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2005年2月10日 (木)

ネットジャ−ナリズムの行方 【取材記4日目】

Kanaroko1 今日は神奈川新聞社さんへ行ってきました
新聞社でありながらブログを導入したことで、今注目を浴びています
そのHP「カナロコ」は、なんだかあったかいまったり〜とした空間で、私個人的にはすごく居心地がいいHPのひとつです
「カナロコ」は地域に密着したニュ−スや沿線情報、地元球団のブログなど、いくつかのブログがあって、いろいろなユ−ザ−さんに対応できるコンテンツになっています
こんなHPをどんな方たちが作り上げているのか、非常に楽しみに出かけました

行ってみると、すごく自然体な人たちの集まりという印象で、はじめてお邪魔したのに、HPと同じようにオフィスも居心地いい空間でした
サ−バ−のパンクなどの対応に必死さを感じましたが、「こんなに注目されちゃってどうしよう」なんて感じは全くなかったことが意外でした

メディア局長の松澤さんは、あと2年で定年だとおっしゃっていましたが、気持ちは若いです
あんな明るいさわやかなおじさまは、あんまり見たことがないですね
ああいう歳の取り方っていいなと感じましたけど、ほめすぎですか

写真の「ゆにねっと 」のネットアイドルあゆちゃんと森さんは、共に肩書きは「ミッションスペシャリスト」なんだそうです

ルックスは女性らしいが、発する言葉はおっとこ前のたまさんは、同じ女性として憧れます
自分の考えをはっきりと言えて、実行に移せるためにはすごい努力が必要だと思うのですが、あっけらかんとしてますよというサバサバした口調が素敵なんです
彼女の発言に、局長の松澤さんと私が同時に「かっこいい〜」とつぶやいたくらいです

アフロさんは「ベイスタ−ズフィ−バ−」を担当なさっている方ですが、神奈川新聞社の方ではありません
受付で一緒になった時私の本能が「この人には係わりあっちゃなんねぇ」と騒ぎ出すようなルックス
帰りのエレベ−タで一緒になったので、思い切って声をかけその場で取材交渉しました
快く応じてくださったアフロさんに向き合ってよ〜くお顔を見てみると、意外と精悍で、HPの写真とは印象が全く違いました
もっと若くていい男でしたよ
私は「アフロよりボウズですよ」とボウズを勧めておきました
性格はものすごい真面目な方だと感じました
エレベ−タ−など、ドアのあるところでは必ずレディ・ファ−ストでしたし、言葉も全て敬語
若くして会社の代表をなさっていますが、浮ついたところなど全くなく、「この人・・・ものすごいまともな人」だと思いました

「ほめすぎだろ」と思われるかもしれませんが、私は、今日「カナロコ」のスタッフの方たちにお会いして、すごく気持ちが良かったし学ぶこともいっぱいでした
おそらく、「思いやり」の心がここにあるのだと思います
「ネットと言えども人と人との対話であることには変わりないということ。」とたまさんがおっしゃるように、画面の向こうには人がいるんだということを絶えず意識していらっしゃるんですね
忘れてはならないことを改めて自分に問い直す時間をいただきました

そしてもうひとつ、パワ−がみなぎっていました
昨日からうじゃうじゃ悩んでいた私にとって「とにかくやってみよう」という姿勢が眩しくて仕方ありません
やりもしないで、ぐだぐだ言ってる自分が恥ずかしかったです

本当にほめまくってますが、「カナロコ」の真意が問われるのは、ニュ−スブログの書き込みができるようになってからだと思います
数ヶ月後にどうなっているのかを見届けなくてはと、再度取材させていただくお約束をしていただきました
注目度も期待度も高いだけに、世間の目は厳しいかもしれませんが、ちょっとやそっとではびくともしそうもない人たちががっちりスクラム組んでるってわかったので、またお会いできる日を楽しみにしています

明日は、インタ−ネット上で報道活動をしている方にお会いしてきます

    【 今日の覚書 】 神奈川新聞社が運営するコミュニティサイト「カナロコ」のスタッフの方にお話を聞きました

  • 神奈川新聞社 メディア局長 松澤雄一さん
    地方の新聞の場合ニュ−スの中身が限られて、ある程度のところまで行くとペ−ジビュ−が止まってしまうので、昨年の春くらいからサイトの見直しを考えはじめていた。
    打開策として「地域」「コミュニティ」というキ−ワ−ドを作って新しいサイトを立ち上げようかということになり、ブログといういいツ−ルがあるので使おうということになった。
    購読者でありながら、新聞社に物申すなんて機会がなくて、新聞社の方もそれに対するコメントがない状況で、そのような場を設ければブランドイメ−ジが上がり、相乗効果が上がるだろう。
    しかも日本ではじめて新聞社がブログをやるということになれば、一気に注目を浴びるだろうというスケベ心も正直あった。

    ネットのジャ−ナリズムと新聞のジャ−ナリズムは共存して行くべきだと考える。
    新聞社が明治時代から作ってきたジャ−ナリズムというのもひとつの生き方だと思うが、この先は両方がうまく融合しない限り、次のメディアにはなり得ない。
    会社の経営陣も、成功するとは思えないけど、とりあえずやってみるかという感じでGOサインを出してくれた
    とは言うものの、過去に失敗がないわけではないので、今回は失敗できないと思っている。
    運用コストを考えた時、1年くらいで回収できるようにするためには、アクセス数が倍になれば何とか賄えるんじゃないかと思っていた。
    月間1000万を見込んでいたが、1日目にして500万を超えるアクセスがあった。(サ−バ−がパンクしてしまったので、確認できただけで500万)

    事前のPRとして、サイトでの予告と、オ−プン日の2月1日の神奈川新聞本紙に掲載。
    サイトで予告した段階で、会員登録が800くらいあって、「これなら」というのはあった。
    ところが、実際にオ−プンすると、初日の午前7時すぎに最初にサ−バ−がダウンしたため、重いものを全て取って一番軽い状態にした。
    その後お昼頃に共同通信さんが全国配信してくれて、その後Yahooさんがトップペ−ジのトピックスに載せてくれたので、一気にアクセス数が増えた。
    翌日サ−バ−を増強するなどの対応をしているが、予想外のアクセス数にうれしい悲鳴を上げている状況。
    今週から来週にかけて、サ−バ−を安定させるために、スタッフ全員で取り組んでいる。

    アクセス数が上がったのは、Yahooさんの効果が高いと思う。
    インタ−ネットを利用している人たちの中では、新聞に対して物を言いたいというニ−ズがすごく高いということがわかった。
    問題はこれからで、誠意を持って対応しようと心がけている。

    新聞記事を元に、インタ−ネット上に情報を流せばム−ブメントになる可能性もある。
    例えば、行政の問題点をみんなで自由に書き込めれば、ひとつのム−ブメントになるのではないか。
    心臓病の手術をする人のために、ボランティアでお金を集めていた人たちも、電波新聞ビラ配り以外にも広がりを持って実現できるかなと考える。

    スタッフを紹介しておくと、定年まであと2年、盾になる時もあれば、下働きもするんですと言う局長の松澤さん。
    カナロコ星人をデザインしているたまさん。
    ネットアイドルのあゆちゃん(写真)。
    森さん(写真)の他には男性3名と女性2名、派遣社員の男性2名
    新聞社にはないスキルを持った人たちの集まりだと言えるかもしれない。

  • マネジャ− 小野たまみさん
    ブログをはじめに提言したのはあゆちゃんで、すぐに全員でブログを持ち始めた。
    やってみたら、読者とのギャップを埋めてこなかったという新聞社が怠っていたことが見えてきて、新聞では一朝一夕にはいかないが、ネットだと新聞では超えられない壁を意外と簡単に超えられるのではないかとわかった。

    ブログを入れたことで注目を浴びているが、私たちにとっては読者と対話をするためのツ−ルのひとつだと認識している。
    やってみて「こんなに物を言いたい人がいっぱいいたのか。よっぽど新聞に対して不平不満があったんだ」と思った。
    新聞社は読者の声を聞くということを長い間してこなかったので、勝手に臆病になっていたんだと思う。
    人の批判は自分たちのメディアを使ってやるのに、自分たちが批判されることには慣れていない。
    本来は、一般の読者の人たちに近い立場でスタ−トしたはずなのに、だんだん取材対象の人たちにシフトしているという現状があるので、それで新聞が売れないと言ってもその理由を分析できる状況ではなかった。
    そして私たちで考えた末、それは対話をしてこなかったことに理由があるのではないかという結論が出た。
    従来のニュ−スサイトのままでは対話はできないので、今回のコミュニティサイトに思い切って変えてみよう。

    先ずはやってみよう。やってみなきゃわからないというタイプのメンバ−ばかりだが、実際やってみてすごくおもしろい。
    今まではユ−ザ−さんもスタッフの顔が見えていなかっただろうし我々も見えてなかったが、お互いに見えてきたので、血が通いはじめた気がしておもしろい。
    注目されているのはニュ−スへのコメントだと思うが、これからユ−ザ−の人と我々の信頼関係をどれくらい作れるかが鍵だと思う。
    オ−プンしてから実感しているのは、ネットと言えども人と人との対話であることには変わりないということ。
    現実世界と同じように、いい加減な対応をしないで、よりスピ−ディな対応は要求されるだろうが真面目に対応するだけ。

    これだけ注目されている背景には、新聞社はそう簡単には変われないだろうと思われているのだろうが、うちは変わったからやったんじゃない。変わるためにやった。
    奇跡的なのは、同じ危機感をメンバ−全員で共有できて一丸になって突き進んでこれたこと。
    社員もアルバイトもみんなが一緒にスクラムをがっちり組んだからできたことで、これがひとりでも欠けていたらできなかっただろう。
    今このメンバ−の時にやらないと、2度とできないと思って走った。

  • Afuro

  • ベイスタ−ズフィ−バ−担当 アフロこと草間忠宏さん
    地域密着のインタ−ネットショッピングモ−ルをやっている第3セクタ−に出向し、週2回メルマガの担当をした後、出向期間が切れるのを機に独立。アフロディレクタ−ズを立ち上げて半年になる。
    ネットを使った情報発信はメルマガからスタ−トし、今もショッピングモ−ルのメルマガを発行しながらブログの管理をしている。

    「ベイスタ−ズフィ−バ−」では、ユ−ザ−さんを飽きさせないための努力を心がけている。
    ネタふりをすることは、シ−ズン以外の時期にどうするか問題。
    コメントを書いてくれた人ひとりひとりにレスを返して、「私はあなたの意見を読んでいます」と理解してもらえるとネット上でコミュニティができると思う。
    神奈川新聞さんのの中のブログということを常に頭に入れている。
    球団が作っているものではなく、フアンがやっているものではない、メディアのサイトという役割を果たしたい。
    神奈川新聞さんの紙面に掲載されたものを活かして地域に密着した情報を流す。
    球団が弱かったら、サイトにも人が来ないので、球団への期待は大きい。
    球団とのパイプをうまくつなぐのも必要だと考えている。
    キャンプに行って(3泊4日)、取材する予定を組んでいる。

    今、調子が良いからと言って先を見据えないのは絶対こけるとわかっているので、神奈川新聞さんに「アフロにやらせてよかった」と言ってもらえるよう努力する。

    講演の仕事をすることがあるが、地方で夜からの講演でも、朝一から入りその街についてしこたま調べる。
    その地域の人たちのことを考えて、喜んでもらえるために動く。
    お金儲けをしなければいけないんだけど、誰かが喜んでくれることをしていれば、いつかドカンと入ってくるだろう。
    自分として100点満点出さなかったら、相手だって100点くれない。

    ネットジャ−ナリズムは淘汰されると思う
    目的やタ−ゲット、コンセプトがしっかりしているところは残るが、あいまいなサイトは消える。
    生き残るために個性を出していく。アフロはそのための営業ツ−ル。

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コメント

 話題の“カナロコ”編集部への取材、興味深く拝読しました。

 感想としては、「まだわからんねえ。」といったところでしょうか。
 さて。いくつか気になる点が(“カナロコ”内部では議論済みなのでしょうが)あります。

<“カナロコ”の編集方針の読者への徹底方法について>
 例えば少年による残忍な犯罪を報じる記事に対し、加害少年の実名や住所、勤務/通学先などの情報をコメント欄に投稿(以下 投稿)あるいは読者運営のブログに掲載しそれをトラックバック(以下TB)した場合、また商用広告類似/営業妨害まがいの投稿、さらにはいわゆる差別的言論が展開された場合、編集部はどのように対処する予定でしょうか。
 “カナロコ”が地域密着的であればあるほど、これらのリスクは大きく、それらを事後的な削除措置によって回復できるのか疑問です。
<寄せられた情報の検証について>
 例えば談合や汚職、その他犯罪について具体的根拠の存在を暗示した内部情報が投稿/TBされた場合、これを放置すればあらぬ中傷となり、また単に削除すると情報提供者の意図するところ(正義の実現)が達成されず、さらには情報提供者に不利益が生じるおそれがあります。
 匿名掲示板においてこのような投稿がなされても掲示板運営者に投稿内容の検証を行う責務はありませんが、報道機関が運営するサイトである場合には、匿名掲示板や個人ブログとは異なる独自の情報検証が求められる場合もあるかと思われます。

 マスメディアが双方向的なコミュニケーション手段の採用に踏み切れない理由はこのあたりにもあるかと思います。投稿欄を開放してから具体的事例に即して議論されるのでしょうが、もし今回の“カナロコ”編集部取材でお聞きになっておられるのであれば、お聞かせいただければ幸いです。

投稿: an_accused | 2005年2月11日 (金) 09時54分

 ご指摘の点は、私たちにとって最も悩ましいところです。
 今回、ニュースサイトをブログにするに当たって、議論を重ねました。実をいうとまだ結論が出たわけではありません。ニュースへのコメント・TBを開始するのは第2段階以降になります。そこへ向かって、最終的な議論をします。
 ただいえることは、今回のブログ採用に当たって「リスクは大きい。しかし、閲覧者の生のコメントを得られることは、そのリスクをとってでも実現すべきだ」という共通認識でした。

 今後、ニュースへのコメント、TB解禁に向かう時点で、多くの方の意見をお聞きしたいと思っています。

 既存のマスコミがともすれば軽んじてきがちだった“読者”の意見こそ、今後最も重要視されるべきことだと考えています。

 また、カナロコのニュースサイトを読み、ご自分たちの意見、情報を発信しようとする方と一緒に歩きだしたいと思っています。

投稿: カナロコ編集部 | 2005年2月12日 (土) 12時49分

先日のコメントリンク騒動の経過を聞いてきて欲しかった。
誰が対応して、どれくらいの時間をかけて会議をしたのか?とか。
管理者としての権限はどこにあるのか、法務部との兼ね合いは?とか。
などなど。

次回、よろしくお願いします。

投稿: バイス | 2005年2月13日 (日) 00時29分

ごめん、訂正
コメントリンクじゃなくて、「リンクフリー」騒動ですね。
http://kusanone.exblog.jp/1616641/" rel="nofollow">http://kusanone.exblog.jp/1616641/

投稿: バイス | 2005年2月13日 (日) 00時33分

>“カナロコ”編集部 御中
 丁寧なご回答をいただき、ありがとうございます。よもや取材対象である“カナロコ”編集部さまから直接ご回答いただけるとは思いもよりませんでした。
 「リンク規定の改定」で垣間見せておられたレスポンスの速さを、実感いたしました(バイス氏が言及されておられるように、どのような意思決定過程を経てリンク規定の制定/改定がなされたのかについては関心を持っています)。
 私も、貴社の試みは日本のジャーナリズムを大きく変えていくきっかけであると考えており、「リスクをとってでも実現すべき」という貴社の決意は素晴らしいと思っております。
 記事ブログに集まる読者の声が、人々が平穏に意見を交換する「公論の圏域」を形成するのか、それとも所詮「便所の壁」に書き殴られた罵詈雑言に過ぎないのか。もちろん“どちらか一方”ということはなく、議論の進展に寄与する理性的なコメントもあれば、他人を小ばかにしたいだけのコメントも紛れ込んでいる、というのが常態であり、またそれが社会の姿を反映したものなのかも知れません。
 ネット上で発言することは、実際に対面して発言することや請願、署名、示威行動などを行うことよりもコストが低いため、どうも自らの考えをあまり推敲しないまま表現してしまうように思います。とりわけブログへのコメントは、それを書き込む者が管理責任を負担せずにすむことから、安易に捨て台詞のようなコメントを書き込んでしまいがちになるようです。
 捨て台詞のような短文コメントが(一人一人は軽い気持ちで書き込んでいたとしても)長大なコメント欄となって表れたとき、批判の対象となった者にとっては脅威に感じるでしょう。
 もしも、コメント欄を使用せず全てトラックバックで意見を受け付ける方式をとれば、(書き捨てのコメントに比べて)ある程度まとまった見解を示さざるを得なくなるでしょう。また、トラックバック元のブログは“カナロコ”の管理権の埒外であるため、“カナロコ”が編集権の(消極的)行使による権利侵害の責任を問われる余地が小さくなるように思われます。
 それでも、記事ブログへのトラックバックが膨大になったとき、その内容を一々吟味してリンクを切断すべきかどうか判断する必要があるためコメント欄の管理よりも煩瑣になることなど、検討すべき課題はやはり多いのでしょうね。
 せっかくのテーマですから、こちらのコメント欄でも皆さんの意見が活発に交わされることを期待したいと思います。
(ひとさまのコメント欄を伝言板代わりに使ってしまい、申し訳ありません。トラックバックしようかとも思ったのですが。)

投稿: an_accused | 2005年2月13日 (日) 00時50分

an_accused さん
すみません・・・体調を崩していたので、お返事するのが遅れた間にカナロコさんのスタッフさんから直接お答えいただきました
ありがとうございます

バイスさん
あれは単純なミスだったそうで、気づいてすぐに直しただけだっておっしゃってました
管理者としての権限などについては話していませんが、基本的には全て編集局で管理なさっているようでした
私が興味があるのは、ニュ−スサイトへのコメントに返事を書くのは誰かという点でしたが、これから会議を重ねて煮詰めていくそうです

投稿: ぁぃ | 2005年2月13日 (日) 02時23分

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