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2005年10月15日 (土)

記者クラブの表と裏 【取材記26-6/報道番組制作の現場〜テレビ局ディレクターへのインタビュー

10月13日取材

ねつ造・ヤラセの問題をメディアがどう考えているのかを知るために、各主要メディアへ具体的な再発防止策を問う質問状を出し、ほとんどの社から、社員に働きかける研修を行うという回答をいただきまきました。
前回の取材記では、テレビの現場でディレクターとして働く人へインタビューし、一口にテレビと言っても、テレビ局や大きな制作会社の正社員からフリーや派遣の人がいることを知り、雇用形態がねつ造・ヤラセの問題に密接な関係があるのではないかと考えています。
弱い立場で、社員と同じように仕事をしている人の事情を聞き、組織の回答とは全く違う次元のところに問題があるのではと考え、今回はテレビ局の正社員の方にお話を聞いてきました。
報道局での記者経験があり、現在は報道番組のディレクターをしているテレビ局の正社員です。(以下Bさんとします)

一口でテレビ局と言っても、中で働くスタッフの雇用形態はいろいろで、待遇面では大きな格差があると今までの取材でわかっています。ピラミッドの頂点にいるBさんは、外注のスタッフと一緒にひとつの番組を作っていて、彼らとの間に溝があると感じることがないのか聞いてみました。
「それは凄くデリケートな問題なんですよね。仕事する上では全くないと言っていいと思うんですよ。例えばVTRの編集をしたり原稿を書いたりする時などの仕事の分担をする上では、全然違いとかないし、本当に同じ仕事をしてるんです。
ただ、国会の帯用証(国会の中に入るパス)を持ってたりとか、記者クラブに所属してたりとかで、表面的なことはこれくらいの違いしかありませんよって言うのが表向きの答えなんですけど、中で働いている立場からざっくばらんに言うと、やっぱり色々な待遇の差っていうのはもちろんありますよね。同じ仕事をしているのに給与面とかも違うし、それから福利厚生なども違うわけだから」

では、待遇面が恵まれている局員が、その分責任の重さを感じているのか聞いてみると、
「私はそれほど偉くないので。まだそこまで責任を取れるって程のポジションではないのでよくはわかりませんが。実際問題としてはおそらくないと思うんですが、意識の上ではあると思います。
もし自分がそういう責任を取らなければいけない立場になったら、外のプロダクションの人より自分が責任をもう少し余分に取るべきだろうとの意識にはなると思う」

フリーや派遣で雇用契約しているスタッフは、努力をしても番組1本を任されることは先ずないし、年齢が高くなるとギャラが上がってきてコストがかかるので敬遠され、年下の上司にとっては使いづらいということで煙たがられる。仕事がある間は、楽に生活できる程の収入はあるけど、将来の保証はないというのが現実です。
テレビ局の社員であるBさんは、そのことを認識しているのでしょうか。
「私は(テレビ局の)社員なので、そういうのを肌で感じるかと言ったら・・・、わかりますよ、見てるとわかるし、聞けばわかるんですけど、本当の意味でわかってるかと言うとわかんないんですよね、きっと。だけど多分そうだと思いますよ。
今は社員は凄く恵まれてるし、正直、安穏としてられる身分だと思いますけど、凄く環境も変わってきてるし状況も変わってきてるので、これは多分長くは続かないだろうと」
認識はしているけど、当事者の本当の気持ちまでは理解できていないと自覚しているのは、賛否両論あるかもしれませんが、私は素直な気持ちだと思います。
そして、テレビ局の社員もサラリーマン。会社の一声で異動させられるということは当たり前で、その異動先が必ずしも自分が希望する部署ではないことも、これまた当然の話です。異動によってプライドが傷つけられることは当然あるでしょう。フリーや派遣スタッフが持つ不安感とは別だとしても、テレビ局の社員でも将来への危機感を当然のように持っているのです。

テレビ局の社員でも外注のスタッフでも、もし、自分が現場の仕事に拘り、異動したくない、この仕事で認められたいという気持ちが強く、そしてそこに上司からの圧力が加わったとしたら、ねつ造やヤラセに結びついてしまうこともあるのではないか。
報道番組を制作している立場のBさんですが、フジテレビのめざましテレビの件よりも、どちらかというと朝日新聞の虚偽メモの方をリアルに感じたと言います。
ねつ造やヤラセはあってはならないことだと頭では理解していても、向上心が強ければ逆に心を悪魔にのみこまれてしまうという心理状態は理解できるからこそこの取材をはじめたわけですが、マスメディアの中で働いている人と会えば会うほど、普通の人だと実感し、すごく人間くさい部分を見ることができます。
しかしながら、その人間くささが、テレビや新聞を通して視聴者や読者に伝わってくることはあまりありません。

普通の人であるから、苦悩することがあって然るべきなのだけど、その勤務先が報道機関であるので、特に「個人の資質」が問われます。それはねつ造・ヤラセの問題だけでなく、記者クラブの取材をしている時もよく出てきました。
Bさんは一緒に働いていて、「脇があまいな」と感じるスタッフもいると言います。それは能力の問題と言うよりは、経験上未熟であるということらしいのですが、次のようにも話しています。
「2種類いて、殆どの人は頭が良くて優秀だから雰囲気で何がダメなのか見てわかるんですけど、やはり中には人間性の問題になってきちゃうところも正直あるんですよ。そういう人は普段から、例えば障害者に対して差別的な言葉を会話で使ったりしているのを聞くと、意識があまいんだなとか、人間としてそんなところがあるんだなって思う人はいます。そういう人には、余計に注意するとかそれだけのことなんですよね」

フジテレビのやらせや朝日新聞のねつ造の件を知った時、「とかげのしっぽ切りじゃないか」と腹立たしく感じこの取材をスタートさせたのですが、現実にはBさんが言うようなスタッフがいることも事実で、もしかすると、今回の取材のきっかけになった人がそういう人であった可能性もゼロではない。内情を知らずに外側からただ物を言うのはとても危険だと改めて思います。
Bさんの話を聞くと、一緒に働いているスタッフの責任は自分の責任でもあるという意識を感じられ、それがスタッフ同士の防波堤になり得るのかなと思います。
しかしながらその防波堤をくぐり抜けて問題は起きています。

取材をはじめてから、個人の資質とは別に雇用形態による待遇面の格差に、ねつ造やヤラセの原因があるのではないかと考えるようになり、Bさんはどう見るか聞いてみました。
「私の考えでは、社員の立場と外注の立場では両者にいい面と悪い面がそれぞれあって、例えば社員の私の立場では所属しているテレビ局の仕事しか出来ないし、人事異動があればやりたくない仕事でもやらなければいけないってことが常にあるわけです。でもプロダクションの人はそうじゃないでしょ。いろんな局の仕事が出来て経験も積めるし、やりたくない仕事であれば他の仕事・番組に変わることが出来るわけでしょう」

派遣やフリーなら身軽に契約を結んだり解除したりすることは可能だと思います。
私自身も一般企業で派遣スタッフとして働いていた経験があり、「気楽でいいわね」と社員の人からよく言われたものです。
でも、実際のところは気楽なものではありません。簡単に契約を解除すれば次の仕事を紹介してもらいにくくなるし、そもそも大したスキルがないので仕方なく派遣を選択しているだけで、できることならどこかの正社員になりたいといつも思っていました。
Bさんのお話では、テレビ業界の外注スタッフはとても優秀な人が多いということなので、おそらく自由な立場でいることを優先にして、あえてフリーや派遣という形を選んでいる人もいるのでしょう。
でも、納得した上で今のポジションにいる人が大多数だとは、私自身の実体験からも思えないのです。

私は、Bさんにそのことを問うことはできませんでした。一社員であるBさんに縦社会について問うたところで何の意味があるだろうと思ったからです。
労働組合等がないフリーや派遣スタッフの立場を良くするためには、テレビ局の社員自身が真剣に考えなければならないことだと知っているし、テレビ局が報道機関として力を持っているということもずっと頭の中にあることで、私がそこで脱力してしまったのは、取材者としてとても弱い部分なのだと反省しています。

テレビ局の中で社員として働く人、外注のスタッフとして働く人、その両方の立場の方にインビューしましたが、正直なところ、「自分がねつ造やヤラセをしたわけではないし、しようとも思わない
」と、別世界のものとして捉えているのかなという印象を強く受けます。
それでも現実にねつ造やヤラセは起きていて、視聴者の中にテレビへの不信感を抱く人も少なくないと思います。
私は、この取材をはじめる前は、研修を行えば問題が解決するのは安易ではないかと考え、取材をはじめて雇用形態による待遇面の格差に直面し、「内心もっと考えてみてよ」と叫びたい気分でいます。
でも、ただ叫んでも私の気持ちは伝わらないでしょう。
伝えるために、私は考えます。
もし、マスメディアに不信感を抱き、変わって欲しいと思う人がいたら、真剣に考えてほしいと、マスメディアへではなく、読者にお願いしたい気持ちです。
何が悪いのか、どこをどう改善すればいいのか、本気で考える。本気で考えて議論することでしか、変えられないのではないのかなと思います。
私は今回の取材で、相手に考えることを望むのなら、先ず自分が真剣に考えなくてはいけないと学びました。

まだまだ、ねつ造・やらせ問題の再発防止についての取材は道半ば。いや、入り口に差し掛かったあたりかもしれません。
すこしずつ見えてくる内情をもっと取材で掘り起こしていき、みなさんと考えていこうと思います。

    【インタビュー内容 】

  • 局員と外注スタッフの間に溝はあるのか
    泉 :ニュース番組は、報道局にいるテレビ局の社員である記者が作っていて、情報番組は外部の制作会社の方とテレビ局の社員が一緒になって作ると聞いているのですが、Bさんは番組を作っていらっしゃるということで、局員の方と外部の制作会社の方の間に溝があると感じる事はありますか?

    B :それは凄くデリケートな問題なんですよね。仕事する上では全くないと言っていいと思うんですよ。例えばVTRの編集をしたり原稿を書いたりする時などの仕事の分担をする上では、全然違いとかないし、本当に同じ仕事をしてるんです。
    ただ、国会の帯用証(国会の中に入るパス)を持っていたりとか、記者クラブに所属してたりとかで、表面的なことはこれくらいの違いしかありませんよって言うのが表向きの答えなんですけど、中で働いている立場からざっくばらんに言うと、やっぱり色々な待遇の差っていうのはもちろんありますよね。同じ仕事をしているのに給与面とかも違うし、それから福利厚生なども違うわけだから。
    今の職場ではなく別の職場での話なんですが、同じポジションで同じ仕事をしているのに『あの人は社員だし、特別扱いされてる』って外部制作会社の人から、私が思われてるなと感じたことはありました。

    泉 :今の職場では局員や制作会社で仕事の違いはないし、役割分担も「ここは局員が行った方がやりやすいよね」と話し合っていて、溝はない感じですか?

    B :今の職場では全くそうで、その辺で差別とかは全然ないです。

    泉 :情報番組の制作現場では社員と制作会社が一緒に力を合わせて、持ちつ持たれつの関係で仕事をしてるのかなと思っていたんです。でも他の方のインタビューで、『いやそうじゃなくて、お互いライバル関係で、どう目立つか、どう蹴落とすかってとこがあるんですよ』とおっしゃられていたんですが・・・。

    B  :番組によっても局によっても全然違うんじゃないですか。私が所属しているテレビ局の中では、そこまで局内の人間と局外の人間が敵対してるって話は聞いたことないです。
    外の人も優秀な人材って、いい環境の方へ流れていっちゃうので、そういう意味ではこちらも凄く大切にしないといけないって意識があるから、そんな差別してやっていける程あまくないっていうのは実情としてあると思います。

    泉 :責任の重さ軽さを局員の方と制作会社の方で違いを感じますか?

    B :私はそれほど偉くないので。まだそこまで責任を取れるって程のポジションではないのでよくはわかりませんが。実際問題としてはおそらくないと思うんですが、意識の上ではあると思います。
    もし自分がそういう責任を取らなければいけない立場になったら、外のプロダクションの人より自分が責任をもう少し余分に取るべきだろうとの意識にはなると思う。

    泉 :では、局員と制作会社で感じる違いは、給与面などの待遇と責任の重さくらいで、他はあまりなく、みんなでひとつになって番組を作り上げるって感じ?

    B :そうです。現場レベルでの仕事の違いってない・・・。ないって言っていいです。
    ディレクターレベルで言うと、どこの職場でも感じたことは私はないです。

  • ジャーナリストとしての意識
    泉 :1つの番組にディレクターって、いっぱいいらっしゃるのですか?

    B :うん。いっぱいいます。十何人から何十人くらい。

    泉 :ディレクターは新聞社でいう記者と同じような立場って感じですか?

    B :記者と同じような立場とはどういう意味合いでおっしゃってます?

    泉 :取材に行ったりとか・・・

    B :記者っていうのは一次情報に接する人って感じなので、番組のディレクターには記者って言葉は使わないんですよ。でも取材するという意味では同じなんですよね・・・

    泉 :個人によって、報道がやりたいとかバラエティーがやりたいとかあると思うんですけど、例えばバラエティーがやりたかったのに報道番組に来たりすることってありますよね。そんな人はジャーナリストって意識があるのでしょうか。制作会社の人を含めて。

    B :制作会社の人はどう思ってるか私にはわからないですね。

    泉 :局員の人はどうですか?

    B :それもそういう人に聞かないとわからないけど、私個人で言うとあまり変わらないですね。

    泉 :報道局で記者をしていた時と?

    B :記者だから・・う〜ん、なんて言うんでしょ。頑張んなきゃいけないっていうのはもちろんあるんですけど、それ以外の事はないし、肩書きが記者じゃなくなてディレクターになっても自分がやる仕事は別に何も変わらないですよね。仕事の時に振舞う行動とか発言とか全然本当に何も変わらないから、あまり何も気にしていないです。

    泉 :世間ではジャーナリスト魂みたいなことを言う人がよくいるんですが、現場の空気としてはそんな事より、目の前の仕事をキチンとこなしていく事の方が意識としては高いですか?

    B :ジャーナリスト魂っていうか、そういう何かしらの自負はディレクターでも記者でも誰でもあって、その上で目の前の仕事をいかにやっていくかって事で、あまり精神論とか言ってもしょうがないっていう意識は、多分若い世代にいくほど多いと思います。

    泉 :そうですよね。取材していてもそういう声がありました。例えば『一つの事に拘って調査報道をするという気風みたいなものが減ってきてますよ』と聞いたのですが。

    B :あぁ、そういう具体的な話で言うと、今は単純に心の有り様ということで言ったんですけど。
    調査報道に関して言うと、私のいる番組が報道系というより情報系の番組なので、調査報道というのは元々やってないんです。もちろん記者によっては調査報道をやりたいと言う人もいるし、番組によってはそういうのをメインでやっているところもあるから、単純に番組の質だと思います。仕事の違いかな。
    本当はそういう意識は持ってないといけないんでしょうけどね。そういう仕事をすることが、本当は報道の使命なんでしょうね。

  • 視聴者の声
    泉 :番組を作るっていう上で視聴者をどのように意識していますか?
    今までの取材の中では、視聴者の意見なんて聞いていられないって言う人もいるんですよ。現場の声重視だって。テレビなんていうのは、テレビのスイッチを入れたらダーっと流れているもの。ものすごい数の視聴者を相手に仕事をしているので、現実には聞いていてられないと言うのですが、それだけ反響が大きいと言うこのなんでしょうけど、Bさんは視聴者の声をどう意識しています?

    B :そういうジレンマは常にある。

    泉 :ジレンマ?

    B :番組が終った時に視聴者から多くの電話を頂くんです。聞くと、変な電話もあるんですが、中には『本当にそうですよね』って思う声があるんです。
    例えば郵政民営化について番組でも取り上げるんですけど、新人議員がどうしたこうしたの話よりも郵政民営化っていうのは何が問題なのかとかをやってほしいとか、どうしてどこのテレビ局もこの大事な時期にそういうことをやらないのかとか、そういう声を頂いた時に、全くそうだよねと思う。私が視聴者だったら、ここでもう一度郵政民営化の基本の基本に戻って、どういういい事があるのか悪いことがあるのか、市民のレベルで教えて欲しいなと多分思う。
    だけど、それはうちの番組ではやってないんです。他のテレビでもやってるとこもあるけど、そんなに見なかったです。新人議員がどうしたとか、小泉さんの刺客がどうしたこうしたって話に終始していたんです。選挙前は。
    で、それは本当に視聴者のニーズに答えてるのかと言うと違うと思う。でも、今更フリップとかを出して「郵政民営化とは」とかやるマインドはどこの局でもあまりなかったと思う。やっぱり目の前の事象が凄く派手だったから。
    そういう時にニーズと凄くズレてるんじゃないかと・・・。そういう報道姿勢で選挙の結果が多少なりとも変わったんじゃないかなって声は今でもあるし、それはジレンマですよ。

    泉 :視聴者は不特定多数で老若男女いろいろいますが、『専門的にするのか、物凄く簡単に噛み砕くのか、どこをターゲットとして放送するかバランスが難しい』と今までの取材で言った方がいるんですけど、やはり同じ気持ちはありますか?

    B :そうですね・・・。ただ、それを本当に考えていくと、どこに設定すること自体が物凄く必要以上に恣意的な判断になっちゃうんで。
    私個人で言うと、私は自分が一番おもしろいと思うことを常に出そうと思っていて、自分が『あっ、この考え方っておもしろいな』とか『これは意味があるんじゃないかな』と思った事は、ちょっと聞いただけじゃわかりにくいかなと思っても多少スーパーを入れてフォローするなりして、なるべく使うようにしてて。
    実際に使う時に他の人へ見せてもダメって言われないんです。『おもしろいね』と言われても、『ちょっと難しすぎるんじゃないかな』と言われることはないので、自分で『これは一般向けはしないかな』と思っても、面白いものは面白いんだと。ちょっとお答えになってないと思いますけど・・・確かにおっしゃることはよくわかりますよね。

    泉 :視聴者の声が現場に上がってきて、その声が実際に仕事に活かされることはありますか?

    B :う〜ん、それはね・・・。やっぱりいつも事後の感想を聞くから、次回は新しい事をするので、残念ながらあまりないですね。

    泉 :さっきの郵政民営化についても、視聴者の声になるほどなと思っても、次回に取り入れてもらうように上司を説得できる程のレベルではないってこともあるのでしょうか。

    B :郵政民営化の例で言うと、選挙の直前に先ほどのような電話をもらったんです。本当はそういう時だからやるべきなのかもしれないですけど、もう間に合わなかった。番組も制約があるし、もっと入れなければいけない話題が沢山あって、出来なかった。ちょっとその時の状況がどうだったかはっきりは思い出せないから不確かなんですけど、現実問題としてはそういうことがままある。
    だから、そういう電話をもらって私がなるほどなと思ったからと言って、すぐに私がそれで説得してとかは出来なかったんです。

    泉 :インターネットから視聴者の声がメールなどで上がってることはありますか?

    B :ないです。うちの番組はあまりそういうことはやってないので。

    泉 :インターネットでのマスコミ批判を気にして見ることはありますか?

    B :あまりないですね。
    たまに、趣味で2ちゃんねるとかを見る事はありますけど、仕事の参考にはしないです。

  • 人事異動で現場から外されるテレビ局の社員もいる
    泉 :局員と制作会社の話題に戻ります。
    制作会社に勤務されている方を取材した時に聞いた話なのですが、制作会社の中でも派遣の人達がいると聞いていて、そういう人達が頑張って実績を上げたとしても、40代後半くらいになってくると、ギャラが高くなってきたり、年下の上司が年上の部下を使いにくいとかで、仕事が減ってくるそうです。だからといってフリーになって一人で頑張っていくといっても現実問題としてむずかしいそうです。現場にいてそういう認識はありますか?

    B :私は(テレビ局の)社員なので、そういうのを肌で感じるかと言ったら・・・、わかりますよ、見てるとわかるし、聞けばわかるんですけど、本当の意味でわかってるかと言うとわかんないんですよね、きっと。だけど多分そうだと思いますよ。
    今は社員は凄く恵まれてるし、正直、安穏としてられる身分だと思いますけど、凄く環境も変わってきてるし状況も変わってきてるので、これは多分長くは続かないだろうと。

    泉 :どういうところで具体的に変わってきてると?

    B :ん〜やっぱり、年棒制とか導入してきてますから。今のままでみんな一律年齢によって給与が定められている状況を経営陣が疑問に感じているし、現場の方でも「それでいいのか」っていう疑問をみんな持っていると思うし、他の業界が変わってきているのにテレビ局だけがこのままってわけには絶対にいかないと思います。

    泉 :社員であっても実力社会だなって感じることはあります?

    B :今はあまりないです。でも現実問題としてはありますよ。出来ない人はやっぱり出来ないって見られて段々仕事がなくなってくるし。

    泉 :え、社員でも?

    B :いや、実際誰々さんがそうだとか言えるほど知らないですけど、何となく空気でそういうのがあるじゃないですか。やっぱりそういう人は異動していくと思うんですよ。だけど、きっとこれから「このままでいいのか」という問題として出てくると思います。

    泉 :実際にディレクターから人事や経理などの事務的な部署に変わったりってこともあるんですか?

    B :別に仕事が出来なかったから変わったとは思わないけど、やっぱり何かしらの人事で変わってる人もいますよね。

  • フジテレビの件、朝日新聞の件
    泉 :例えば、外注(制作会社)の人が、クビがかかってギリギリのところまで来てる状態で、プロデューサーの人に『○○ちゃ〜ん、これってインパクトないねぇ』とか言われたりして、インパクトを持たせる為にやらせを仕込んでしまうとかはありえますよって話を聞いたことがあるのですが、どうでしょうか。

    B :あ〜、それはね、多分私にはわからないところですよ、きっと。
    私が今までそういうクビがかかってる状況ってないし、もし今後そういう状況になったら多分そこまでしてやらせをやろうとは思わないから私は。わかんないですね。

    泉 :社員であるBさんにプロデューサーや上司の方から、圧力とかはないですか?

    B :それはないですね。

    泉 :無理をしないでって感じですか。

    B :無理をしないでとも言われたことないけど、『インパクトないんじゃない。どうにかなんないの?』とは言われたことはないですね。そういう時は『こうこうこういう理由でこうしかなかったんです』って言ったら、『そうですか。じゃあしょうがないね』で終わり。

    泉 :きちっとした理由があればそれ以上はってことですね。

    B :そう。番組や部署がそういうところだったのかもしれませんけど。

    泉 :Bさんからしたら、ねつ造ややらせは別世界のような感じですか?

    B :別世界というか・・・自分が知らない世界だからそれは。私のまわりの人でそういうことを聞いたこともないし、身近に感じたこともないからそういう意味では別世界なのかな・・・。

    泉 :でも実際にはやらせは起きていて、それは何で起きてしまうんだろうって考えられたことはありませんか?
    めざましテレビの件を聞いた時などの印象は?

    B :印象は・・・。

    泉 :同じ業界ですけど、全くヒトゴトって感じ?

    B :やっぱりなんでこんな事しちゃうのかなと思う。
    その人にはその人なりの状況ってのが色々あるし、そこまで私は詳しく知らないから、考えられないんですよね。言えないし。
    田中長野県知事の話の時は、記者だったってこともあったし、そっちの方がリアルに感じました。

    泉 :具体的にはどんな風に感じましたか?

    B :功名心がベースにあったって本人の言葉が出ていたので、確かに記者として朝日新聞ともなれば相当サバイバルしていくのか、皆さん優秀なので競争がかなり熾烈だから、そういうこともあるのかなと。嘘の取材メモを上げるところなんかは凄くリアルに感じたので、あぁやっぱりそういう事やっちゃうのかなと思って。
    競争っていうことはうちではあまりなかったですけど、他社の中からは凄くそういう話があるって聞いてて、身近でも見てたから、多分あるんだろうなって。

  • 外注スタッフは良いスパイス
    泉 :話を外注のスタッフに戻しますけど、外注の方は出世の道があまりないし、将来の事を考えるとかなり厳しいんじゃないかなと思うんです。
    そんな中で仕事へのモチベーションを保っていられるのかなと疑問に思うんですが、一緒に仕事をしていてちょっとモチベーションが低いんじゃないの?って思うことはありますか。

    B :ない。むしろ高いと思います。

    泉 :それって何なんでしょう。

    B :1つはその仕事が好きで続けてるって人が多いように見えます。必死さが違うと思う。自分をアピールしないとって気持ちが凄く強いなって。ある意味社員より強いかもしれない。自分の存在感をアピールしないとっていう必死さが違う。だからモチベーション高いですよ。

    泉 :そういう人達が職場のスパイスになってるって感じですか。

    B :それは凄くあります。

    泉 :外注の人は雇用格差が凄くあって、その厳しい条件の中でどう目立つかとか、どう次の仕事に結び付けていくとかってところで、やってはいけないとわかっていてもねつ造やヤラセをやってしまう。そこまで追い込まれてると感じたんですけど、そんなことはない?

    B :私のいる番組は全然そんなことはない。
    ぶっちゃけて言うと、番組のプロデューサーがどれくらいそういうことの意識が高いか低いかによって違う。
    番組のプロデューサーのリスク管理の姿勢がどうあるかによって、周りのスタッフの意識も違ってくる。やらせのような不祥事が起こった時のダメージで、最悪番組がなくなることでみんな失職しちゃうわけですよ。それが一番のリスクなわけで、もちろんモラルとしてこういうことを絶対やってはいけないということもあります。その辺の意識がしっかりしているプロデューサーだったらまずそんな事はやらない。

  • 研修
    泉 :再発防止策としての研修についてですが、プロデューサーも含めて行われてるんですか?

    B :プロデューサーがどういう研修に出てるかは、正直知らないんです。
    私が行く研修にはプロデューサーよりも若い年代が多かったと思いますよ。ディレクターでもチーフディレクターとか、上でそれくらいかな。ごめんなさい、プロデューサーはプロデューサーでそういう研修があるのかもしれないですが、ちょっとそれは知りません。ごめんなさい。

    泉 :Bさんが受ける研修は外注のスタッフも一緒に受けるんですか?

    B :一緒に受けます。

    泉 :頻繁にあるものなんですか?

    B :わりと頻繁にありますね。

    泉 :いつも行くわけではなくて、番組の中で交代で?

    B :そうです。最近行ってない人が行くって感じです。

    泉 :効果はあると感じます?

    B :あると思いますよ。例えば最近出た社の問題とか、視聴者からのクレームでこういうのがありましたとか、こういうので裁判になった事例がありましたとか、内部にいると自分の番組以外のことって、有名な話でも意外と知らなかったりするんですよ。そういうのを聞いてなるほどと思えるし、時代の流れと共に問題も変わってくるから、今はこんなことをしてはいけなくなってきているんだとか、改めて認識したりするので、意識的には凄く変わると思います。

    泉 :社としてやらせ問題などについてスタンスを社員に示す意味では、研修は有効だと?

    B :うん。有効だと思います。

    泉 :それで足を止めて考える時間が持てると?

    B :持てるし、ディスカッション方式なんですよ。中で話すって感じなので。

    泉 :スタッフ同士で?

    B :ええ、そこにプロダクションの人もいるし、駐在カメラマンとかいろんな人がいるんですよ。それでみんなで話して考えないといけない。

    泉 :みなさんの意識は高いですか?

    B :ええ。特にカメラマンの人とかって毎日人権意識と向き合っていないといけない職業ですよね。この人は顔を映していいのかいけないのか、いつも考えていないといけないから、凄く意識は高いですよ。

  • 雇用形態とねつ造・やらせの問題
    泉 :社が行っている研修が考える時間を作っているってことでは効果はあるというのはよくわかるんですけど、その一方で雇用形態の問題がどうしても引っかかってるんです。
    再発防止策を考える上で、研修と雇用形態の問題は次元の違う問題だと感じているんですがどうでしょう。

    B :雇用形態と次元が違うって、ちょっとよくわからないですが?

    泉 :研修で意識に働きかけるのはわかるんですが、テレビ局で働いている人達は局員や制作会社、派遣やフリーランスなど様々な雇用形態があって立場が全然違いますよね。
    安住と感じている人もいるだろうし、競争が激しくギリギリのところで働いている人も多くて、ねつ造やヤラセをやってはいけないとわかってるんだけど自分が食べていかなければならないので自分の身を守る為に、『このぐらいはやってもいいかな』ってモラルがちょっと崩れてしまったりということが、全くないとは言い切れないのかなと思うわけです。だけどそんな状況も含めて組織として考えていないわけですよね。

    B :雇用形態も含めて考えてないってことですね。

    泉 :もちろん研修をするってことは効果があるってことはわかるんだけど、組織としてはもっと根の深い問題とは結びついていないわけですよね。
    私は、今まで取材してきて、やはりその部分に繋がるような気がしてるんです。

    B :いや、実は恥ずかしながら初めて聞いた話で、まさにそれが要因の大部分ですよね。そういう目線って欠けてるんじゃないですかね。

    泉 :社が言う、倫理的に働きかけますよっていうのも凄くよくわかるし、みんなやっちゃいけないってわかってると思うんだけど。

    B :やりたくてやってるわけじゃないですもんね。

    泉 :フジテレビのめざましテレビのやらせ問題とかは、そういう事情もあったのかなと、あくまでも想像ですけど思うんです。
    今までの取材で外注の人に聞いても、雇用形態に問題があってねつ造・やらせもが起こるということがあり得ることと言う人もいれば、あるでしょうと言い切る人もいました。
    そういうのって組織は把握してないのでしょうか。

    B :そうですね。そういう目線で研修を振り返るとそういう話は一切ないですね。

    泉 :外注の方の取材で聞いた話なのですが、今までディレクターをやってた人が年齢の問題で急に背広着てカバン持って『うちの社の人間を使ってください』っていうようになる事が現実にあると聞いたのですが、よくある話なんでしょうか。プライドとかズタズタにならないのかなって思ってしまうですが、そういうのってテレビ局の中では普通のことなんですか?

    B :ごめんなさい。私がプロデューサーとかではないので、そういう光景を目の当たりにしたことはないんです。

    泉 :一緒に働いていたディレクターがそんな風になったとか聞いたことはありませんか?

    B :ないですね。
    私が知ってるディレクターは結構すごい上の年齢の方でも、そのままディレクターをやってる人が殆どですよ。

    泉 :どれくらい上の方なんですか?

    B :50近いんじゃないでしょうか。

    泉 :そういう人もいらっしゃるんですね。外注の人で。

    B :大ベテランです。

    泉 :それは大きな制作会社の人ですか?

    B :うん、比較的大きい方でしょうね。凄く大きいわけではないけど、比較的大きい制作会社ですね。

    泉 :実力がある人はやらせとかねつ造とかはやらないと思うんですよ。
    問題なのは実力がない人や、派遣など立場の弱い人なんじゃないかと思うんですけど、でもそういう人たちが番組制作の中にいるってことは現実にあるわけですよね。
    例えば、一緒に仕事をしていて。この人の仕事はちょっと信用できないとかはありますか?

    B :信用できないって言い方はあれなんですけど、この人はちょっとそういう意識が、脇があまいなって感じる人は中にいるんですよ。それは多分、経験の問題。そういうのを学べる職場にいなかったんだろうなって推測できることはありますね。
    そういう人と一緒に仕事する時に、チームだからその人がこけると私も一緒にこけるし、お互いの危機管理としてこちらも注意して見ます。
    単純にその人の能力とかじゃなくて、今までの経験だと思いますね。そういう事はありますよ。

    泉 :そういう人が一緒に仕事していくことで、どんどん学んで仕事が出来るようになればいいんですけど、なかなか意識が変わらない人はいるんですかね。

    B :2種類いて、殆どの人は頭が良くて優秀だから雰囲気で何がダメなのか見てわかるんですけど、やはり中には人間性の問題になってきちゃうところも正直あるるんですよ。そういう人は普段から、例えば障害者に対して差別的な言葉を会話で使ったりしているのを聞くと、意識があまいんだなとか、人間としてそんなところがあるんだなって思う人はいます。そういう人には、余計に注意するとかそれだけのことなんですよね。

    泉 :ねつ造ややらせの問題で当事者だけをとかげの尻尾切りみたいに切り捨てて終わりってどうなんだろう、もっと組織として考えるべきことがあるんじゃないだろうかと思ってたんですが、こうやって話を聞いてみるとしょうがないケースもあるんじゃないかって思えます。
    この人なら切られてもしょうがないんじゃないかって、組織で考えるほどの事もないってあるんですね。

    B :それはケースバイケースですからねそういうケースももちろんあると思いますよ。だけど、さっき言われたように組織的な問題もあるでしょうから、区別して考えないといけないですよね。
    組織の問題だと、そこを正さなくてはいけないだろうし、完全に個人の問題だったら切られてもしょうがないと思いますよ。答えになっているかわからないけど。

    泉 :私は朝日新聞の件を見た時に、トカゲの尻尾切りをしただけで、実は上の人が追い込んでるんじゃないかと思ってこの取材をはじめたんですけど、内情を聞いてみると一概にトカゲのシッポ切りが悪いわけじゃなくて、内容によってはトカゲの尻尾切りで終らせるべきこともあるんですね。

    (ちょっと雑談)

    泉 :社員の立場として意見を欲しいのですが。一緒に仕事している弱い立場の人たちがいますよね。そういう人達の雇用形態を社として考え直すべきなのか、それとも今の社会の流れからしょうがないと思うのか・・・。

    B :私の考えでは、社員の立場と外注の立場では両者にいい面と悪い面がそれぞれあって、例えば社員の私の立場では所属しているテレビ局の仕事しか出来ないし、人事異動があればやりたくない仕事でもやらなければいけないってことが常にあるわけです。でもプロダクションの人はそうじゃないでしょ。いろんな局の仕事が出来て経験も積めるし、やりたくない仕事であれば他の仕事・番組に変わることが出来るわけでしょう。

    泉 :割と簡単に変われるものなんですか?

    B :それは私がしたことがないからわからないけれども。

    泉 :現実に変わってる人とかいます?一緒にやってたのにいなくなったりとか。

    B :それはいますよ。そういうことがあるから両方にいい面と悪い面があると思うんですよ。

    泉 :それは今初めて聞きました。一般の派遣社員を考えるといろんな会社に行けるってありますね。社員は人間関係がうまくいかなければそこに居なければいけないわけだし。

    B :そう。テレビ局の社員は他局にはいけないわけですよ。それはかなり大きいと思いますよ。今、民放から民放へ移ることって殆どないから、それが出来るのと出来ないのって凄く大きいと思うし、例えばずっとディレクターをやっていたいと思ってもある年代が来たらプロデューサーになる人もいれば、事務系の職場に行く人もいるわけで、自分では選べないわけですよ。外の人は一生ディレクターってことも可能ですよね。
    だから、局から求められてることが、局員と外部の人は違うと思うんです。職業に対して求められてるものが違うから、同じ仕事をしてても立場が違うから。それはどっちが上か下かとか言うと、正論ぶっていると言われちゃうかもしれないんですけど、本当にそうなんですよ。テレビ局の人間として将来は管理とかの仕事をするように仕向けられて行くんですよ。管理が偉いとかじゃないですよ。だからある年代になったら管理職をやらなければいけないことになるんですよ。それはどの現場で管理職をやるのかわからない。要するに立場が違う。
    それが嫌なら(テレビ局の)社員を辞めればいいし、逆にプロダクションの人でそんなに社員になりたいともし思う人がいれば中途採用を受ける道もあるから。

    泉 :中途採用ってかなりありますか?

    B :正直人数はすごく少ないと思いますよ。だけどそういう人もいる。プロダクションからテレビ局の社員になった人も知ってますし、だから道が全くないわけではないですよね。私が知ってる中でも3人くらいいますから。プロダクションの人からテレビ局の正社員という道があるわけだから、単純に雇用形態が違う、求められてる職業も違う。

    泉 :弱い立場だからといって、悪いことばかりじゃないってことですね。

    B :そういう事言うと、わかってないとか言われるかもしれないけど。

    泉 :いや、それも考え方の1つなので。私も派遣社員をしている時はそうだったよなって今思い出してたんです。

    B :いい事があるってことで言えば、例えば私が海外留学したいなと思いますよね。私が実際にしようと思うと、会社の留学制度を使って行くしかないんですけど、それって自分が行きたい国や学校に行けるかというと、すごく限定されてしまいますよね。多分、選抜試験とかもあるし。私が海外に留学へ行きたくて給料いらないから2年ほど時間をくださいと言っても許してもらえないんですよ。
    だけどプロダクションの人の場合、一回プロダクションを辞めて留学して好きな所へ行って、帰ってきた時に他のプロダクションへ入ることも十分可能なわけですよ。
    いい事だけ見て言ってるのかもしれないけど、そういう自由はありますよね。

    泉 :でも大きな制作会社の人はテレビ局の社員に近い部分ってありますよね。

    B :雰囲気的には同じですよ。

    泉 :特に違いはなさそうな感じですか?

    B :う〜ん。あるんだと思いますよ、きっと。上に行けば上に行くほど。

<文責/泉 あい>
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コメント

こんにちは。時折読まさせていただいています。貴重な情報を提供していただけて感謝しています。余計なお世話ですが、収入はあるのでしょうか?(^_^;) 長く活躍される事を願っています。

僕自身も含めて人は流される事って多いですよね。また、慣れてしまう事も多いです。車の免許も更新時にビデオなどを見せられますが、しばらくすると忘れてしまったり、習慣で危険な事を「ちょっとなら」と軽い気持ちでやってしまったりします。そのような事で事故は一向に減りません。

マスコミは日々の時間との戦いの中で、世間に与える影響を忘れてしまったり、事の重大さを見落としがちになっていると思います。交通事故がそうであるように、そのほとんどの人は善良な市民であったりします。個人的な意見として、マスコミに関わる人たちにはその影響の大きさを十分に認識して、日々忘れない努力をしてほしいと思っています。

投稿: chankin | 2005年10月18日 (火) 03時30分

はじめまして。時々、覗かせていただいています。おこがましいようですが、なんとなくどの話題も総花的になりすぎているような気がします。今回の話題で言えば、同じ業界の人間の感想を聞くだけでは、あまり見えてくるものはないかなと。取材によって問題を浮かび上がらせるといった作業は、具体的なケースと直接当事者とのやり取りの過程が必須なわけです。可能性の問題はともかく、ねつ造した本人や、告発したスタッフ、その状況を知るスタッフに取材をして、そこで何が行われていたのか、解き明かすのが第一歩ではないでしょうか。その上で、構造的な問題が見えてくるのだと思います。ミクロからマクロが見るのがジャーナリズムの基本だろうと思いますが、ちょっと取材の仕方が逆かなと思いました。失礼なことを申し上げてすみません。これからも頑張って下さい。

投稿: arbion | 2005年10月18日 (火) 15時58分

どこまでが〔演出〕?どこまでが〔やらせ〕?

ギリギリのところで葛藤することがたまにあります。

興味深く拝見しました。
制作会社ディレクターです。

基本的にテレビディレクターは、自分の担当するVTRが、いかに良いものになるか、ということしか考えません。

おっしゃるように、自分の身を守るために〔やらせ〕をする。そんなヤツもいるのかもしれません。

しかしながら、
「ここがこうなれば、本質をもっとストレートに伝えられるのに!」という葛藤。

「やらせ問題」のほとんどはこの葛藤から生まれているような気がします。

決して功名心とかだけではなく、視聴者や取材対象者への強すぎる思いがフライングして生まれる〔やらせ〕もあるんじゃないかと思います。

まあ、でも
「めざまし」の件は、やり過ぎですわ。あれはダメ!!

最終的には番組制作者の人間性なんですかね。やっぱり。

一次情報を個人のチカラで伝えてゆこう、という試みには良い刺激をうけました。ありがとうございます。がんばってくださーい。

投稿: syu | 2005年10月18日 (火) 16時24分

chankinさん
いろいろな当事者である方とお話させていただいて思うことは、皆さんご自分とは無関係だと考えているように見えるけど、本当にそうなの?ということです


PS:収入??
ひもじいです・・・

投稿: ぁぃ | 2005年10月21日 (金) 01時58分

arbion さん

おっしゃる通り、朝日新聞やフジテレビの当事者へ話を聞くことがいちばんでしょう
しかし、残念ながら、今の私にはその当事者へ行き着くための力がありません
今できる取材に取り組み、人脈を作って、いずれ可能になるように努力します

>失礼なことを申し上げてすみません。
失恋なんかじゃなくありがたいです
今後も遠慮なくお言葉をください
ありがとうございます

投稿: ぁぃ | 2005年10月21日 (金) 02時10分

syuさん
>最終的には番組制作者の人間性なんですかね。やっぱり。

それは、確かにどういう世界でも言えることだと思うんです
でも、「そのくらいいいじゃん」という感覚の人とか、強い思い込みで取材している人は別として、ねつ造やヤラセをしたいと思ってする人はいないんじゃない?とも思うわけです
社で行う研修も大切だけど、実際にねつ造・ヤラセが起きるのは、もっと別次元のような気がしています
今回私が問題視した待遇面の格差の他にも構造面に問題があると考えられることってないのでしょうか?

>ありがとうございます。がんばってくださーい。
こちらこそありがとうございます

投稿: ぁぃ | 2005年10月21日 (金) 09時33分

紀元前の政治家ユリウス・カエサルは
「人は知りたいと思うことしか知ろうとはしない」
と、言ってます
人は沢山の情報の中から「こうであって欲しい」情報だけを取捨選択してしまう性質の
事を指しているのですが
マスメディア側にも伝えたいと思うことしか
伝えたくない心理が働くのですね
無意識に
民衆意識をコントロールできたことに
優越感を感ずることもあるでしょう
紀元前から人類は気付いていながら
未だ解決できていない情報に対する
身の置き所とか正面から受け止める精神のあり方とかではないかなあと
義務教育レベルくらいから情報との向き合い方等の訓練が
必要なのかも知れないですね

投稿: ☆まがり★ | 2005年10月21日 (金) 17時05分

最近、マスメディアの役割についてよく考えます
本当にするべきこと、伝えたいことをしっかりと持っている人も、やはり利益を生まなければ成り立たないジレンマは現実にあると思います
伝えたいことにこだわったマスメディアは成り立たないのでしょうか

投稿: ぁぃ | 2005年10月23日 (日) 01時30分

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