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2005年2月 1日 (火)

社会が作るこどもの傷 【取材記8日目】

Gakuen600 児童養護施設では、卒園生が人間関係をうまく築けなくて、具体的にどう影響が現れているのかを聞くために行ったのですが、いい意味で期待を裏切られました
どんな質問を投げかけても、
「一般の若年層の方たちと変わらないと思います」
という回答で、「そんなはずはない!何か隠してるんじゃないの〜?」と思い更につっこんでも、やはり大きな問題は起こっていないようです
かなりねばった挙句、もうこれ以上は聞けないと判断し取材を終えようとした時、施設の中を案内してくださいました

小舎制と言われる子供たちの生活空間はキッチンや洗面所、お風呂がある4LDKの普通のマンションです
そこに男女のいろいろな年齢の子供が8人入っていて、まるで8人兄弟で暮らしているという印象でした
8人で4LDKですから1部屋に2人ずつで、レ−スで仕切ったりして上手に使っているのがかわいいなって思いました
キ−ボ−ドが置いてあったり、トトロのカレンダ−が貼ってあったり、すごくアットホ−ム
お庭に出れば、ご近所のお年寄りのご夫婦がお散歩なさっている姿も見えてました
施設の敷地は地域の人へ開放されています

それだけでもびっくりしましたが、施設から外へ出て一戸建てを借り、そこで生活するグル−プもいるそうです
職員がごはんを作り、子供と一緒に食材のお買い物に行き、電気代やガス代、水道代を気にしながら暮らしています
夜になったら近所の人へ配慮して、テレビの音を大きくしないとか、大きな声でけんかをしないとか、家庭を疑似体験できるわけです
施設にもいろいろあるんですね

こんなにも子供のことを考えて試行錯誤する施設ですが、卒園すると、子供たちは誰も頼ることなく生活しなければなりません
明日は、自立している卒業生の実態を探ってきます

里親里子を支援する団体では、里親の数が多いアメリカに研修へ行くそうです
アメリカでは、里子が当たり前のようにクラスの中に何人かいて、学校や地域が当たり前のように子供たちを受け入れています
はじめて里親の家にやって来た日をもうひとつのバ−スデ−として、ご近所の人も一緒にみんなでお祝いする風景が、セサミストリ−トで放送されました
里子、養子になることは、人生の新しい一歩を踏み出すためのうれしいことだと認識しているため、そこに暗いイメ−ジはなく、自分が里子、養子であることを誰にも隠しません

日本人である私のたちのイメ−ジは暗いと感じるのは私だけでしょうか
お話を聞きながら、小学3年生の時の同級生のことを思い出しました
「自分の気持ちは誰にもわからない」とザ−ザ−降りの雨の中、泣き喚いている彼女の姿です
彼女がいくら泣いても、私がいくらなぐさめても、彼女の置かれている環境がとても苦しいことは変わらない
私には何もできないとただ泣いている彼女を見ていました
アメリカでは、養子はねでたくてうれしいんだと知っていればよかったのに・・・と思います

    【 今日の覚書 】

  • 養護施設職員
    8名単位で男女混成縦割り方式の小舎制
    昭和62年からこの方式に変わり、当初は男女混合という点で議論になったが、学校も混合でやっているわけだから、その方が育成上いいだろうということになった。
    大きい子が小さい子の面倒をみて人間関係を作る。
    家庭的な環境にするために効果的だが、職員の目が小さい子に行きがちなので、高校2、3年生は自立支援寮として個室に入る。

    入所したての子供や、施設に入ることについて納得の程度が低い子供は、帰れる家ではないのに「家に帰りたい」と言う。
    虐待を受けた子は情緒不安定で、いろいろなことを我慢できなかったり、暴れたり、けんかをしたりするが、職員の誰かひとりには心を許している。

    施設を家として、学校へ通い、バイトへ行き、友達と遊ぶ。(友達が部屋へ入ることもある)
    自宅や親戚の家、フレンドホ−ムなど、外出外泊は多いため、面会が多い子へ少ない子が嫉妬することはあまりない。
    個々ではいろいろ抱えていると思うが、一般の家庭の子供とあまり変わらない。
    テレビの譲り合いとか、勉強している横で小さい子が騒ぐなどの不自由さはあるかもしれない。

    家で何もケアされていなかった時や児童相談所に保護されていた時(最長2ヶ月)など、勉強できなかった時期があり、それが重要な時期に当たると、受験の時に無理が出てくることがある。
    夢に対しては、一般の家庭の子と同じで、意欲のない子供が多い。
    仕事をすぐに辞めてしまう子ばかりではないし、アフタ−ケアとして卒園して2年間は、職員が電話をしたり、直接行ったりしている。
    自立の意識は一般の家庭の子供よりはあり、施設に頼ってばかりでもない。
    施設との関係を持ちたくないという子もいる。
    パチンコにはまって借金をし、家賃も払えなくなって施設へ来たため、職員が協力して借金の整理をし、ハロ−ワ−クへ一緒に行った。
    その間住むところがないので、施設の空いている部屋を提供したという事例がある。

    グル−プホ−ムとして、施設の外で一戸建てを借り、子供8人と職員3人(職員はロ−テ−ション)で暮らしている。
    守られている施設とは違い、ドア1歩出れば公道、、窓を開けると隣の家で感覚的に違う。
    寮の中だとけんかをしようが泣こうがわめこうが近所の人の迷惑にならないが、グル−プホ−ムだと近所の人の目があることがわかってくる。
    夜遅くまで大きな音でテレビを見てると、近所のおじいちゃんおばあちゃんに迷惑になると考える。(近所の人が文句を言うわけではない)
    電気料金やガス料金は寮にいるとどのくらいかかるかわからないが、グル−プホ−ムだと目に見えてわかるので、茶碗の使い方を工夫するだけで水道料金が下がったりという感覚がでてくる。
    目の前で職員が調理をするし、食材も一緒に買いに行く。
    グル−プホ−ムだと、友達から電話があった時に施設の名前は言わず「もしもし」と出るところがいいという子供がいる。

    グル−プホ−ム試行寮もあり、外での生活に慣れるために、同じように生活する。
    食材を買いに行ったり、洗濯を自分たちでやったりしている。

  • 里親子支援団体
    アメリカでは学校へ行くと、クラスに何人かは里子がいる。
    日本では「小学校中学校へ行っていたけど、僕みたいな立場の子はひとりもいなかった」と子供が言い、いつも孤立している感じがあった。
    学生の時、友達に話してみると「友達としていいと思ってつきあっているのだから、君の後ろがどうであろうと関係ない」と言ってくれて、18年間悩んでいたのは何だったのかと思った。
    中には、里子だと話すと遠ざかっていく人もいるが、そういう人は追わずつきあわないようにする。
    小さい頃から、社会に受け入れてもらえるのかどうか気にしていて、大人になって人間関係を整理しながら人生を歩んでいる。

    アメリカでは地域ぐるみで里子を理解し受け入れているので、イメ−ジが明るく、子供も堂々としている。
    日本では、暗いイメージで、そのこと自体から目をそむけている。
    それは、社会が子供を受け入れてないということで、子供は無意識に傷つけられ、萎縮している。
    里親が見つかって明るく生きるのはいいことじゃないかと見てもらえるように、子供たちを光り輝かせないといけない。
    里子で育ってきたことを里子自ら社会に発言しアピールして、社会に理解を求める。

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コメント

 “地域小規模児童養護施設承認施設”は平成12年度で10施設、平成15年11月には厚労省の審議会が施設の小規模化をすすめる方針を打ち出したとのことですが、予算も施設も人員もまだまだこれからのようですね。
 今日の【取材記】を拝見して、“そのままでは家族にならない”グループホーム・里親などの“擬似家族”が家族になろうとする、その営みの中に、家族の本質が浮かびあがってくるような印象を受けました。
 寒さ厳しい折、お体に気をつけて。ではではまた。

投稿: an_accused | 2005年2月 2日 (水) 18時14分

私自身も親のことを信頼できなくて、お友達の話を聞いたりドラマを見た時なんか、「普通の家族ってああなんだ・・・うちは普通じゃないいな」と思ったこともありました

「最後は家族が頼りよ」と話す友達もいるけど、実際のところ、それほど頼ってらんない現実もあって、私の頭の中には、常に家族の妄想があったと気づきました

特に、こんな仕事をしてると、おうちに誰かいればいいのにって思っちゃいますね
このHPができてから、私は実家の母へ頻繁に電話をするようになりました
つらいって思う時に、母のことを考えると、胸んとこに変な物質が湧いてくるんですよね
あれは何じゃ?

母親に反発していた頃を振り返って、今頃後悔してるんですけど、あの時反発するんじゃなくて、素直に「あまえさせて」と言ってみればよかったなって
唯一、母親と触れ合える時間と言えば、耳そうじで、私は耳くそが全くない体質なのに、なんだかんだ時間を延ばして膝枕をしてもらってたんです

うちの家族って普通じゃないかもしれないけど、あのひざが私の家族なんですよね
他人の話を聞けば聞くほど、自分のことを知って、泣きそうな毎日です

投稿: ぁぃ | 2005年2月 3日 (木) 02時55分

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