ニ−トってなに? 【取材記4日目】
ニ−トについて考えてみようと思い、当事者である人に会いたくてひきこもりの支援団体に電話をしてみたら、
「ひきこもりはニ−トには入ってないはずですよ」
と言われて、では、ニ−トと呼ばれる人たちとはどんな人のことを言うのかを知るために、いろいろな資料に目を通しています
【取材記3日目】にも挙げましたが、労働政策研究・研修機構副統括研究員の小杉礼子さんが分類する4つのタイプの中に、ひきこもりという文字がはっきりとあります
「ほらぁ、やっぱりひきこもりもニ−トなんじゃんか」
とひとりつぶやきながら資料を読んでいると、私の中に違和感が生まれました
違和感を解消するために、ご本人に確認してみたいと思い取材交渉しましたが、残念ながら小杉さんはとてもご多忙ということで、お時間は作っていただけません(スケジュ−ル調整は頑張っていただいて感謝してます)
「HPをご覧いただければ、詳しく出ていますので、ニ−トの現状についてかなり知っていただけると思います」
と、職員の方がHPのどこを見ればいいと細かく説明してくださって、ありがたかったです
早速、その資料を見ました
そこには、若年無業者たちに関するデ−タや問題点が書かれいます
無業者が増加する社会の背景や、若者の意識や行動の変化などについて読んでいるうちに、私の違和感がどんどん大きくなっていきました
ニ−トは4つに分類されているはずなのに、ここに書かれてあることは、ある一部の人に対してのことしか書かれていない
社会との関係さえ築けない人たち、いわゆる深刻なひきこもりについては全く触れられていません
「職業安定広報 2005.1.21」では、ニ−トをテ−マにパネルディスカッションが行われています
パネラ−は、昨日も今日もここに名前の挙がった小杉礼子さん、東京大学社会科学研究所助教授で「ニ−ト フリ−タ−でもなく失業者でもなく」の著者のひとりである玄田有史さん、NPO「育て上げ」ネット理事長の工藤 啓さん、柘植大学講師の長須正明さんの4名です
このディスカッションは、読んでいてとても「おとなしいな」という印象を受けました
というのは、4名の方がそれぞれの立場で現状を語っているもので、論じ合っているとは思えません
ニ−トという枠の中のある一部の人についてそれぞれの方が語っていて、意見が交差することがないんです
これは、ニ−トという言葉の意味のが広すぎるということなのだと思います
特に興味があったのは、コ−ディネ−トの玄田さんが、
「そもそも一体どういう人がニ−トなんだろうか」
と小杉さんに質問するところで、ニ−トの実態を知りたい私としては「そら来た!」と釘付けになるわけです
当然小杉さんは、昨日の取材記に載せたような4つの分類について語るわけですが、それで終わり
4つの分類に当てはまる人って実際にどういう人のことを言うのか、それを知りたいのに、他の3人は小杉さんのおっしゃることに対して賛成でもなければ反論もない
じゃあ、日本で言うニ−トの枠って小杉さんが定義してるってことなんでしょうか
今日見てくださいと言われた資料の中にも、4つの分類はあり、いろいろと説明書きがあります
書いてあることはわかるんだけど、実際に昔から呼ばれている仕事をしていない人たちを当てはめようと思っても難しい
家事手伝いってどこに当てはまるの?
ひもは?プ−タロ−は?
ニ−トの定義づけって一体何なの?
更に疑問は深まるばかりです
明日は金曜日・・・1日しかないのに、誰にもアポイントは取れていません
全力で取材交渉します
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コメント
“引きこもり支援団体”がなんと言おうと、労働政策の担当者から見れば、学業を終えて(あるいはドロップアウトして)なお職業へ移行できない若年者である“引きこもり”は紛れもなく“ニート”でしょうね。厚労省にとっては“引きこもる理由”を考えることより「食えなくなって部屋から出てきた者に対して職業訓練プログラムを用意しておく」ことを考える方が重要ということです。
“ニート”とは、その語の成り立ち(〜でない)からも明らかであるように、もともと多様な人々を“無業”でくくったものですので、それ以上の定義づけはないのではないでしょうか。
ちなみに、このような問題を読み解く場合は、その言葉の(論文や新聞記事での)初出を調べるのが定石です。
ではまた。
投稿: an_accused | 2005年2月18日 (金) 03時48分
ニートって言葉がそこら中に氾濫して議論をおこしてるけど、これだけ幅広い現象を一括りにしているとは案外盲点でした。
そりゃ議論がかみ合わないはずですよね。
個々で議論の対象にしている背景がまったく違うものを「ニート」って1つのもののように論じてるんですから。
いったいニートって言葉に何の意味があるんでしょうか。
こうやって意味もなく人を分ける言葉が出来ていくんだと感じています。
投稿: 旬 | 2005年2月18日 (金) 10時25分
それぞれに深い問題をはらんでる問題を単純な言葉で括り、問題の本質を反らす行為はいつの世も。
そしてその新しい言葉を自慢げに使用するマスコミのいい加減さ。
投稿: kazi | 2005年2月18日 (金) 10時33分
いろいろ調べたら、ひきこもりの支援団体の人の言葉にもうなづけます
ひきこもりは、ニ−トの中でも特別な位置付けがされているようが気がしてなりません
ニ−トについて語られる時、ひきこもりのタイプとされる人たちは区別されていると思います
ひきこもりが、ニ−トの中に位置付けされているとは言え、区別されるという事実を実感すれば、「入ってない」と言いたくなる気持ちも理解できます
これって何だか危険な香りがするんですけど・・・
投稿: ぁぃ | 2005年2月19日 (土) 02時37分