鎌倉へ行ってきました
取材で鎌倉へ行ってきました
鎌倉市役所の広報メディアセンタ−に関する取材のために行ったのですが、東京から電車で1時間くらいの近い場所なのに、空気が全然違うんですね
電車に乗って景色を眺めていると、北鎌倉駅の少し手前から、突然景色が和風になって風情を感じます
建物がみんな古くてお庭があるお宅ばかりで、マンションやアパ−トは電車の中からは見当たりません
そして、鎌倉駅に降り立つと、空気がどんどん胸の中に入ってきます
冷たくて済んだ空気と、歩く人々の穏やかな表情
インタビュ−で緊張している私も、ふっと力が抜ける一瞬でした
鎌倉市役所でインタビュ−を終えた後、自分の質問でどんな答えが導き出せたのかとインタビュ−を振り返りながら歩いていると、道沿いに立つ青々と茂る木の枝を何かが動きました
「ぎゃっねずみ???」
木の枝で止まった黒いものをよく見ると、それはリスでした
「リス????
これは放し飼いか?それとも野生か??]
立ち止まって見入っていましたが、私以外の人たちは、何事もなく通り過ぎて行きました
まぶしい陽射しに照らされた木の葉の間を初夏というにはちょっと早い冷たい風が通り抜け、リスは優しく揺れた木の枝の上で、かわいらしく両手で何かを掴んでお食事中
「いいなぁ・・・鎌倉」
もう少し年齢を重ねたら、週末だけでもここで過ごしたいと、新しいあわい夢ができ、ふと海が見たくなりました
鎌倉駅から、江ノ電で湘南の海の風に当たりに出かけてみよう
東京に10年以上も住んでいますが、今日私は江ノ電デビュ−をしました
電車のドアが、でっかい1枚扉でびっくり
「1両目の1番前がいい♪」
運転手さんの後ろの席は大人気で、窓が広くて運転手さんと同じ景色を眺められるその場所はとても混んでいたけど、私だってこどものように外の景色が見たいの
線路の周りに立っている家々の玄関の門が、線路に向かって建てられているのが、ちょっと不思議で笑えます
電車が駅に着く度に、いちいち運転手さんが下車して乗客から切符を受け取るので、
「これって乗客の数が多いか少ないかで、停車時間が変わってくるじゃない
JR西日本だったら大変なんじゃないの・・・」
とびっくり
切符を渡した乗客たちが、線路に入り込むために発車して通り過ぎるのを待っているのを見て、
「電車ぎりぎりに立っているじゃないかぁ・・・しかもこどもだぞ
でもこのスピ−ドだから危険じゃないのかしら
線路に玄関があるってことは、この人たちみんな線路を通って帰るんだわ」
とまたびっくり
踏み切りだって、ちゃんと道をふさいではいなくて、人や自転車やバイクなら、スっと通り抜けられちゃいそうなのに、みんなきちんと待っています
車内が混雑していても、押し合いへし合いはないし、江ノ電と共存している鎌倉の住民は良識があるぞって思いました
海の近くの駅で降り、自動改札じゃなく駅員さんに切符を渡したり、ちっちゃい商店や、空を飛ぶツバメの多さに、おばあちゃんちに来たような感覚になってちょっと泣きそうです
海はすぐそこなのに信号待ちがやたら長くて、ふと横には、私と同じようにひとりぼっちで海に来ている若い女の子が立っていました
お互い親近感を持っていると感じながらも、声をかけることもなく信号が青に変わり、一歩踏み出すと、潮の香りが突然強くなります
一緒に信号待ちをした仲なのに、若い女の子はさっさと海に下りて、ひとり砂浜を歩いて行っちゃいました
私は、仕事で鎌倉へ来たので、ストッキングにパンプス
40歳目前の女がひとり、波打ち際できゃ−きゃ−言うのも不気味な光景だろうと、ガ−ドレ−ルに寄り添って海を眺めました
「こんなに広い視界は久しぶりだなあ
あれが江ノ島、あそこが房総半島
いいなぁ・・・葉山に別荘持ってる人・・・」
ぐるり見渡すと、さっきの若い女の子が、女の子がどんどん歩いている姿が見えました
「失恋したんだろうなぁ・・・私も高校生の時、塾をサボって海を見ていると、痴漢がいて泣きながら走って帰ったなぁ
今もひとりで海を眺めているさみしい女と思われているんだろうなぁ・・・さみしい・・・」
ひとりで海に来ることは、どんなに天気が良くてもさみしいものなのですね
マクドナルドにもひとりでは入れない私ですが、勇気を出して海が見えるカフェへ入ってみました
テラス席でいただくエスプレッソが体中に溶けていきます
でも、寒いよ
波の音なんて忘れていた自分に気がついて、自然の音へ身を任せる心地よさを実感してきました
頭の中はひとりの世界で、いろいろなことを考えて、長い飛行機雲の先っちょに空高く優雅にはばたくとんびを見つけて、
「あれはあれで生きていくのが大変なんだろうよ」
と雨にうたれて凍えるとんびの姿を想像し、人生誰でも何でもつらいのは同じだなと納得するのです
同じ波、同じ空を眺めたまま、どのくらい時間が経ったのでしょう
空には大きくてきれいな月が出ていました
追い立てられるような生活、それが心地よかったりもする
鎌倉に住んでいる人がうらやましいとも思うけど、退屈だって思うこともあるのかなぁ
大きな月に見とれていると、ボ−イさんが、
「きれいでしょ?僕は毎日見れるんです」
と言って、にこっと笑いました
生活する上での価値観って何なのでしょう
ずっとここに座って考えてみたいけど、そろそろ帰らなくちゃ
鎌倉ではガラガラだった電車が、東京都内に着くなり、いきなり激しく混んできて、ドア付近の人たちが、ガンガン押し入っていました
私も駅へ着いて、やっとの想いをして降りて、乗り換えのためにまた別のホ−ムで待つ
ホ−ムに入って来た電車の中で座っている人たちの表情は、鎌倉の人たちとは少し違う気がしました
歪んで、肩に重い物をいっぱい背負ってるって感じに見えるのは、きっと私の考えすぎだけど、それでもこんな東京が好きだなって思います
鎌倉に住んでみたいと真面目に考えたりもするけど、東京くらい人がいっぱいいる中に紛れて暮らすのが、今の私には心地いい
みんなそれぞれ生きていて、ひとりひとりに生活があって、いろんなことを考えてる
久しぶりに訪れた鎌倉の良さに触れて、東京の良さをも改めて感じ、自分はもしかして人好きなのかもと知った長い一日でした
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コメント
ステキな時間を過ごされたんですね。
なんだかキレイな小説を読んでいるような、あったかいキモチになりました。
私も、いつかそちらに行くことがあったら江ノ電で鎌倉を旅してみたいと思います。
あいさんと同じように感じることができたらいいな。
投稿: えみーゆ | 2005年5月24日 (火) 12時39分
うわー・・カンドウした・・・。
あいさんはほんとうに、正直にかきますよね・・。
素晴らしい短編を読んだような気がする・・。
今日はへこんでいたのでなんか慰められました。
どうもデス!
投稿: ぼこ。 | 2005年5月24日 (火) 19時24分
お疲れ様です。去年、北鎌倉の円覚寺に行った時に、私も「のどかだな・・・・」と思いました。
投稿: 某S | 2005年5月24日 (火) 20時18分
気持ちのいい文章、感謝です。
投稿: Hagi | 2005年5月24日 (火) 20時56分
大学卒業してすぐの夏に「江ノ電」に乗りたくて遊びに行ったときのことを思い出しました。
かわいくて魅力的な電車と街ですよね♪
すてきな文章でした・・・
投稿: あや助♪ | 2005年5月25日 (水) 13時30分