ビデオニュースドットコム、オーバーチュアを提訴
26日午後、「ビデオニュース・ドットコム」を運営している日本ビデオニュース株式会社が、検索連動型広告のオーバーチュア株式会社を東京地裁に提訴しました。
検索連動型広告というのは、検索エンジンのキーワードに対応したテキスト広告のことで、オーバーチュアは、「Yshoo」、「OKWeb」、「NIKKEI NET」、「MapFan」、「MSN」、「フレッシュアイ」、「Cafesta」、「Asahi.com」、「@woman」と提携しており、googleと共にその双璧を成しています。
例えば「Yahoo」でキーワード検索をすると、検索結果のページに「スポンサーサイト」という表示がありますが、それが検索連動型広告です。
ビデオニュース・ドットコム代表の神保哲生さんは、検索連動型広告について「今非常に伸びている広告」と言います。
「そもそもそのキーワードについて知りたくて検索をしている人に対する広告なので、マスに対して出す広告よりもヒット率が高いという特徴を持っています。
また、クリックされて初めて料金がかかるということと、どのくらいクリックされるかわからないので、毎月最大でいくらまでという上限金額を設定できるという面で、商品としては使いやすいし優れていると思います。
ネットビジネスでは、上位表示されるということが非常に重要で、今は上位表示されるためにSEO(Search Engine Optimization)に投資して研究しているサイトもあるような状況ですが、うちみたいな小さなところは、マンパワー的にも時間的にも厳しい。
そこで、ビデオニュース・ドットコムがニュースサイトということもあって、検索エンジンに表示されるまでにタイムラグがあり、今ニュースになっているものを今出しているのに、今検索しても引っかからないのは残念。それに対して広告は、申請して審査さえ通ればすぐに出るので、タイムリーなオーディエンスに対してアクセスできるということ。それから、何と言っても、検索の一番に上に出るということで、広告としての非常に有効性が高いと判断していますし、売り上げデータを見ても、広告を出してから明らかに売り上げ等に反映されています」(要約)
と神保さんが言うように、ネットビジネスに於いて検索連動広告が必要不可欠になりつつあるようです。
【 経緯 】
2005年 3月30日 契約
2005年 5月〜 特定のキーワードがはじかれるようになった。 (例)憲法改正(土井やか子さんと憲法9条改正について議論をした時)、靖国参拝(反日デモが起こっていた頃、加藤紘一さんと靖国参拝が問題であると議論した時)
「拒絶の理由を教えて欲しい」とメールで出し、最初は「特定の政治団体・個人を誹謗中傷するような内容が見受けられたため、弊社ガイドラインにより、掲載をお受けできないと判断させていただきました」と言われ、「どこが誹謗中傷なのか」というやり取りが続いた。
その後、誹謗中傷は撤回されたが、「特定の組織・団体への批判と見受けられる表現があるとの判断に至ったため、掲載をお断りしている」とのメールが来たので、「どこで批判をしているのか」等のやり取りをしている内に、「契約上どことは言わなくてもいいことになっている」尚且つ「キーワードをはじくのではなく、サイト自体弊社がお受けできないと判断させていただいた。批判広告の掲載はお断りしており、情報をお求めの検索ユーザーに対し、特定の組織・団体への批判が含まれるビデオニュース・ドットコムの記事を「広告」として提供することは不適切と判断」(要約)というメールが来た。実際にいくつかキーワードを登録してみたが全てはじかれ、Yahooに全く広告が掲載できなくなった。
2005年 9月12日 公告の掲載を求める仮処分申請。オーバーチュアが広告掲載を拒絶するに到った理由の妥当性(どこが問題だったのか、何が問題だったのか)を議論。ビデオニュース・ドットコムの番組がオーバーチュアの言う批判に当たるものなのか、その批判が広告掲載を拒絶する理由になり得るものなのか。報道機関というのはいろいろ批判をするものだが、オーバーチュアはTBSの「ギャオ」を出している。TBSとビデオニュース・ドットコムではどこがどう違うのか等の議論は、仮処分の場ではないということなので、本訴に行くしかないと判断した。
2005年12月26日 提訴(仮処分は取り下げ受理された)
【 請求の趣旨 】
1.広告の表示
2.3930万2306円及び訴状が送達された日の翌日から完済するまで年6分の割合による金員の支払い
【 オーバーチュア審査・広告掲載基準 】
○ 薬事法等の関連法規に抵触するおそれのあるサイト
○ ツーショットダイヤル、ツーショットチャット、その他成人向けコンテンツを取り扱うサイト
○ 連鎖販売取引などのビジネスを推奨・紹介しているサイト
○ 宗教団体など、布教活動を行っているサイト
○ 個人情報の売買を行っているサイト
○ 銃器や催涙スプレー等、武器に相当する商品の紹介・販売サイト
○ タバコや脱法ドラッグ等を販売しているサイト
○ その他オーバーチュアが不適切と判断したサイト
【 神保さんの提訴の動機・争点 】
● まともな話し合いをした結果、掲載拒絶の説明を受けられない。説明をする義務がないからだという言い分なのだが、どうも危なそうな言葉は全てはじこうというものが働いているのだとしたのら、「はい、そうですか」という訳にはいかない。
● ここで何もアクションを起こさないと、あたかも不当な批判をしているサイトであるということを受け入れる形になり、「そう言われてもしょうがないね」ということになってしまうことも問題である。ましてや、「誹謗中傷」という言葉を受け入れて広告を出さないままだと、ビデオニュース・ドットコムが誹謗中傷をしているサイトであると容認したようになるということも坦懐できない。
● 検索連動型広告は、Yahooとgoogleで事実上独占しているわけだから、ビデオニュース・ドットコムとして「やはり出してもらうことが大きい」となった場合に、提訴という手立てに出るか、Yahooさんが「これなら出しても構わない」と思うものに、コンテンツを留めておくしかない。つまりYahooに出してもらうために自主規制するか、撤退するしかない。
● 「政治的なにおいが嫌だ」などの理由ではじくのなら、はじけばいいが、その代わり、ここはそういうところなんだと明らかにすることに意味があると思う。なぜならば、検索エンジンに絡んでいるから。検索エンジンをやっているのが企業なので、何をやろうが自由じゃないかという話になるのであれば、検索結果も政治的な理由やイデオロギー的な理由で影響を受けているということをユーザーは想定して利用するべき。正当な理由を言って欲しいし、正当な理由がなければ広告を掲載すべきだと思う。正当な理由もなく拒絶する権利があるのだと主張し、それが契約の自由とか広告なんだということでそれが通るのなら、社会としてはそこには公共責任はないのだということを自ら主張する必要がある。
<文責/泉 あい>
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コメント
グーグルのアドワーズも似たような規約があります。
すべてを明確にすると、別の意味でややこしくなり
そうな気もしたりして、難しいですね。
投稿: 某S | 2005年12月28日 (水) 20時05分
某S さん
ビデオニュース・ドットコムでは、googleにも広告を出していて、一部はじかれているキーワードもあるそうです。
でもサイト自体拒否されているわけではない。
おっしゃる通り、全て明確にすることはできないでしょうね。
拒否する方にとって正当な理由と考えるものでも、拒否される側にとっては納得いかないものでしょう。
だからと言って、大手の検索エンジンを持っている会社がやっていることということもあり、このまま黙認するのもこわい気がします。
投稿: ぁぃ | 2005年12月31日 (土) 10時39分