クリック募金に見る善意とは? 【取材記5日目】
3月25日取材
クリック数や寄付した金額などの情報が、そのHP上には見当たらないクリック募金のペ−ジを見つけました
宗教法人「生長の家」が運営しているペ−ジです
寄付先である「WFP 国連世界食糧計画」へ確認したところ、お金は確かに振込まれています
悪意を持ってクリック募金をはじめる人はいらっしゃらないと思いますが、クリック数がリアルタイムで表示されていないので、その数字が正しいものなのかは確認できません
生長の家さんも、クリックするユ−ザ−も、協賛している企業も、良いことをしているのにも拘わらず、私の胸はなんだかすっきりしないのです
「ここでクリック募金ができます」と、この生長の家さんのペ−ジも、あらゆるHPで紹介されています
全く情報公開をしていないこのペ−ジに何の疑いも抱かずに、他人に紹介し、クリック募金をしようと勧めていいものですか?
クリック募金は、実際にユ−ザ−がお金を支払うわけではありませんが、普段開かないペ−ジでもこのペ−ジを開けば社会貢献できるからと、ユ−ザ−は、ほんのちょっとの手間をかけます
実際にお金は動かないけど、その小さな手間の中には、ユ−ザ−の気持ちが込められていると思うんです
その気持ちに応えるには、クリックがいくつあって、これだけのお金をいつ、どこへ納めましたという情報を公開すること以外にないと私は考えます
そこに、忙しいとかシステムがわからないという理由は通用してはならないという気がしてなりません
「こちら豊島区池袋雑食課」より
善行をするからと行って、その人間が善であるとは限らない。
良かれと思ってやっている事が、総じて善であるとは限らない。
この言葉を読んだ時、「なるほど〜」と思い、また「こわい」とも思いました
私の突然のインタビュ−に答えてくださった方はとてもいい人だと感じたし、生長の家さんに訪ねた時も嫌な印象は全くありませんでした
でも、クリック募金で善意を募っておきながら、その行方がどうなったかを公開しないことは、「怪しい」と考えざるを得ません
そして、このことだけに注目した時、クリック募金全体の評価を下げることにもなりかねないと思います
やっていることは善なのに、運用次第で悪と評価されることはこわいと思いました
クリック募金はとても機能的で気軽に社会貢献できるシステムだから、個人のHPでクリック募金をはじめている方もいらっしゃるようです
世の中のために良いことをしたいからするんだという考えは素敵なことだけに、その運用方法をしっかりと考える必要があると感じています
- 宗教法人 生長の家 広報・編集部 課長 本部講師 花田 研さんに話を聞きました
Q.クリック募金をはじめるまでの経緯は?
2年くらい前になるでしょうか。
私どもは宗教団体になるので、宗教的愛の実践ということで、災害が起こった時に災害を受けた困っていらっしゃる方に援助をするということで、募金活動を行っていた。
最近では新潟の地震、スマトラ沖地震も。
他には、貧しい方がその日の食糧にも困っていらっしゃるので、そういう方に援助して、救援できることはないかと考えた。
賛同いただいた企業の方に協力していただいて、その企業の広告をユ−ザ−さんに見ていただいた時に、そこから募金が出るというシステムができるんじゃないかということで、実際にやってみた。Q.寄付先をWFP 国連世界食糧計画を寄付先に選んだ理由は?
信頼度がある。
認定されている国際的な機関なので、そういうところを通して寄付をしようと考えた。
どこかわからないところに寄付しても、クリックしてくださる方が躊躇してしまわれるだろう。
飢餓だけではなくいろいろな問題があると思うが、いちばんやりやすい問題であるということ。
困った人を助けましょうと言った時に、国連世界食糧計画という受け皿もあるし。
特にこうだからというんじゃないのだけど、試験的にクリック募金をはじめたので、やりやすかったということでしょうか。Q.クリック募金をはじめてメリットは?
インタ−ネットという媒体を使っているので、ペ−ジを作ってしまえば、それを見た方が誰でも参加できるというところ。
人手もかからない。
特にうちでのメリットというのではなくて、社会貢献や救援を幅広くしたいので、そのために役立っている。Q.デメリットは?
インタ−ネットという媒体なので、できない人もいるし、そのペ−ジがあるということを知らないと参加できない。
普通の募金なら、街頭に出て募金箱を持ってやれば、誰でもそこを通った方には、お知らせして協力していただくことができると思うが、HPを訪れない限りわからないということ。
うちから出している新聞や会員向けの機関誌では宣伝しているが、読んでもらわないとペ−ジがあるとわからない。
クリック募金のペ−ジは開かれたものとしてあるので、会員でないとできないということではなく、一般の方でも賛同していただければ、クリック募金できる。Q.クリック数や募金の金額など情報公開していらっしゃない理由があるの?
一度集計したことがあるが、今そのデ−タを持っていないので、具体的な数字はわからない。
特にそこまで考えてやっているわけじゃなく、試験的にはじめた。
別に隠しているわけでもなんでもない。
今後考えていくこと。Q.では広告として使っているの?
今後の検討課題だと思っている。Q.できるだけ早いうちに?
そういう提案はしてみようと思っているが、私どもの会員誌では、一度か二度発表したことがある。Q.でも、クリック募金は一般の方もできるシステムで、実際に私も会員ではないがクリックしている
試験的にやっていてそのまま続けてやっているので、今後は必要だと思う。
発想の原点となった似たようなことをしている団体があって、「こういうのがあるんだ。うちもこういう形でできるんじゃないかな。」とはじめたが、そちらのペ−ジにも、デ−タに関しては確か出てなかったと思うのだが・・・。
私は立ち上げに係わっていなかったので、そのペ−ジを運営している具体的な団体名まではわからない。
ただ、どういう仕組みかというのは別物だと思うが、スタイル的にそういうペ−ジがあって、クリックして広告を見ていただいたら、賛同してくださった企業から募金が出るというモデルであった。Q.協賛企業から情報を公開するようにとのクレ−ムはなかったのか
私が聞いている限りはない。
うちの場合は、協賛してくださっている企業は、関連(会員)の企業で、全く見ず知らずの企業ではなく、会員で会社を経営なさっていて、こういう活動に協力しましょうと出資していただく形なのでトラブルはない。
ユ−ザ−からもクレ−ムはない。Q.クリックの数全てを本当に寄付していただけているのか、ユ−ザ−から見てわからない。いくらでもごまかせると思うのだが
どういうやり方があるのかを含めて、今後検討を考えなくてはならない。Q.月にどのくらいのクリック数があるの?
実際に私は担当していないので、担当者に聞いてみないとわからない。Q.2年前にクリック募金をスタ−トして、今までに1度か2度会員誌に情報を載せられたということだが、1年単位で寄付なさっているの?
その辺も必要ならご連絡しますが、調べないとわからない。Q.クリックしてくださった方の想いに応えるには、情報を公開する形しかないと私自身は考えるが
信用してくださるだろうと考えていた。
仕組みを作るのと管理するのは違うと思うが、おっしゃる通り。
でも、言ってみれば街頭で募金したって、それがどうなっているのかわからない部分はある。
情報公開が普通の時代になってきているんだなという気はする。
新聞・機関誌のメディアに力を入れているし、ラジオ放送もやっているが、インタ−ネットの分野はまだ新しいので、まだまだ課題がある。Q.いろいろな活動(宗教的愛の実践)をなさっていますが、クリックをするということでユ−ザ−さんの行為が完結していまうかと危惧しない?
クリック募金がきっかけで、ボランティアに参加してみようという人がいるかもしれない。
クリック募金は、ユ−ザ−さんが直接参加するわけではない。
実際は、ユ−ザ−さんがお金を出すわけではなくて、要するに広告。
その広告に対して企業がお金を出すということだから、自分自身がということではなく、企業の好意でやっているわけだから、今度はユ−ザ−さん自身が参加する・活動するという形につながっていけば良いと思っている。
気持ちを高めてもらいたいという狙いがある。
我々としては、いろいろなきっかけを作っていきたいと思っているので、ISO14001認証の取得もして、皆さんに訴えていきたいということで、啓発的な活動をしている。
環境問題は大切だということを機関誌や新聞、講演で訴えていく。
ISOを認証した宗教法人としての大きな柱として活動している。Q.認証書が飾られているが、有効期限が切れている。継続して認証取得なさっているの?
している。
3年更新だが、1年に1回審査機関の審査を受けて、指導を受け、それをクリアして3年で総合的な審査があり、更新する。Q.個人でクリック募金を取り入れている人が多くいますが、危惧なさっていることはない?
安易にはじめるのではなく、ひとりひとりの自己管理なのかもしれない。
インタ−ネットは、いろいろな情報が漏れたり、盗まれたりというセキュリティも含めて、ある意味こわい世界ではある。Q..クリック募金をする時には、個人情報を入力する必要はないよ?
直接募金するのではなくて、いろいろな問題を含まれている世界にそういうものを出すというところをよく考えなければならない。
インタ−ネット万能かって言われるとそうでもなくて、やっぱりまだまだ試行錯誤が必要な世界。
だからその中で、善意だけで全てできるかって言うと、そういうことでもないと思う。 - もう1件取材しましたが、掲載する上での考え方の食い違いが生じたため、掲載することを断念しました。
取材を受けてくださった方には、お時間を割いていただいたき、取材にご協力いただきましたが、結果としてこのようになってしまったことは申し訳ないと思います。
【 今日の覚書 】
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コメント
あいさん、こんばんは∈^0^∋
不透明なものは、今は信じません、というのがぼくの現在のスタンス。
寄付をするときは、確かなところだけ。ですので、今日は「新潟県中越大震災復興宝くじ」を購入してきました。友人も被災したものですから。当たればぼくも潤うし(笑)
以前、寄付をと思っていた矢先に、有名な○○○師団から、寄附金募集のMailが届いたときに、メールアドレスを公開していないのにもかかわらず、届いたものですので、非常に不信感が募り、結局は寄付をやめまたことがあります。某大手出版社から名簿が流れていたのです。使用目的外だったのです。
寄付というのは、心でするものですからね。
くまさんでした。ではでは(^.^)/~~~
投稿: くまさん | 2005年4月11日 (月) 23時04分
手段が気軽で簡単になったからといって、
"気持ち"の扱いまで簡単にして良いわけはない、という事ですよね。
まして私が取り上げた某募金サイトは、
誠実な対応を求めているのに「誹謗中傷だ」と受け取る姿勢でしたから、無念が尽きません。
そういう意味ではあいさんの今回の取材対象の方々は比較的丹念な応対であると感じます。
『インタ−ネット万能かって言われるとそうでもなくて、やっぱりまだまだ試行錯誤が必要な世界。
だからその中で、善意だけで全てできるかって言うと、そういうことでもないと思う。』
同感ですね。
投稿: gesotoku | 2005年4月12日 (火) 09時25分
くまさん、「新潟県中越大震災復興宝くじ」は話題になっているようですね
いろいろなことを考えるなぁと感心しました
ぃぃアイデアですよね
gesotokuさん、今回の取材で、ボランティアの捉え方がとても難しいと思いました
それなりの責任はあるけど、自分のできる範囲のことをやるべきだとも思う
他人に無理強いするものでもない
いろいろ考えて気づいたんですけど、困っている人の立場になってみるってことなんですよね
結局ひとことで言うと思いやりなんだって気づいて、簡単なことなのにすごく難しいと感じています
投稿: ぁぃ | 2005年4月13日 (水) 00時05分
あいさん、こんばんは♪
早速記事を読みに参りました☆
記事を読みながらスゴク勉強になります!
やはり、何でもそうですが、ウヤムヤという
状態はすっきりしないですよね。。。
私もくまさんと同じ考えで、
不透明なものは信じない派です。
これからも鋭い取材を楽しみにしています♪
(o^−^)oではでは.・*.・:★’.・*.・:☆’
投稿: Osarucchi | 2005年4月15日 (金) 07時00分
ゎぁ〜!!おさるっちさん、どうもありがとう
おさるさんとくまさんが同じ考えってちょっと面白い♪
冗談は置いといて・・・
どういう募金でも信用してお金を入れられるような世の中になって欲しいですね
投稿: ぁぃ | 2005年4月17日 (日) 02時21分
1クリック募金についての情報(裏側)を探していました所このブログにたどり着きました。
実に情報が豊富で、透明で、本当に役立ちました。
貴重な時間を割いての情報収集に感謝します。
投稿: ばねっくすJAPAN | 2005年12月 2日 (金) 05時13分
ばねっくすJAPAN さん
ありがとうございます
クリック募金についてお調べですか?
情報をお持ちでしたら、ぜひ教えてくださいね
投稿: ぁぃ | 2005年12月 2日 (金) 19時04分