことがわかりました。
なお、当機構では従来から設計おいて構造計算書や構造図を自らチェックするなど
安全性の確保に努めております。

                              
以上
まだお返事のいただいていない4社については、明日から回答の確認作業を行っていきます。
また、私的な都合で取材が中断してしまい、ご協力くださった社へは大変ご迷惑をおかけしましたことをお詫びします。

*1 読者からの指摘で、協力企業の提出が遅れていると誤解されかねない表現になっていましたので、言葉を追加いたしました。2006/4/12

<文責/泉 あい>

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