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2005年2月 8日 (火)

ネットジャ−ナリズムの行方 【取材記2日目】

Yukawa1 ネットジャ−ナリズムを語っている有名なブログを探していたら、HP上に素顔を公開している人を発見しました
メ−ルアドレスを公表するのは当たり前なのかなと思っていましたが、超有名なHPでは、メ−ルアドレスも公開していないというところがいっぱいあります
あまりにもアクセズが多くて対応できないのでしょうが、私が見付けたHPでは、メ−ルアドレスでけではなく、顔写真と電話番号まで明記してありました
「携帯電話にお電話いただいても結構です。」と書いてあったので、即行かけちゃいましたょ
電話に出られたのは、湯川鶴章さんという、ある報道機関に所属しながらブログを持っていらっしゃる方です
いきなり電話したのに、全く嫌そうな素振りはなく、早速今日お会いしてくださいました

待ち合わせの場所は、湯川さんの会社
受付で入館証をいただけた時は、震えるほど感動しました
以前にテレビ局を回った時には、一度も手にできなかった憧れの入館証です
うれしかったなぁ

清潔で洗練されたホ−ルからエレベ−タで上のフロアへ
すると、ちょうど湯川さんが出てきてくださって、写真に嘘偽りはなく、すぐにわかりました(私の顔写真は嘘まみれです)
緊張している私をリラックスするよう最初はいろいろ質問してくださって、アドバイスもいただきました
0から100までご指導受けたいくらいなので、ありがたくて、キリがない
湯川さんの口調から、「ウエスタンだ!(関西人)」とわかってちょっと意外だったけど、堅苦しさがなく親近感が湧きました

いざインタビュ−がはじまると、私の質問のレベルの低さに驚かれたと思います
とにかく専門用語が飛び交い、アメリカ暮らしの長かった湯川さんのお口からは、横文字がスラスラ出てきます
(一夜漬けで本当に申し訳なかったですが)HPは一通り目を通していたので、言葉だけは知っていて何とかついて行ったという感じです
湯川さんは、私と対等に向き合ってくださって、わかりやすく説明してくださいました

普段からブログを見ていて思ってるんですけど、日記を書いている人は気楽にまったりと書いている人が多いですが、議論が繰り広げられてるブログってついて行けないんですよね
「おいらブログ」さんにもこんな風に書かれています

おいらブログ
”普通のOLが家に帰ってきてテレビ見ながらご飯を食べる”というのは想像できますが、”普通のOLが家に帰ってきていきなりRSSリーダーでブログサーフィンをする”というのが一般的な社会って、、、、、まぁあれば楽しそうですけど、そんなことは起こり得ないだろうと思うんですよね。

私の回りの女性の友人でブログを知っている人なんてほとんどいないし・・・
もちろん私の友人と言えども、教養があってすごく優秀な女性もいますよ
当HPを見てくれた女友達も、
「言いたいことはあるけど、こわくてコメントには書けないからメ−ルするね」
って言うんです
私もよそのHPでコメントするのはこわくて仕方がありません
「攻撃されるんじゃないか」とか、「きっとやり込められるんだよ」と思っちゃって
ネット上でのジャ−ナリズムって何となく、女性が入りにくい空間だなって感じています
女性だって、社会の立派な一員ですから、そのことを思い切って湯川さんにぶつけてみたんですけど、
「普通に来て議論してますよ」
と返されて、「ひゃっ、私が知らなかっただけか」と真っ赤になりそうでしたが、来ていらっしゃるうちのおひとりは超エリ−トなんだそうです
インタ−ネット自体の普及率やなんかも関係してるんでしょうけど、ブログというところにだけにこだわれば、なんだか選ばれた人たちのものなのかなぁって感じています
その中で、私は浮いているんじゃないの?とオタオタしている毎日です

「祭り」と言われるものは、2ちゃんねるが生んだ日本特有のものなのかと勝手に思っていましたが、アメリカでも「サイバ−カスケ−ド」と呼ばれるものがあるそうです
日本でのネットジャ−ナリズムがアメリカに比べて遅れているのは「祭り」のせいなんだろうと思っていましたが、アメリカにも同じようなことがあると知ってびっくりです
「インタ−ネットをする人にとってネットジャ−ナリズムは信憑性が高く、やらない人には信じられないもの」と言われて、私も「うんうん」と共感しました
でも、何か変なの・・・
いろいろな人へ取材交渉をする度「インタ−ネットに書くのならお受けできません」と断られていますが、断る人たちのあの頑なな態度は、ネットジャ−ナリズムをただ知らないってだけなの?
イメ−ジだけで冷たくされているのでしょうか

湯川さんがおっしゃるように情報を整理してくれるツ−ルを手にすることができれば、インタ−ネットの普及率は加速度を増すのかもしれません
ネットジャ−ナリズムという点では、今後、参加型に変わっていくと湯川さんもおっしゃっているので、私のような者がスク−プを掴んでくるのがネットジャ−ナリズムの地位を上げる早道のようです・・・
スク−プいいなぁ・・・欲しいなぁ・・・私がスク−プ上げたら、今まで断って来た人たち「ギャフン」って言ってくれますかね
泉 あいに1つの野心が芽生えた瞬間です

今日は、ネットジャ−ナリズムとはどういうもので今後はどうなると予測されているのか、詳しく知ることができました
さて、明日なのですが、どこからもアポイントが取れていません!
明日は、ネット上を駆けずり回ります

    【 今日の覚書 】

  • ネットは新聞を殺すのかblog」の湯川鶴章さんへのインタビュ−
    ある報道機関に所属し、個人のブログを持っている(記者ブログ)。
    今の会社に入社したのは41歳の時(今は46歳)で、28歳から36歳くらいまではアメリカでアルバイトをしながら、アマチュアで記事を書いていた。

    マスコミ関係者がインタ−ネット上で何かを発言すると、「記者ならもっとまともなものを書け」という期待値が高く、マスコミ嫌いの人も多いため叩かれやすい。
    叩かれて凹むのなら記者と名乗らずにするべきで、記者ブログとして発信していく以上、それ相応の覚悟がいる。
    著書の「ネットは新聞を殺すのか」のフォロ−アップブログとしてはじめたので隠すこともないだろうと、顔写真や電話番号までHP上で公表している。
    どこかのブログで「プロの言論人なら匿名に隠れるな」と書いてあったので、「そんなもんかな」と深く考えずに公表した。
    会社に迷惑をかけられないし、現場の記者や営業マンが自分のために仕事がしにくくなってはまずいので、発言には充分注意している。
    書いた後で「うわっ、これ、ひょっとしたら変な風に取られて、朝起きたらコメントが50くらい来てたらどうしよう」とか思うこともある。
    一度叩かれた時、「我々マスコミはこんなに非難されていますよ」とマスコミ関係者へメッセ−ジを送りたくて書いた文章を、ひとりの人は「打たれてヘロヘロになってる」と受け取り、別の人は「こんなにみんなで批判しているのに、鼻で笑ったような対応をして、俺たちをバカにしてるのか」と言われた。
    同じことが、受け取る人によっては全く違う意味に取られてしまうので、完璧に理解されるのは無理かもしれないが、真意が伝わるよう最大限の努力をしなければならない。
    人と人のコミュニケ−ションはお互いの共同作業だから、受け取る側に理解しようという気がないと伝わらない。

    Q.報道のお仕事をしている人は議論が苦手と聞きますが?
    言いっぱなしに慣れているというのはあるが、議論は好きだと思う。
    どうしてしたくないかと言うと、記者ということで完璧なものを書かなければならないが、実際には理論武装をする余裕がなく、反論を招くとわかっているから。
    飲み屋で議論するならいくらでもしたいが、ネット上では叩かれやすいので議論したくない。

    よく「かなりの量を書いて大変だな」と言われるが、ネット上に書くのは大変ではない。
    自分の余暇に興味のある分野のことを書くので、メモ帳に書いていたものを公開しているのと同じこと。
    ネットだと、叩かれやすいしすぐ返事がくるから、精神的には(記事を書くより)ネットのが大変かも。
    好きということ以外でやっているとしたならば、R30さんが記者がブログを書く理由を分析なさっている

    R30::マーケティング社会時評

    それでもネットやらブログやらに手を出すマスコミ人あるいは言論人は、キムタケみたいにお金をもらってやってるのでない限り、以下の3通りのどれかだろうな。

    1.本業で閑職に追いやられ、ヒマを持て余して「会社は認めてくれないけど、ネットなら俺様を認める奴はたくさんいるだろう」と考えたカンチガイ野郎
    2.ネット上での情報発信の巧拙が将来のメディア企業にとって存亡を左右すると直感し、それを今のうちに身につけておこうとする愛社精神&マ−ケティングセンスに長けた奇人変人
    3.本業もそこそこにこなして普通のマスコミ人を演じてはいるが、今後の所得減or転職などに備えて副収入になりそうなネタをネット界隈で見つけておこうと考えた商売人
     自分の周囲にいる「記者ブロガ−」はこの3種類にほぼ分類できるし、ネットの中を見回しても(ごくごく一部に例外はいそうだけど)たいていこの3つのどれかじゃないかな。

    湯川さんの理由は2と3にある。
    2の理由として、将来を見たい。自分は新しい将来に向かってどうトレ−ニングしたらいいのかという興味。
    3の理由としては、自分のブランドを高めていかなければならないと思う。
    外で講演したり本や原稿を書くことによって会社の地位を高めるのが、会社の中での役割であり、それは自分自身のブランドを高めることになり、会社にとっても自分自身にとってもプラス。

    ブログをやってよかったと思うことは、2の理由の点では情報がどんどん入ってくるところ。
    いろいろ調べているので、普通の人よりはいろんな情報を持っているが、カバ−しきれない部分もあり、こういうテ−マで追っているというのを理解してもらっているので、トラックバックやメ−ル、コメントをもらえて自分ひとりで調べているよりはるかに多い情報が集まる。
    自分の持っている情報をどんどん出せば、最後には情報が自分にのところに集まってくる。
    自分が思ったことを投げてみて、いろんな人と議論して、自分の考えがまとまったりもすることがある。
    自分ひとりでジャ−ナリズムの将来について悶々と考えているよりも、効率的にいろいろなことを調べられて議論が深まるということを実感している。

    3の理由では、苦手だった人脈作りが非常に早いスピ−ドで広がっていってるところがよかったと思う。
    我々の仕事は人脈が大切である。

    Q.参加型ジャ−ナリズムとは?
    編集取材過程に、一般読者が入ってくる形のジャ−ナリズム。
    今までの形のジャ−ナリズムよりオ−プンなのは、全部参加型と呼んでしまえというかなりゆるい定義にしている。
    我々マスコミが情報を仕切るのではなくて、みんなでやって行きましょう。
    具体的なものでは、報道機関である神奈川新聞が、記事にトラックバック、リンク、コメントをできるようにし、一般読者も市民記者になれて、自分の地元のネタをブログに上げられる。
    報道機関じゃないところではライブドアで、ジャ−ナリストの経験がない人と契約して記事を書いてもらうという形。
    ジャ−ナリスティックなことをやっているブログも参加型と呼んでいいんじゃないかな。

    世界的に、21世紀のジャ−ナリズムは今までと違い、一般市民がどんどん入ってくるいう動きがある。
    アメリカだと、去年の大統領選挙はブログの年だったと言われ、韓国では、オ−マイニュ−スがそういうサイトを作っている。
    ・citizen journalism 
    ・grass-roots journalism
    ・participatory journalism
    ・civic journalism
    という言葉が出てきているが、日本には全くなかった。

    日本のネットジャ−ナリズムの最終的な形は、今生きている人が予想もできない形になるだろう。

    Q.アメリカのネットジャ−ナリズムの現状は?
    昨年は、アマチュアのジャ−ナリスティックな活動が市民権を得た年だった。
    ・大統領選挙の党大会で、はじめて30人くらいのブロガ−に記者証が与えられて、ジャ−ナリストの隣にブロガ−が座って原稿を書いた。
    ・有名なジャ−ナリストにブロガ−が勝った
     「ブロガ−なんかジャ−ナリズムではない」と言ったCBSのダン・ラザ−という著名なジャ−ナリストの報道にねつ造があったと、ブロガ−みんなで証拠を集めて暴き、ダン・ラガ−は更迭された
    ・民主党・共和党の選挙運動の本部が積極的にブロガ−に情報を流したし、コンサルタント料を支払い、言論を調査しようとしたりした。
    ・ブロガ−の書くエントリ−が、ジャ−ナリズムの一端を担っていると認められた。
     ロサンゼルス記者クラブ(親睦団体)がジャ−ナリズム大賞を出しているが、ブロガ−部門が新設された。
    ・ブログの広告代理店ができている。

    アメリカでのネットジャ−ナリズムの評価は高い
    日本では、ネットを使っている人たちの間での評価は高いが、使っていない人たちの間では低い。
    ブログをやっている人たちの中にスク−プと取った人がまだいないので、(論説は優れているが)スク−プを取れば注目を浴びることができる。

    Q.日本のネットジャ−ナリズムの今後の課題は?
    散乱している情報の中から、隅々にある情報までたどり着くために、いろいろな情報を集めてうまく要約してくれるモデレータ(司会者のようなもの)機能が必要。
    それを人がするのか機械がするのかで、ライブドアは人で、機械だとテクノラティ
    リンク構造を把握して、人々がどういう話題で盛り上がっているのかをチャートに表すブログ分析ツールで、それが情報の中心になり、今求められている形でいずれその形が出てくるだろう。
    アメリカでは今どういうことで盛り上がっているのかを見るのにテクノラティを使う。

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