それぞれの興味を探る
テレビ、新聞、雑誌、ラジオという古くからあるマスメディアに加えて、インタ−ネットという新しいメディアが定着して、ますます情報があふれる中、人々はどのような情報を、どのメディアから得たいと思っているのか調べてみました
先ずは基本に返って、自分の足を使い、ひとつひとつ答えを拾って歩くために、東京の街(丸の内、有楽町)へ出てみました
そこは企業に係わる人たちでいっぱいです
サラリ−マンにOL、それを目指す学生とそれを引退したお年寄り、そして、サラリ−マンを癒す夜の蝶
彼らの関心は、お金に集まっていました
どの株、どの土地を買えば、儲かるのか
マネ−ゲ−ムの達人であるライブドアの堀江さんの報道の影響なのでしょうか
次に電話をかけまくって質問したのは、普段からジャ−ナリズムと深く係わっていらっしゃる方々です
答えは一転して、世界情勢や社会問題に関するものでした
では、庶民の生活に密着する商店街で働く人たちはどう考えているのだろうと、都内の庶民的な商店街へ出かけてみました
質問をする時に、
「奥様のへそくりがいくらあるのかとか、政治や景気のこと、イラクのことや北朝鮮など世界情勢のことなど何でもいいんです」
と、あえて様々な例を挙げてみましたが、「世界情勢について知りたい」と答えた人は誰もいませんでした
目の前にあるもので精一杯というのが、庶民なのかもしれません
お仕事でお忙しい中にお邪魔しましたので、
「商売のことで頭がいっぱいで、興味のあることなんて別にない」
と答える人もいらっしゃいましたが、
「何か興味あるでしょ」
としつこくねばると
「そう言えば、テレビでライブドアのことやってるから・・・」
と詳しくは知らないし、興味なんてないんだけど、とりあえずライブドアと言ってみたという感じの方が数人いらっしゃいました
このお答えをもらった時、私が想ったのは『マスコミの影響だな』ということ
毎日テレビをつければライブドア、パソコンの電源を入れたらライブドア、電車の車内吊りでもライブドア
どうして毎日毎日こんなにもライブドアなのでしょう
もっと知りたい情報があるって、街の人は言ってますよ
「政治家の悪巧み」
「税金の使われ方」
「年金制度」
「高齢者問題」
「他人の家族の形」なんてのもありました
今、こうしている間にも、世界でたくさんの人が亡くなっている現実もある
どうしてそれを伝えないんですか?
私は、今週プライベ−トで「日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA) 」(JAPAN VISUAL JOURNALIST ASSOCIATION)主催のシンポジウムに行ってきました
テ−マは「ジャーナリズムは政治権力とどう向き合うべきか」と、とても難しそうと思うかもしれないけど、お話してくださったのが元NHKの記者さんで、NHKの上層部や国家権力と闘った上失脚なさった方たちです
もうここぞとばかりに、NHKや安部晋三さんのことを糞味噌に話すのがおかしくておなかがよじれました
私は山口出身であるため、阿部さんの本質を見ようともせずひとり密かに応援していましたが、いい悪いは別として、もっとちゃんと見なくっちゃと反省しています
そのシンポジウムの中で、私が普段から感じていたライブドアの報道についても話が出て、
「どうしてあんなものを連日長い時間かけて放送するんだ!
視聴率が取れるからってだけで、あんなものばっかにお金使って、もっと他に報道しなきゃならんことがあるだろ
あなたがたは、そんなNHKによく受信料払ってますね」
とおっしゃった時、私は、
「そのとお〜り〜」
と心で叫び、拍手を送りました
「☆☆Bar Grapevineへようこそ☆☆ 65.0MHz FM KOBA」より
驚いたことに「公共性の極めて高い」フジテレビは、
今朝の「報道2001」という報道番組で、
一切、このライブドアとの抗争についてまったく触れなかった。これは、完全におかしい。
一方、フジテレビは全く報道していません
重要性ではなく、自分にとって有利不利という次元で、報道するべき情報が選ばれています
放っておけない問題
今、国民がひとつになって考えなければならない問題
そんなものは後回しです
視聴率の高いもの優先してニュ−スで流しています
自分たちは絶対的な立場である報道機関と態度で語るテレビ局の人たちがいると、私は以前の取材から身を持って体験しました
でも、危険な戦場に出かけて真実を伝えようとするのは、フリ−ランスの人たちです
苦労して撮って来たその絵も、視聴率が取れないという理由で投げ捨てられることが多いという現実も、このシンポジウムで知りました
ジャ−ナリズムとは何か
「さいたまblog」より
いかなる結果を迎えるかはともかくとして、ライブドアに対する今回のフジサンケイグループのなりふり構わぬ対応、また、一連のNHKや朝日の偏向、捏造を巡る騒動など、既存のマスメディアが演じる子供じみた応酬を、私たちは今、目の当たりにしている。
その稚拙な行為や発言によって彼らが結局のところ、どこを向いているのか、白日の下に晒け出してしまっている感がある。
それは経営陣の既得権益の保持と、すでに老朽化しているビジネスモデルの延命が第一で、視聴者に対する福利の実現とか、社会不正の追求といった私たちがジャーナリズムに求める大儀は実は二の次だったということではないか。私は今まで、大新聞やテレビなどのマスメディアの報じる情報を、物事の価値判断の大きな指針にしてきたが、現状を知るに、これらだけに託すのはかなり不安になってきた。
今回各社が取ったライブドアの報道の形で、いかに日本のマスディアが腐ってしまっているかが露呈してしまったと思います
商店街で働く庶民も、そのことに気づいちゃったようですよ
私たち多くの人は、長い間、腐ったマスメディアから垂れ流された信頼できるかどうかわからない情報をただインプットしていました
もうそろそろ終わりにしましょう
腐ったものは、自分からは変われない
情報を得る側である私たちが、価値の高い情報を要求すること以外に、日本のマスメディアの形が変わることがないような気がしています
情報へのニ−ズを知ることは、人々が抱く社会の危機感だけではなく、メディアの問題を浮き彫りにすることとなりました
ジャ−ナリストと語る以上、社会のニ−ズを知るべきだと思いはじめた取材でしたが、ジャ−ナリズムについて考えさせられる結果となり、私自身、身が引き締まる想いです
この「Grip Blog」を運営していく上で、アクセス数も、私にとっては見過ごせないもので、テ−マによってそのアクセス数が大きく変動する現実に、社会の現状を知り得ています
どういうテ−マを取り上げればアクセス数が上がるのか、それは簡単に答えが出るもので、私自身、動かされそうになった時もありました
でも、他のマスメディアが多く取り上げているからそれが重要な問題をはらんでいると勘違いしてしまうような、他の報道に流されることのこわさを今回勉強しました
シンポジウムで聞いた元NHK記者さんの受け売りですが、私は、皆さんの視線を背負って日々取材しています
私がお伝えできることは、NHKと比較できないほどとてもちっぽけで、まだまだほんのちょっとの人たちにしか見てもらえていませんが、たったひとりでも、その人の思考に大きく影響を与えてしまう責任の重大さを再確認しています
どうか、しっかり私を監視してください
そのプレッシャ−がなければ、ジャ−ナリストとしての資格はないのだと教えてくれた「それぞれの興味」でした
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コメント
思想に陥っていませんか?
>どうしてあんなものを連日長い時間かけて放送するんだ!視聴率が取れるからってだけで、あんなものばっかにお金使って、もっと他に報道しなきゃならんことがあるだろ
>一方、フジテレビは全く報道していません。重要性ではなく、自分にとって有利不利という次元で、報道するべき情報が選ばれています
始めは重要でないと言い、次に重要であると言う。
かなり矛盾していると思いませんか?
始めから、答えありきで書いていませんか?
現在マスメディアの悪い部分を体現していませんか?
個人的にあなたには期待しています。
ですから、興味を探るのでしたら、興味とマスメディアの放送の関係とか、そういったことに目を向けて欲しい。
ライブドア報道の裏で放送されない部分に関して、街で意見を集めて欲しい。
*例えば、現代版治安維持法(人権擁護法案)とか、外資の乗っ取り推奨法案(商法改正)とか
そっちの方が、あなたのblog開設目的に合っているのではないでしょうか。
投稿: 横 | 2005年3月13日 (日) 01時11分
ちょっと修正
>個人的にあなたには期待しています。
>ですから、興味を探るのでしたら、興味とマスメディアの放送の関係とか、そういったことに目を向けて欲しい。
ここは、
個人的にはあなたに期待しています。
ですから、こういったことには気をつけて欲しい。
興味を探るのでしたら、興味とマスメディアの放送時間の関係とか、そういったことに目を向けて欲しい。
です。
それでは
投稿: 横 | 2005年3月13日 (日) 01時42分
横槍すいません>横さん
視聴率がとれるものばかりを報道しといて、それがいざ自分の事になると報道しない姿勢を泉さんは問題だと言ってるように思うのですが。
そうであれば、矛盾じゃないと思います。
違うかな?
投稿: evian | 2005年3月13日 (日) 07時18分
妙な使命感を感じるのではなく、普通の人々の声に耳を傾けて頑張って下さい。応援しています。
投稿: 緑 | 2005年3月13日 (日) 08時48分
>evianさん
私もそれは考えたのですが、そもそも視聴率云々が書いてないので、どうしようもないかと。
>緑さん
私もそう思います。
一部マスメディアや思想に踊らされないで、一般人の視点から書くあいさんを応援しているんです。
投稿: 横 | 2005年3月13日 (日) 10時18分
確かにJVJAのシンポジウムに少し感化されてるかなと感じます。
泉さん、少し頭を冷やして冷静になりましょ
今回の記事はらしくないような気がします
投稿: evian | 2005年3月13日 (日) 19時41分
確かにJVJAのシンポジウムは素晴らしくて、感化されているかもしれません
でも、頭を冷やさなければならないのは、JVJAのことではないと思っています
私は、今回の記事を書く時、とても感情的になっていました
記事を書くのに、朝からパソコンに向かい、昼頃行き詰ってテレビをつけました
たまたまテレビ東京で乳がんのことをやっていたので見ていると、乳がんの手術前にする検査についてドクタ−が議論しています
わかりやすくドラマも交えながら、マンモグラフィをやりエコ−をやり、細胞に針を刺して調べるという検査をすると紹介していました
がん細胞に針を刺して刺激を加えると、活発になりとても危険です
ところが、テレビ東京のその番組では、そのことについて一言も触れませんでした
マンモグラフィがとても痛い検査なので、マンモをしないでいきなり針を刺すべきだというドクタ−がひとりいて、マンモをするしないの議論をしているのを見た時、『重要なのはマンモなんかじゃなく、針を刺せばがん細胞が活発化することのこわさを絶対に伝えるべき』と思ったのです
池田裕子さんが、以前、がん細胞に針を刺したらすぐに手術をしなければならないということを主治医が話してくれなかったために、医者のことが信じられなくなり、治療を拒むことになったと肩を震わせながら話しているのを見ました
私が、がん細胞に針を刺す時、
「手術の日を決めてからにしないと刺せません」
と主治医に言われ、池田さんの話から、それがどれほどラッキ−なことだったのか知ったのです
この番組を見た何も知らない視聴者は、針を刺すことのこわさを全く知らないままです
伝わったのは、検査の時だけ痛いけど、その後は影響のないマンモの痛さだけ
私は、生まれてはじめて、番組を制作しているスタッフ、出演している人に対して激しい怒りをおぼえました
情報を得る側もその情報が真実なのかを見極める力が必要だと書くつもりでしたが、女性のアイデンティティを欠くことにもなる乳がんの手術について、正しい情報を伝えない番組がどうしても許せませんでした
それは、完全に、乳がんの手術をしている私の個人的な感情でしかありません
NHKにもフジテレビにも、努力している人たちがたくさんいらっしゃることをよくわかっているのに、「腐ったマスメディア」と安易に表現してしまって、深く反省しています
コメントしていただけなかったら、感情的に書くことと、正義感を勘違いしたままでいたと思います
だから、みなさんのお言葉がとてもありがたかったです
これからもご意見を聞かせてください
ありがとうございました
投稿: ぁぃ | 2005年3月15日 (火) 03時14分