« 記者クラブの表と裏 【取材記7回目】  | トップページ | 覚書って読んでもらえてますか? »

2005年6月 2日 (木)

記者クラブの表と裏 【取材記8回目】 

5月27日取材

全国紙の地方の支局にお勤めの現役の記者さんにインタビュ−しました
私にとっては、はじめての電話取材だったので、すごく不安だったのですが、快く質問にぽんぽん答えてくださいました
記者さんには、ジャ−ナリストと、会社員と、そして良心の間で仕事をするという葛藤があると知りました
それは、とても人間くさく、すごく正直な気持ちだと感じます
今までは新聞の記事について、知識教養のある人が徹底的に調べ上げて書いているんだと思っていたのですが、そこには記者という人の都合があるのだとわかりました

今まで長いこと新聞に触れていますが、気づいていなかったのは、新聞のペ−ジが増えているのに記者の数は増えていないという点
単純に、それだけでも仕事は増えているじゃないかと驚きました
その中で、役所や県警からの発表は大量に出されているので、仕事は何倍にも増えているということになります
一世代前の人たちは記者クラブの中でマ−ジャンをやっていたらしいが、今の記者たちがマ−ジャンなんてやっている暇はないとおっしゃるのは当然のことでしょう
大量の記者会見やプレスリリ−スの中に埋もれそうになりながらも、「特ダネを取って来い」と言われる現実
それで、長い時間をかけて取材をしても、それが大きな記事として掲載される保証はどこにもなくて、取材をしても何の答えも出ない時だってある
それを何度もやると、会社員としては立場が危うくなってしまいます
それでも、記者は、大量に流れてくるプレスリリ−スの中に問題はないかと日々目を光らせているのです

そして、締め切りの時間は、日々確実にやって来ます
「取材できませんでした」と穴を開けるなんて絶対に許されるはずもない
できるだけ円滑に情報を流して欲しいから、役所の人や警察の人と円満な人間関係を築かなくてはいけません
そうやっていつも一緒にいると、だんだん思考が似てくるという話は、ちょっと面白いと思いました
役所の記者クラブにいると役人のような考え方になり、警察の記者クラブにいると、刑事のような視点になるそうです
だから、「こんな質問したら嫌だろうな」と相手の気持ちまで理解してしまい、したい質問もできなくなってしまう場合もあるわけです
だって、人間なんだもん、いけないことだけど、同じ人間として理解できる心情です

だけど、出すべき情報を出さない役人へは、ジャ−ナリストとして時には心を鬼にして、大きな声を上げることもあるそうです
私が記者クラブというテ−マを選ぶきっかけになったJR西日本の記者会見での記者の暴言についても聞きました
あのやり取りは、6時間という長い時間の中の駆け引きのひとつだったそうです
はっきりしないJRにそろそろ大声を出さなくてはと、怒鳴った部分をテレビがそこだけ切り取って報道してしまったというのが真相なのだそうです
あの読売新聞のヒゲの記者さんを今になって気の毒に思うけど、謝ったということは、行き過ぎたと思ったのでしょうか
それとも、それだけテレビには力があるということなのでしょうか

記者の労働時間は長いし、仕事の量は多いし、特ダネ取らなきゃいけないし、時間には間に合わせなきゃいけないし、何かやったらすぐにマスコミ批判されて、便利に使っている仕事場である記者クラブまで廃止しろという人が出てきた
新聞記者ってすごく大変
聞いていて、尊敬と同情が入り混じりました
記者クラブの問題を何とかしろと言われても、上で考えてくださいと思う気持ちは正直なところでしょう
そんなことを考えるより、日々のニュ−スを追いかけるのに忙しいのですから

「社員ジャ−ナリストの限界を決定的な問題だと思うならフリ−になるしかない」
とおっしゃりながら、新聞社という組織の中で働く記者さん
一方、何かを決定的な問題だと感じて、フリ−になられた方もいらっしゃいます
何を問題だと感じて、新聞社から飛び出したのでしょうか
便利だからと記者クラブで仕事をする現役記者と、記者クラブを離れてフリ−になった人の違いは何なのか
新聞社を2度退社してフリ−ジャ−ナリストになられた方にインタビュ−しました
明日UPしますと言いたいところなのですが、明日はインタビュ−が入っていますので、それに集中させてください
では土曜日にUPしますと言いたいところですが、インタ−ビュ−の時間が長かったことと、体調を崩しているので、2日間で取材記を書きたいと思っています
月曜日に、フリ−ジャ−ナリストの古川利明さんのインタビュ−をUPします

    【 覚書 】

  • 現役記者さんへのインタビュ−

    全国紙地方支局勤務
    (地方の記者としては年長の方に入るそうです)
    30代  男性

    Q.一口に記者クラブと言っても、中央や地方など、それぞれの記者クラブで違いがあると思うのですが
    A.地方では、行政を扱う記者クラブと警察系の記者クラブがある。
    記者クラブをいっぱい作ったが、それは、昔は記者がいっぱいいたからじゃないかと思う。

    Q.記者さんの数は減ってるの?
    A.減ってるかもしれない。

    Q.どのくらい昔から減ってるの?
    A.一世代上ぐらい。
    本田靖春の「我、拗(す)ね者として生涯を閉ず」に昭和20年代の記者クラブについて書いてあるが、記者クラブでマ−ジャンしてみたいなよくあるイメ−ジは、一世代上くらいまで。
    今の団塊の世代くらいまではしてたみたい。
    そういう人たちがいなくなって、今、記者クラブでマ−ジャンしていることはまずない。
    コピ−はコピ−カ−ド。今はそういうところの方が多いと思う。各社がやった分だけ負担する。

    Q.鎌倉市は全て市の負担になってた
    A.あんまりコピ−をお願いする機会がないんだと思う。何千何万単位だったら払うかもしれない。
    たまぁ〜に何百円のオ−ダ−であれば、しょうがないかっていうところはあると思う。
    人数が多い記者クラブは、県庁とか県警とかだが、電話は各社ごとに入れている。
    家賃を払っていないという問題はあると思うが、ただ、マ−ジャンをしていることは、今はまずない。

    Q.それは仕事が忙しくてマ−ジャンしている暇がないということ?
    A.暇はないですね。昔は、各社間である種の談合のようなものがあったと思う。
    最近では、お互いの商業主義が高まっているのかもしれないけど、ライバル意識が強いというのか、記者同士の競争意識が強くなってきて、元々クラブっていうくらいだから、懇談してみんなで楽しくやろうという意味合いもあったと思うが、そういう意識は弱くなっている。
    地方では、まだ結構あるが、社内ではそういう意識が否定的になっている。「他社と競争してるんだ!」とか「仲良く話しているのはけしからん」みたいなイメ−ジはある。
    中央省庁だと、クラブなんだけど、隣に座っている会社の記者と会話もないってことも多いみたい。

    Q.パ−テ−ションで区切られているところもあると聞いた。人によっては、競合しながらも会見に遅刻した時、「冒頭にどんな話があったか?」と聞いたりして、協力し合う部分もあると聞いた。地方ではどう?
    A.その辺は、日本の記者クラブの曖昧さでもあって、仲良い記者というのも出てくるわけで、クラブだけどみんなと仲が良いわけでもないし、そういうことを頼める関係になるかは、個人対個人の問題。
    それは、記者クラブ制度だからってことでもない。

    Q.そうですね、それは普通のことですよね
    A.記者クラブで会見をやるから、記者室兼会見室という場所は必要なのかなという気がする。
    特に中央省庁なんか尚更だけど、県庁とかへ行くと、ものすごいプレスリリ−スが出る。
    「取材に必要なら使ってください」みたいに、予算の本丸々1冊ドンと資料入れに置かれていることもある。
    県庁とかだと資料はものすごい量あるわけで、資料を配布すれば記者クラブに発表したという認識で、ロクに説明もないこともある。
    そういうものをやりくりしながら、会見もあるし、市民からの投げ込みもあるので、そういう仕事をやる場所が必要。
    説明を聞く人が会社から通えるかというとなかなか難しい。そうすると常駐させてもらうのがいい。
    警察なんかでも、小さなものから大きなものまで事件が発生すると、1日10件、15件発表の紙が発生する。
    そうすると、記者室が広報室の隣に部屋がある方が便利。
    そういう『部屋』というところから記者クラブが生まれたのかという気がする。
    で、そのうちそこにいる記者同士がいろいろ要請文申し入れとかをするようになったのかな。

    Q.県庁とか警察とかはひとりで回るの?
    A.いえ、だいたいは県庁担当と県警担当は分かれている。
    ちっちゃい会社だとひとりで担当することもある。

    Q.ちっちゃい会社とは地方紙?
    A.地元の新聞の方が逆に人数は多い。

    Q.今いらっしゃる記者クラブは、オ−プンな感じ?フリ−は入れる?
    A.県警の記者クラブは、なかなかフリ−はいない。
    県警での発表は、プライバシ−に係わる情報が多いので、県警側がどこの誰ともわからない人だと嫌がる。
    記者クラブが入れないのかというと、県警にそういう意向があるのでという理由もある。
    新聞社の記者でも、別の地域へ行くと所属していないからと記者会見へ入れなかったりするから、記者クラブはある種の身分証の代わりみたいなもの。
    例えば、亡くなった方の身元を教えてほしいと記者クラブがお願いしたからといって、発表しなければいけないという法律はなく、「発表するのをやめます」と言われると記者は困る。
    昔からの慣行で、出してもらっているというのがあるので、情報公開が完全にされれば記者クラブというものはいらないのかもしれない。

    Q.JR西日本の事故なんかだと亡くなった方も多いので、ひとりひとり調べるのは難しいですね
    A.そうですね。そればっかりやってると読者から「悲しんでいるのに」と非難を浴びる。
    中には「本当は私話したい」という人もいる。

    Q.直接記者クラブに市民の方がみえて「情報公開したい」ということもある?
    A.ありますよ。メンバ−が常連に限られているということもあるけど。
    使い方を知っている人はみえる。使い方を教えてないということもあるんだけど、記者クラブを自分たちの情報公開に使えるということが、あまり知られていないということもある。

    Q.記者側としては大歓迎?
    A.歓迎だが、役所の会見がびっしり入っているのであまり聞いている暇がないのが実情。
    記者:「置いておいてください」市民:「もっと話しに来たのに」みたいなことはある。
    もちろん時間が空いていれば対応する。

    Q.暇がないというのは取材でも忙しいということ?
    A.取材で忙しいということもあるけど・・・どうなのかなぁ・・・。
    先ず、ニュ−スとして、いるかいらないかを判断するためには会見に出なければならない。
    人間だからごはんも食べなきゃいけないし、会って話を聞きたい人がいれば外へ出なければならないし、時間はどんどん経って、その間も記者クラブは開いている。
    紙面は絶対に埋めなければならない。

    Q.すごい量のプレスリリ−スがあって、読者にわかりやすく噛み砕いて記事にしなければならないとかいうこともあって、なかなか取材に出れないということも?
    A.ダンボ−ル1箱の中に本当に必要な紙がペラっと1枚だけみたいなところがあって、それを先ず選り分けなきゃいけない。
    例えば裁判所の記者クラブなら、裁判もすごい量あるので、その中で実際に必要なものを取り出す。
    余った時間でやりたいことをやればいいが、時間を使った割りには行数があまり埋まらないということもある。

    Q.プレスリリ−スで役所に縛られていると思う?
    A.出す方は賢いですよね。
    向こうからすると「情報公開してるじゃないですか」ということになって、ずるいと言えばずるいけど、我々が情報公開してくださいと言ってるわけだし。
    記者クラブに問題があるとすれば、横並び。
    同じ記者クラブにいるんだから同じニュ−スが出て当然だということになる。

    Q.同じニュ−スでも各新聞社のカラ−を出せば、それぞれ売れるような気がするが
    A.書く人が、お金のことを考えないのがジャ−ナリストだという考え方がある。お金のことを考えるのは恥ずかしいことだという考え。
    記者の思考は、所属記者クラブによって変わる傾向にある。
    役所の取材をずっとしていると役所の人のような考えになる。警察の記者クラブにいると、警察の人みたいになっちゃう。
    他の取材をしないで、そればかり一日考えているわけだから、だんだん発想も刑事みたいになっちゃう。
    記者はいいことばかりじゃない。
    この取材はあまりウケてないから止めなさいみたいになっちゃうとそれはそれで・・・。
    新聞の中でも読まれている記事と読まれていない記事があると思うが、読まれていない記事はなくていいのかということになる。
    限られた一部の人にとっては必要なことであったりもするので、ウケるのだけ載せればいいですよというわけにも行かない。
    僕みたいな末端が考えても仕方のないことで、経営者が考えなくてはいけないこと。

    Q.記者同士で勉強会はする?
    A.空いた時間をどう使うかということだけど、新聞のペ−ジは増えているが、記者の数は増えてないのだから、書く量は増えているということになる。これは間違いない。
    書く量が増えたということは書く時間が必要。
    ひとり当たり24時間しかないわけだから、どんなに早く書くと言っても、書く時間が制約されて、取材する時間がなくなる。
    そうすると、すぐ終る取材になる。どこかでイベントやってるとか、そういうものだと取材が早く終っちゃう。写真もつくからペ−ジも埋まる。
    でもそこから先に何かの問題があったとしても、それを調べるのは大変で、時間をかけても無駄になってしまうかもしれない。
    確認できなかったということになると、アウトプットはゼロということで、たまにだと「しょうがないか」で済むけど、それをずっとやってると「あんた何やってるの?」ということになる。
    記者クラブがないと、それに準する官庁発表がなく、明日の取材はできない。でもそれでいいかどうかはわからない。
    記者クラブやめましょうって言われたら、なくてもやれるかもしれないけど、やめましょうって話まとまる可能性はないと思う。
    それは明日の取材ができないということ。
    テレビだとおもしろそうなのだけつまみにしていけばいいけど、ペ−ジを埋めなきゃいけないから新聞はそうはいかない。
    テレビの人は、記者クラブに常時いるわけでなく、おもしろそうなことがあれば絵だけ撮ってわぁと帰っちゃう。(笑)
    テレビの場合、小さいニュ−スはいらないから、普段は記者クラブへ寄らない。
    逆にドキュメントなんかを作る場合には大変っていうのはある。
    ロ−カルから全国まであるけど、民放のニュ−スははところどころだけ撮っている。
    ワイドショ−もあるし報道局員がやってるかどうかの違いなのかな。

    Q.記者クラブの問題は、会社の態勢を変えないと改善できない?
    A.記者クラブは、会社の態勢というよりは、業界の枠組みっていうかな、横並びとか特ダネというか・・・。
    特ダネっていうのは、よその新聞に載せられていることより更に特ダネを書けということだけど、特ダネ書くから発表ものがなくていいですということはない。
    全部やってると更に空いた時間なんてないよということになっちゃう。
    そうすると、どの新聞読んでも似たりよったりになっちゃう。
    じゃあ記者クラブがなくてもいいかというと、何かを発表しなさいよという時に個人じゃ無理だから、圧力団体的なところもあると思う。
    (役所の)外部の団体や市民がが記者会見をできる場所という役割もある。

    Q.圧力団体という話が出ましたが、公権力を監視をするためには取材が必要じゃない?
    A.警察のことで言うと、先ず報道機関は、何の権限もないので、警察のように家宅捜索はできない。当たり前だけど(笑)
    だから、こういうことを発表してくださいというお願いになっちゃう。
    監視って何かっていうと、そもそも問題意識がないと監視はできなくて、問題意識はどこから生まれてくるとかというと、毎日ぼおっとしてても問題意識は生まれない。
    例えばリリ−ス見てて「これは変だな」とかいうのもあるわけ。
    そういうところでは膨大なリリ−スばっかり出てくるのが悪いことかというとそうではない、いい面もある。

    Q.プレスリリ−スがおかしいと思ったら動けるの?
    A.電話にするか直接会うかは別にして、動く時も省内に(記者クラブの)部屋があった方が便利。
    でも担当の人に嘘つかれちゃったら終わり。しゃべらないと決めてる人をしゃべらせることはできないから。
    民間人の限界が当然ある。警察だって拘留機関の間にしゃべらない人はいるわけだし、ましてやこっちは時間とっていただいて話してもらってるわけだし。
    行政機関だと事前にここまではしゃべるけどここからはしゃべらないと決めているところもある。
    それをしゃべらせるケ−スもある。いろいろなテクニックもあると思う。
    例えば、JR西日本の会見でどなりつけたと批判を浴びたが、あれもひとつの方法ではある。
    あれは6時間やった会見のうちの4時間目とかで、情報公開が遅いというところで充分じゃないと記者側とJRの人がもめてる最中の発言だったらしい。
    圧力かけないと、JRは「これはプライバシ−」だとかでごまかす。こっちには法的な権限がないから、どうしても声が大きくなるとか、そういうのはある。
    ソフトにやってればいいかっていうと、向こうに情報を流させるのが記者の仕事なんで、下手に出てお願いしてれば話してくれるかというとそうではないし。
    もし、JRの人が民間人であったなら、あの言い方はおかしいと思う。
    巨大企業の幹部でしかも公益性のある企業の幹部であれば、「あなたの態度はなってない」と言わなきゃならないケ−スもある。
    それをテレビが、ぱっと切り取って流しちゃうと「あの人はなんだ」ということになる。
    前と後の話を聞かないと、彼だけが悪いとは言い切れない。
    なかなかああいうことも言わないで、会見する側が「それは言えません」というと黙って引き下がっちゃうみたいなところは多い。

    Q.横柄な態度を取ることはないの?
    A.関西の記者はあらっぽいて言うけど(笑)今そんなでもないと思うよ。
    「それはおかしいんじゃないですか?」ぐらいのことは言うけど「だめです」と言われたらそれで終っちゃう。
    なかなか喧嘩ごしでするのは難しい。だってまた次もあるじゃないですか。
    警察とかは、毎日発表や会見があるわけで、そのニュ−スでけんかして、あと何か嫌がらせされたら嫌。
    必要な情報であれば喧嘩しなくちゃいけないんだけど・・・。

    Q.記者自身がしっかりしてないと、毎日会うわけだから、なぁなぁになっちゃう?
    A.表立っては円満な関係で情報がもらえるよう努力する「あなただから教えます」というような人間関係を作って特ダネにつながるようにする。一種の営業だから。
    それでなぁなぁにならずに肝心なことは書く。
    なぁなぁで作った人間関係を使って肝心なことを書く。
    その時には、なぁなぁな人間関係は壊れちゃうかもしれないけど、それはしょうがない。
    それが、記者の理想像と言う人がいるが、一旦人間関係できちゃうと切るのがつらくなってくるし、その辺は仕事だと割り切っちゃうしかない。

    Q.割り切れるもんなの?
    A.できる人もいるしできない人もいる。
    役所から裁判所から警察から政治家もいるし、公務員でもいろいろいるわけで、その人たちの中には古い体質の人もいる。
    これがジャ−ナリストとしての仕事だからと割り切れない古い体質の人もいるだろう。
    東京だと割り切って考える人が多いと思う。
    民間企業を相手の記者クラブは、廃止の方向に向かってる。
    公権力を相手にしているわけじゃないから、監視の意味がない。
    だから、お互いがお互いで情報のプロになってしまえば、記者クラブっていらないのかもしれない。
    フリ−の人が記者会見に入れないってことがあるが、ある時こういう時だから(問題視されているから)と赤旗の記者を入れたが、質問ではなく共産党に則った主張をはじめた。
    まだ他の新聞社は聞かなきゃいけないことがあったのに、それで質問時間が終った。
    赤旗の記者はよかっただろうけど・・・こういう言い方しちゃ良くないけど、好意で会見に入れたのに邪魔されちゃったとう感じ。
    演説的な質問しないとか、何かそういう資格制度を作らないとだめかな。

    Q.個人のスキルの問題?
    A.赤旗の記者の人は赤旗の記事を書くためには思想的な質問もしなきゃならない。
    アメリカには記者クラブはないが、質問できる記者は決まっているという。
    会見の時に手を挙げた記者を当てるのは、司会者に委ねられている。あの中にも排他はある。
    ヨ−ロッパなんかそうだが、ブログをやっている記者組合のメンバ−ですみたいなものを発行するとか。
    そういう資格制度みたいなものを作ったほうがいいかもしれない。
    いろんな考え方は国によってもあるし、今の日本には記者クラブしかないし、記者クラブは新聞協会加盟社じゃないと入れない。
    そういう点でいうと、滞在の記者を前提としたシステムだからいいとこもあれば悪いところもある。
    でも、フリ−の人はやりにくいよね

    Q.記者クラブの中にいるから面倒だってことは?
    A.広報の人と仲良くなるとか。
    ここでもめて関係悪くするのは嫌だなとか、考えるなと言っても考える。
    フリ−の人ががっと来て、情報公開請求して、がっとけんかして1回で情報もらって帰っちゃえば書きたい放題書けるでしょ。(笑)
    1度限りの人間関係だからこそできることもある。
    癒着なのかわからないけど、継続していているから良いものが書けるかっていうと、長くやってるからいちばんいい結果が出るかっていうと必ずそうとは限らない。
    普段東京にいる人が、地方へ来て質問して資料持って帰って東京でがっと書いちゃう方が良い結果が出ることがある。
    田中角栄さんの件だって新潟の記者はみんなわかっていたけど、人間関係があって、そういう関係のことを考え出すと、「はっきりしないことは止めておこうか」ということになる。
    100%はっきりしていることなんてないのに。
    「多分間違いない」っていうぐらいのことを清水の舞台から飛び降りる覚悟で書くわけだから、しがらみがない方が書きやすい。
    そういうフリ−の彼らがいるから記者クラブがいらないかって言うと、彼らが取材をはじめるきっかけを与えたのは、記者クラブの記者たちの記事だと思う。

    Q.うらやましいことも問題意識もあるわけだ
    A.問題意識は当局の思考に似てくること。
    政治家と一緒に歩いていると政治家みたいな気分になっちゃうとか。
    一緒にいるから「これ聞いたら嫌な顔するだろうな」とか。
    そういう微妙な遠慮みたいなものも出てくる。
    あってはいけないことだけど、あるかもしれない。

    Q.その問題を改善するためには、担当を小まめに変えるしかない?
    A.それもひとつの方法で、全国紙の記者は転勤間際に関係を整理する意味で特ダネを書く。
    転勤間際に今までのこと全部書いて出ていっちゃうこともある。

    Q.同じ記者クラブの中の人が転勤だって聞くとドキドキする?
    A.「彼だったら書くかもね」ということもある。
    新聞社は裁判を嫌がる。雑誌社はどんどん裁判をやってどんどん負けているけど、新聞社は裁判を嫌がるから。
    何らかの物証がないと書けない。

    Q.地方の記者でも問題意識を持っているのですね?
    A.記者クラブのない世界を経験したことがないので、それを抱える問題を考えてみたことがない。
    雑誌で取り上げられる記者クラブの問題というのは端的で、閉鎖的というなら、じゃオ−プンにしてフリ−を入れればいいのか?
    広報の交際費を使って飲み食いしてということもあっただろうが、今はない。
    「記者クラブの便宜強要ってあったかい?」って記者仲間で話になって、「プレスリリ−スもらえるね」「記者クラブがなくなれば、警察なんかだともらえなくなっちゃうね」とか。
    「会見に変なライタ−が入ってきて、変な質問されて二度と会見しないって言われたら困るな」とかいうところまでで止まっちゃってる。
    行政機関や警察機関の情報公開はどうあるべきかとか、そういうところまで頭が回ってない。
    「そんなでかいことは誰か偉い人が考えてくれよ」という感じ。

    Q.プレスリリ−スありマスコミ批判もあり時間の制約もあり、大変ですね?
    A.朝から晩まで労働時間が長い。肉体的にも精神的にも大変で、2,3年で辞める人が多い。

    Q.女性は少ないの?
    A.テレビは元々女性が多いが、新聞でも1/3か1/4は女性。
    地方に若い記者が多いから女性は最近増えている。若い記者の中に女性が多いから。
    経験と積んだ部署だと女性がいないから。

    Q.最初から記者クラブじゃなくて独自に取材を進めるように育てようとはしないの?
    A.似てるようなのが日経。企業担当なので、あまり記者クラブに頼らない取材をするやり方。
    普通の全国紙やNHKは、地方の警察周りからはじめる、「サツまわり」と呼ばれるものね。
    昨日新人と飲みに行ったが、「こんなに現場に出れないもんだとは思いませんでした」と言っていた。
    現場に出たいし、そういうのが取材だと思って入ったけど、実際は遠いから行けないから電話でとか、夕刊の締め切りがあるからそれまでに現場行って取材してたら間に合わないから電話にしようとか。
    タクシ−代がもったいないとか。(笑)
    「当局以外の人になかなか会えないのはつまんないね」と言ってた。
    若い人たちばかりでやってるから、地方は問題点が明らかにならないのかもしれない。
    デスクが記者クラブ問題に理解が深い人だと「発表ばっかりやってないで」という話になるけど、逆に中央省庁ばかりいた人だと記者クラブ重視の方向に行っちゃう。
    地方の記者は、デスクのキャラクタ−で変わっちゃう。
    重要なのは出て行く原稿で、現場に行けば、必ず良い原稿が出せるのか?
    そもそも締め切りは絶対に守らなければならないし。
    現場へ行きました、それで思い入れがあって100行200行書いてそれが載るかというと紙面の柵組みからして載らない。
    よほどうまい書き方ができれば別だけど、載らなければ読者の目には触れないのだから、民間企業の人間としては、無駄な取材になっちゃう。
    社員ジャ−ナリストの限界であって、それが決定的な問題だと思うならフリ−になるしかない。
    でもフリ−になったら原稿買ってくれるかという話になるから、全てのいいとこ取りはできない。
    後輩ができた時に、「仕事を穴を開けない範囲でやりたいことをやりましょうよ」としか言えない。

    Q.原稿の面積という制限はきついですね?
    A.もっと紙面があればいいのになと思うこともある。
    新聞を書く人とレイアウトをする人は違う。
    それぞれに事情があって、エディタ−とライタ−を分けた方がいいということらしい。
    書く方からすると不満だけど、レイアウトする方からすると日刊新聞で夕刊もあると、常に分単位で仕事をしている。
    何時何分に何行の原稿が来ないと許せないってことになっちゃう。
    配達する人の歩く時間から全部逆算しているので、締め切りまであと何分という風に時間に追われてやってるわけ。
    そこまでやる必要があるのかなという気もするが、日本の新聞はすごく速報主義なので、速報するためには電話のがいいし、ヘリ飛ばしてうるさいって言われるけど、ヘリが現場に着くのがいちばん早いから仕方ないじゃないかというのもある。
    取材手法に配慮して、じゃあ夕刊に写真がなくていいのかって話になっちゃう。
    新聞を買う人が許してくれるのかって言っちゃうと商業主義という考え方もあるけど、やっぱり商売だから。

    Q.記事には記者の都合があるんですね?特に読者は新聞に信憑性を求めると思うけど
    A.新聞の記事にあるのは人間で都合があるが、人は新聞を厳しい目で見る。
    パッケ−ジとしての新聞がある。
    信憑性があると思われているから取材できるという面もある。
    2ちゃんねるを見てても「朝日はねつ造がばっかりで」と書かれているが、僕たちが見ても、朝日は事実関係の確認をいちばんやっているよねという印象を持っている。
    基本的に新聞記者はみんな真面目にやってると思う。
    ただ真面目にやってるんだけど、人間だから出世欲もあるし、会社に入る時にいろいろな希望を持って入ってるし。
    特ダネ取るにはどうしたらいいかということで無理が生じてくることがある。
    怪しいけど書いちゃおうかみたいな。
    人事異動の間際には怪しい特ダネが出る。
    そんな新聞記者の野心もあるし、たまたまその記者に取材を受けた人が、その野心のために犠牲になっていいのかっていうとそうではない。
    その人にとっては、一生に一回の取材かもしれない。
    私が出世するために泣いてくださいっていうのは許されないこと。
    真面目にやってるが、人によって真面目の尺度が違う。
    組織の中でいろんな制約があって、読者が期待していたことと違うことが出ちゃうとか取材を受けた人を傷つけちゃうとか。
    悪意を持ってこの人を傷つけちゃえと思ってやっている人はいないと思う。
    結果としてご迷惑をかけちゃうことがあってはいけない。

    Q.ジャ−ナリストと会社員と良心がある
    A.その中でどうバランスを取っているか。

    Q.個人の資質ということは?
    A.末端が声を上げにくいというのは、新聞社だけじゃない。
    上司と喧嘩するくらいなら辞めちゃえばいいという考えを持っている人もいるし。
    自分はどうかと言うと、東京で仕事をしたいから、会社と喧嘩して睨まれたくないとかという気持ちがないと言ったら嘘になる。
    だからと言って、読者の人にそれを見せてはいけないから、仕事は仕事として、癒着しててはだめだという意識はある。

    Q.地方は新入社員が多いということですが?
    A.今の新入社員は真面目に仕事を覚えたがっている。
    上司の言ったことを先生の言ったことのようにまじめに受け止めている。
    もうちょっと昔はひねくれ者が多かった。
    本当は君何やりたいの?何書きたいの?みたいなそれぞれのジャ−ナリズムってあると思うけど、今の新入社員にはないと感じることもたまにある。
    でも、会社だからそれでもやれるし、仕事は降って来るし、これから見つかるということもある。

    Q.中央と地方の多きな違いは?
    A.違いは、若い人が多いことと地方紙のように地元にずっといる人が多い。
    全国紙では、いろんな経験を積んできた人は、地方の現場にはいない。

    Q.同じ記者クラブにいても全国紙と地方紙では全くちがう?
    A.違う。
    他の県を知らないので、他の記者クラブのこと自体意識の中にない。
    県内を行ったり来たりので、地元紙の人が、記者クラブの中でリ−ダ−シップを取っているということもある。

    Q.クラブボス?
    A.ボス的に振舞っている人もいるが、会見は幹事社が仕切る。
    会見だと、地方紙の方が細かいことまで聞いてるなと思う。
    あまり県庁の批判はしないという印象はある。
    ずっとそこでやっているので、人間関係もあるし、地方紙の方が、いろんな面での気配りはあると思う。
    もしかしたら何でも知ってるけど、地元だから書けないんだなと思うこともある。

< お詫び >
今回のインタビュ−は電話取材でしたが、録音の際ノイズが入ってしまい、前半と終わりの部分の会話が潰れてしまいました
聞き取れない部分は、私の記憶を辿って書かせていただきました
微妙にニュアンスが違ってしまったり、読者の方が読んでいて違和感を感じられることがあるかもしれませんが、これは私のミスです
インタビュ−を受けてくださった方へはせっかくお話してくださったのに、申し訳ない気持ちでいっぱいです
また、読者の方へも正確にお伝えることができなくて申し訳ありません
次回からは、テストをするなどして、このようなことが2度とないように気をつけます
申し訳ありませんでした

|

« 記者クラブの表と裏 【取材記7回目】  | トップページ | 覚書って読んでもらえてますか? »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。