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2005年6月13日 (月)

記者クラブの表と裏 【取材記12回目】 

6月3日取材

地方のテレビ局に勤務する30代の男性にインビュ−をしました
今は、番組担当のディレクタ−さんですが、以前は経済系の記者クラブへ所属なさっていたご経験をお持ちです

「新聞社の記者の上にはデスクがいて、テレビ局にはディレクタ−がいてADさんがいるのだろう
外を駆け回ってネタを拾ってくるのはADと呼ばれる人たちのお仕事なのかしら」
と、私は勝手な想像をしていましたが、テレビ局でも、ニュ−スのセクションにはディレクタ−と呼ばれる人はいないそうです
テレビ局のニュ−スセンタ−というところのスタッフが、どんな構成で成り立っているのか、最初に説明しておきます

テレビの世界も新聞と同じで、上にはデスクがいてその下には記者がいます
記者がディレクタ−役をするんですけど、記者はだいたい総勢30〜50名くらいいて、そのうちの半分が内勤ですね
内勤というのは、VTRの編集をしたりとか、ニュ−ス原稿を最後に仕上げてアナウサ−に読ませたりとか、そんなような仕事をしてます
その残りの半分が外勤なんですよ
外勤が記者クラブを守っていたりとか、常駐していたりとか
全部の記者クラブに貼り付けるほど記者の人数はいませんから、外勤の記者は、4つとか5つとかの記者クラブをぐるぐると回るんです
記者クラブにあるリリ−スや、記者会見の予定とかをチェックしに行くんですね

テレビの記者と新聞の記者では、記者クラブの活用に違いがあるのか聞いてみましたが、ほとんど違いはないそうです
あるとすれば、記者クラブにいる時間が短いということ
そのお陰で、面倒な幹事業務を省いてもらえる記者クラブもあるそうです

取材して原稿を書くのは外勤ですが、ニュ−スの尺を決めるのはデスク、外勤の記者が書いた原稿をデスクの指示通りに仕上げるのが内勤の記者の仕事だそうです
例えば60秒の原稿を記者が書いてきたけど、60秒も枠がない
30秒に縮めたいという時に、内勤の記者がやります
外勤の記者は、だいたい50〜60秒だろうなと思って、感覚でその会見を聞いた記事を書くんです
60秒は、多分400字くらいだと思います
1分読むのに、NHKさんで原稿用紙1枚、民法でそれよりもちょっと多いくらい
民放の方がちょっと早いんですね
普通のストレ−トニュ−スと呼ばれるいろんなニュ−スが出てくるものだと、1つのニュ−スがだいたい1分くらい
だから、だいたい400字くらいの原稿を書くんです
原稿をメ−ルで送って、『これはちょっと長いなぁ、今日のニュ−スは他のニュ−スもいっぱいあるので、30秒で切りましょう』とデスクが決めて、内勤の記者が30秒にして映像を付けて出すんです
カメラは外勤の記者の後にいますけど、カメラの映像は、電子メ−ルで送るようにはまだなってないんですよ
だから、社内に常駐している契約したバイク便の人に取りに来てもらって、走ってもらう
バイク便の人に、『どこどこの記者クラブで会見の絵が出るから何時何分に来てくれ』と連絡するとその時間に記者クラブへ入ってきて、テ−プを受け取って本社に届けてくれる
昔から資料映像で出ている場合は、内勤の記者に探してもらうんです

外勤の記者にとって原稿を書くために必須なのはパソコンです
パソコンは会社が記者に貸与してれます
報道記者には報道記者用のニュ−スの記事を書くためのソフトが入った専用のパソコンがあるんですけど、ワ−ドとかじゃなくて、その日のニュ−スがどういう項目で出ているかっていうのを実際に見れる端末があるんです
それを持って原稿を書くんです
記者クラブには電話回線だけ来ているので、それにつないだら、記者クラブにいてもその日の項目が『今日の夕方のニュ−スはこんなニュ−スだ』とわかるんです
それを見れば、自分は、これくらいの量の原稿を書けばいいんだなということがわかるシステムがあるんですよ

原稿を書くために欠かせないパソコンですが、記者クラブも外勤の記者たちにとって必須アイテムのようです
リリ−スがないとニュ−ス枠が埋まらないんですよ
それを全く排除されて、何もない丸腰で一から取りに行けと言われたら、特に大きな事件のない日のニュ−ス番組は埋められないですよ
だって、記者が全部で40名いたとして、中に20名外に20名いて、40分のニュ−ス番組を小さい1分のニュ−スで埋めるとしたら、ひとり1日2本取らなければいけないことになります
ひとり2本、新しいネタを何の手がかりもないところから、毎日ですよ
そりゃあ『隣の犬が死にました』『近所のおばちゃんがお酒に酔っ払ってくだ巻いてました』っていうニュ−スならいいですけど、そうでなければ、絶対埋まらない
そういう意味では、記者クラブというところに所属していて、毎日リリ−スがたくさん来て、会見の情報などをつかめるというところに支えられている部分はありますねぇ

逆にプレスリリ−スに埋もれているという意識はないのでしょうか
埋もれているということはないですね
それはバランスだと思うんですけど、大きなニュ−スがあった時は、他のネタの取材をしに行きにくい
流石にひとりでは無理なんですね
リリ−スがあるから、その人間はそこを守って、別の人間を関連取材につけるということは、多分新聞社でもやっていらっしゃることだと思います
他に大したリリ−スがない時は、逆にひとり市役所にいる記者が別の取材に出る時は、『すみません、今から別の取材に出ますので、何か重大なリリ−スがある時には、本社のデスクに電話してやってください』と記者クラブの世話をしてくれている広報担当にそういうお願いをします
自分がいない時でも、情報が本社に上がるようにお願いはしておくんです
それは常識とまでは言いませんが、記者クラブの中で暗黙の了解です
特オチしないようにということなんですけど
逆に言ったら、それがなければ記者は、記者クラブから一歩も出られません
明文化はされていないですけど、便宜上そんなやり取りを許してもらっている
もちろん全部が全部、そういう記者クラブではないですよ

記者クラブに加盟していないと受けられない便宜は他にもあります
例えばなんですけど聞いた話で、県警記者クラブにいた時、捕まった容疑者の顔が、車に乗って出てくるところをテレビカメラで撮っていたりとか写真で押さえてたりするケ−スがあります
警察の建物に入って行く時に、車から下りて警察官に付き添われて入って行くシ−ンなんかもあります
それが、容疑者の顔が誰にも見られる場所だったら困りますよね
だから、普通の人は入れない場所にあるドアから容疑者を入れたりするんですよ
その時に『撮影便宜』というのがありまして、『今日の何時にその容疑者を本部に連れて来るから、記者クラブ加盟社は、どこどこにいてください』と連絡があるんです
その時間に行くと、車が入ってきて、その容疑者が建物に入って行く3秒か4秒の間、顔が撮れるチャンスがあります
そんな取材便宜を記者クラブ加盟社には、警察署ははかってくれるんです
でも、加盟以外のところは、その情報を知りませんよね
ということは、雑誌社は、凶悪事件の犯人の写真が撮れるならその写真を撮りたいと思うんですけど、そこには記者クラブに加盟していないから入れてもらえないんですよ
新聞社などはそこに雑誌の記者を入れようとはしないんです
それは、ある意味意地悪なのか、あるいは記者クラブの部屋でのスペ−スがないという理由なのか、詳しい理由はわかりません
雑誌記者は、車に乗っている写真しか撮れない
僕らは、記者クラブに入ってますから、もっと中にいて、車が停まって容疑者が出てくるところを撮れる
差がありますよね
この差は歴然とあるんですよ
だから、雑誌社の人が後で指を加えて『いいなぁ』と見てるんです

便宜については、
報道の自由があるのですから、報道機関の中で入るところと入れないところがあるっていうのは良くないと思う
と、記者クラブの閉鎖性を指摘なさいます
その反面、
もっとオ−プンにした方がいいという考え方は、間違ってないと思います
オ−プンにしてもいいと思う

と言いながらも、
記者クラブに入りたいという雑誌社がいる、あるいは、新しい新聞社ができて加盟したいと言っている、そこを排除する理由はないじゃないですか
正直な話、報道の自由があるので、入ってもいいと思うんですが、親睦団体とか取材拠点とかといろいろ新聞協会が言ってますよね
あれがある限り、各新聞社の本音の部分で、どこの馬の骨ともわからない人間を入れて、記者クラブを荒らされたら困るとか、そういう感覚もないわけじゃないですね

と言います
今自分たちの仕事が円滑に流れているので、それを壊されたくないというのが、本音のようです
「実際に困ったことがあったのですか?」と質問すると、
いや、僕は経験したことないですね
と言います
では、どんな困ったことが予想できるかと聞いてみると、
記事の内容に制約はしないけど、ただル−ルを破られるのは困ります
例えば、記者会見をすると言っている人を会場の前でつかまえて質問をして、10分ぐらい前に記事を出すというようなことです
そういうことは実際にはないですけど、例えば『明日の1時に○○銀行が、こういう内容の会見をします』という情報は、記者クラブへ行けばボ−ドに書いてあるんですよ
それを知っているということは、明日こんなニュ−スが出るということをわかっていますよね
その情報を元に、そこに聞きに行くこともできます
もちろん銀行もしゃべりませんけど
というのは、銀行側も、会見をするまではオ−プンにしないという情報のセキュリティを考えますから
例えば、A銀行が新商品を出すので、おしなべて広く報道したいという時に、記者クラブに『明日の3時から内容の会見をやります』と連絡します
その時に加盟している記者が『スク−プしたいから、先に話を聞かせてくださいよ』と言ってスク−プをしたら、他の記者が書かなくなってしまう
銀行としては、全部に書いて欲しいから記者会見をするわけで、他の新聞が書かないのは損なので、『別にそんなに早く聞かなくても、明日の記者会見でいいじゃないですか』ということになります
会見の予定を入れるまでにその情報を掴んで、その銀行に聞きに行って、誰かがポロっとしゃべって記事にするのはいいですけど、会見の予定が出た後に書くのは仁義に反する
そこら辺が記者クラブのル−ルなんですよ

これだけを聞くと、「横並びじゃないか」と苛立ちを感じますが、会見する前に情報を流してしまうことは、もっと深刻な問題を含んでいます
紳士協定で『いつ会見を誰がするのかなどの情報を他の人に漏らさないでくださいよ』ということを条件に会見予定をボ−ドに書いているわけですよね
そこに不特定多数の人間が入ってきたとしたら・・・
緊急会見の場合はそんなに問題はないでしょうけど、新商品の情報が出ると、株が上がるじゃないですか
『今のうちに株買っておこう』と思う人が出てくる
それはインサイダ−なんですよ
こういう情報管理もできないといけない
記者クラブをオ−プンにしたら、問題になる情報も中にはあるでしょうね
みんなが推測で動いて、おかしな情報が出ちゃったということも考えられるので、必ずしも100%全員が情報を見られるような、例えばインタ−ネット上で会見予定を出すというところまで行ってしまって大丈夫かなという気はする
でも、記者クラブだけ情報を独占するっていうのは、どうかなとも思いますし、個別のケ−スを考え始めたら、僕らが思いめぐらす領域では、起こりうる問題は想像できないですね

と、ジレンマに陥っているという様子でした

お話を聞いてると、記者クラブにはル−ルが多いという印象を受けます
そのル−ルとは秩序を乱さないためのもので、私は、外国にあるミッション系の学校に併設された規則の厳しい寮を連想してしまいました
秩序を守るためなら、記者クラブ加盟社にも厳しくするようです
記者クラブにいて横柄な態度を取ったらつまはじきにされますからね
それだけで秩序を乱しているということになりますから

と、記者会見では、紳士的に質問をしなければならないそうです

そこで思い出されるのが、JR西日本の記者
ああいう記者は、大抵記者クラブの記者じゃないですから、遊軍の記者が来て、かますんですよ」
時には記者クラブに所属している記者たちも、連なって取材対象者と心理合戦をすることもあるそうです
「変なテクニックとしてJR西日本のような、ああいうのがあるのは間違いないです
1度あったのは、ある企業の社員が社内の毒物を持ち出してばら撒いたという事件
デスクに『その企業に行け』と言われたんです
ところが、事としては重大な問題なのに、その企業の広報は、なかなか情報を出したがらない
すると、その企業のロビ−に詰めている記者たちに、自然と役割分担ができてくるんです
ガァ−と『どういうことだ?言えよ!!』という人がいたら、別の社の記者は、『ここはちゃんと出しとかないと、納まりませんよ』と普通に言う
また別の社が『ここまで情報を集めて来てください、待ってますから』と紳士的に言うなど、いろいろスタンスが分かれるんです
それがないと本当の情報が出てこないという場合もあります

劇団みたいだと思ってしまいますが、この時記者クラブの記者たちは打ち合わせなどせず、自然に役割分担ができたそうです
飴と鞭を使い分ける記者たちの集団に対してディレクタ−さんは、「情報を引き出すのが記者の仕事」と言いますが、それでいいのかなぁと疑問に思います

記者クラブへ所属する記者たちが、スクラムを組んで取材対象者から答えを引き出すことは、談合のはじまりになり得ないのかと、私は危惧します
公権力の監視という点では、それも有効だということは理解できますが、個人で地ベタを這い回り、取材をしているジャ−ナリストも山ほどいます
そういう記者が入りたくても入れない記者クラブの体質がとてもおかしいと思うのです

オ−プンにするということは、ル−ルを失くすということではないと思います
ディレクタ−さんも、
情報を漏らさないと約束できるのなら入れてあげましょうと、ちょっと敷居を低くするということはしてもいいんじゃないかな
とおっしゃっています
今までインタビュ−をしてきて、「オ−プンにした方がいい」とみなさんおっしゃるのですが、未だに記者クラブは閉鎖的で、当事者の感じることと現状が、あまりにもちぐはぐだと思うんです
「どうしてなんだろう」と考えてみた時に、現役の記者さんたちの言葉を思い出しました
「記者クラブがなくならないのは、記者クラブがあると仕事がしやすいから」
では、オ−プンにすることは、記者たちにとって不都合なのでしょうか
今の記者クラブは、仕事がしやすいのと同時に、記者個人の責任の所在が明確になっていない気がします
記者にとって、個人の責任が特定されないから仕事がしやすいと感じるのであれば、それは大きな問題です

また、問題の改善について質問した時に、多くの記者たちが「個人では変えられない」とも口にします
報道機関と一般の企業では、その役割に大きな違いがあるわけですから、上司や経営者だけに責任を押し付けることが正しいとは思えないのです
しかしながら、組織の中にいて、その内部から声を上げることは、とても勇気が必要なことです
今まで、自分が所属している組織の問題と向き合い、その正義感から内部告発をしてきた人たちは、ヒ−ロ−扱いされるどころか、社会からつまはじきにされているような印象があります
そんな人たちを取材しながら見てきた彼らだから、内部から変えていくことの難しさを知っているのでしょう
だからと言って、このままにしておいていいのかということになります
かつての銀行のように、目と耳を塞ぎ続けて、外圧による変化に身を任せるのでしょうか
私には、そんな記者クラブが、世の中の批判をし、日本のメディアの中枢という扱いを受けていることが、やっかみ半分ですが滑稽に見えます

6/14 訂正 UPする際最後のまとめの部分が、ミスで抜け落ちていましたので追加しました 



取材記本文に書ききれなかったお話をご紹介しておきます(順不同)

<記者会見での裏話>
会見で話す人は、広報の人ではなく、その商品の担当者だったりするので、ものすごく緊張して何言ってるかわからない人もいます(笑)
紙を読むだけの人もいるので、「そういう人は、何のために来たんだろう、それだったら紙を投げ込んでくれたらいいのに」って思います
緊張している人でも、ソフトな質問をしようとは、考えてないですね
逆に慣れている人もいますね
アナウンサ−志望だった人がいて、まるでニュ−スを読むようによくしゃべりました

ライバル企業とは、記者クラブで鉢合わせになりたくないという企業もあって、前後に『○○会社は来てませんか?』という話があって(笑)
リリ−スを撒きに来る時だけでも、ライバル企業とは顔を合わせたくないんですね

どうでもいい会見で、僕らはカメラを入れたんですけど、他はどこの社も来てなくて、1社対1社で、独占インタビュ−したということがありました
ちっちゃい記者クラブだったので、常駐している記者もほとんどいなかったからということもあるんですけど
撮ったんですけど、使ったかどうかは忘れました

わかってない記者が来た時は質問をしないので、「その質問はないだろう」というような質問を記者がすることは意外にないですよ
いつも決まった質問をする人はいます
「またあの人が質問したらこの話だ」というのはありますが、それは会社の特徴なんです
例えば、ロイタ−通信社は、世界中に投資情報を発信してますよね
そこの記者は「設備投資はどうですか」という質問を必ずします
でも、テレビとかは設備投資ってあんまり興味ないんですよ
会社がどれくらい儲かっているのか、どんなことで儲かっているということが興味関心の的なんで、「また設備投資?」(笑)って思ったことはありましたね
同じ企業の会見でも、記者によって聞くポイントが全く違うんですよ

会見中に全然質問できなくても、聞きたいことが聞ければいいんです
逆に自分だけが聞きたい場合は、会見が終ってからぶら下がりをやるんです
会見でやっても構わないのですが、自分の視点がネタということなので、他社には取られたくないんです
僕の質問を他の社に聞かれたら、それを元に記事を書かれますから
翌朝の朝刊に僕の質問が見出しになったりすると、もったいないででしょ
だから、あえて会見では質問をしないんです
会見が終ってからは企業の担当者も尊重してくれます
社によって切り口が違って、それで勝負をしているということを相手は理解してくれていますから
逆に他社の記者の質問から
「あの会社があんな質問をしたということはそういう取材をしてるんじゃないの?」
と思うことがあります
そう思ったら、3日後ぐらいにそういう切り口の記事が出ていて「ああやっぱり」ということもあるんですよ

<企業にとってのメリット>
証券取引所が終った時間に、社長が行う緊急会見を入れてきたとなると、相当深刻な話が出てくるんだなと思う
株式会社は株主に対して、速やかに情報公開をしなくてはいけないという決まりがありますから、記者クラブは、その時に使う機関
猫の手も借りたい時に、全社にいちいち電話をかけることができませんよね
しかも全ての会社からどっちが早かったとか遅かったとか言われないように電話をかけなければいけない
それは流石に記者クラブがないと大変ですよ
記者クラブがあれば、企業にとっては、1箇所(幹事社)に電話をすれば、加盟している全ての報道に自動的に連絡をすることができる
むしろ、記者よりも企業の方がメリットを感じてくれているかもしれない

<自分の原稿を他人に手直しされることについて>
60分の原稿を入らないから30分にするというのは仕方ないです
直された原稿をチェックして、これはまずいと思ったら「この部分は入れてもらわないと困る」と電話で言います
特に経済のことは、デスクが理解していないということがありますから
僕は取材をしてわかってますけど、デスクとか内勤は経済のことはわからないこともあります
そういう場合は「どこを落としたらいい?」と逆に聞いてきます

<フリ−になろうと考えたことはない>
ないです
サラリ−マンの立場は守られていますから
お金の面でもそうですし、仕事の面でもそうです
フリ−だと自由なことができますけど、そのフィ−ルドを与えられるまで時間がかかりますからね
僕らは、局が持っているこれだけの面積の中で、仮にニュ−スの記者じゃなくても番組のディレクタ−になれる
番組が出せるところにいれば、自分の作品が出せる
フリ−になろうなんてあんまり思ったことはないですね
僕らには締め切りがある
絶対に穴を空けられないから、2つも3つもネタを抱えながら、それをパズルのようにはめ込んでいくんですけど、それがないと張り合いがないんですよ
締め切りがないとネタが腐りますから
この日のこれに出すために最適なネタを取材してここに当てるということをするわけですよね
新聞を読みながら、「こんな事件が起こっているからこれをすぐやろう」とか「これはいつでもできるけれど、出演者にこの人がいた時の方が盛り上がる」とか
あんまり早く仕上げると「腐ったな」「もう臭いかけてるから止めよう」とか言いながら・・・そうなったらもったいないですよね
仕事であんまりつらいことを考えたことがないんですよ
夜回りは好きじゃなかったですけど

<夜回り>
夜回りは、カメラを持って行かないという決まりがあるんですよ
先にそこに着いた順番で、ひとりずつ中に入ると決まっているんです
玄関先ですけどね

Q.ひとりずつ行くということは、みんなに同じ話をしているとは限らないですね
A.自分の好きな会社に特ダネを出すということはあると思います
ないとは思いますけど、賄賂があるかもしれません
男女の関係もないこともないかもしれません
賄賂は会社のお金にはならないので、裏金ということになると思います
全くゼロだとは言えないと思いますねぇ

<マスコミ批判>
マスコミ批判されているけど、マスコミが仕事を辞めたら、批判している人たちも困ると思うんですよ(笑)
もちろん批判を受けたらその部分については、反省する必要があるんですけど、中には理不尽な批判もありますよね
理不尽な批判については、耳を貸さないようにします
今回のJR西日本の暴言を吐いたというような批判は、聞かないといけないですね
「尼崎の脱線の時に、ヘリがやかましかった」ということも言われています
ヘリの騒音で虫の息になっている人たちが、助けられたんじゃないかというのがありますから、それは当然だと思いますね
言い訳できないと思います
でも、そしたら横の安置所を借りて、クレ−ン車を使って上から映像を撮ることまで制約されてしまうと、全く映像を撮れなくなってしまいますからね
ヘリを飛ばさないためにクレ−ン車を使っているわけで
ヘリも飛ばすなクレ−ンも置くなというなら、どうすればいいって言うのか、映像を撮るなというのか
それはいくら一般市民の意見と言っても、あまりにも身勝手な・・・
そこまで制約されたら、報道の自由を規制されるみたいなところがあって、それはできない相談ですね
かと言って、現場で何をやってもいいとは言いませんけど

<マスコミの信憑性>
日本人って新聞とかテレビをすごく信用する国民性があるんですけど、それはもういい加減にしておかないといけないなぁと思います
それは、僕がテレビ局に入る前から思っていたことです

Q.変えてやろうぐらいの気持ちはありました?
A.それは無理です
ひとりの力では無理です
「テレビではこんなことを言ってるけど、僕はこう思う」という時代に早くならないと、世の中は成熟しないと思います
僕らも普通の人間ですから、「そんなに妄想膨らまされても困るわ」ぐらいの気持ちはありますね

Q.「作ってる側も同じ人間なんだよ、わかって」というのはある?
A.いい加減わかってもらわないと
この世の中、自己責任ですよ
誰も守ってくれないんですから
「マスコミが言っていたから信用したじゃないか」と言われても・・・
そりゃあんまり信用されないのも困りますけど、100%信用されても、価値判断はある程度自分でしてもらわないとというのはありますよね
情報を取捨選択するのは国民ですから

<テレビ局の社員としての本音>
Q.テレビがメディアで絶対的な存在と思っていない?
A.そう思うのは、読者や視聴者からの信頼を得る上で、絶対でありたいという理想を持っている人だと思います

Q.テレビ局の人が書いたブログって少ないですよね
A.忙しいからじゃないですか
ブログで表現しなくても、テレビは、新聞記者ほど抑圧されていないので、ブログで表現することもないのかもしれないですね

Q.新聞よりテレビの方が敷居が高いのは、クレ−ムが多いから?
A.そうでしょうね
クレ−ムを現場で対応したら仕事にはならない
よっぽど建設的な意見じゃないと、現場まで上がってこないんですよ
「ご意見は伝えますが」と言いながら、伝わってないこともあります
そういうことがあるということも何となくわかっています
まぁ、しょうがないですよね
クレ−ムは月1000件以上ありますから

Q.そんなにテレビ局に電話をする人が多いとは・・・
世の中の人は、みんな何か言いたいと思っているんですかね
A.言いたいからと言って、何でもかんでも言われてもねぇ

<文責/泉 あい> 


明日は、新人の記者さん2人のインタビュ−をUPします

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コメント

この記事を読み
取材、というのはモロに人間相手の仕事なのだなぁと
つくづく感じましたね・・・
諦めてはいけないのでしょうけど
しかしなかなか難しいものですね・・・

(あいさんごめんなさい、今やっとまとめた時間とれました。)

投稿: ぼこ。 | 2005年6月23日 (木) 21時57分

ぼこ。さん
お忙しいようでいらっしゃいますね
ぉ天気もコロコロ変わりますから、体調崩されないようご注意ください
ご覧いただけて、コメントまでいただいているのですから、すごくうれしいです
だから謝らないでください

取材をしていると、ちゃんと向き合ってお話をじっくり聞かないと見えてこないものってあるんだなぁと実感します

投稿: ぁぃ | 2005年6月23日 (木) 23時22分

この記事へのコメントは終了しました。

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