2005年スペシャルオリンピックス冬季世界大会−長野がはじまるよ!! 【取材記7日目】
スペシャルオリンピックス冬季世界大会のノンスポ−ツプログラムの中にある「グロ−バル・ユ−ス・サミット」
「スペシャルオリンピックス冬季世界大会−長野HPより引用」 「グローバル・ユース・サミット」は、競技に参加しない知的発達障害のある学生と障害のない学生がテーマに沿って話し合い、障害に対する偏見をなくす「教育プログラム」です。14の国・地域から集う学生チーム(1チーム3名で14組)が競技を取材し、新聞を発行するといったプログラムを行います。大会期間中、海外からの学生と地元長野を中心とする学生チーム14組が、障害に対する理解を深めるためテーマを設定して「グローバル・ユース・フォーラム」を開催します。スペシャルオリンピックス国際本部の会長ティモシー・シュライバー氏も出席する予定です。
私が生まれてはじめてメディア席を許された「グローバル・ユース・フォ−ラム」左には地元長野のテレビ局のカメラ、右を見ればNHK ズラ〜っとマスコミ各社が並んでいる中、ひょこっと陣取り、どきどきわくわく胸を躍らせましたはじめてのメディア席でしたが、ハッピ−感に浸る間もなく、次々と登場する有名人に大興奮です
ティモシ−・シュライバ−さんはもちろんご参加なさっていました
スペシャルオリンピックスの創始者でもあるユー二ス・ケネディ・シュライバーさんも途中からいらっしゃいました
SO役員のバネッサ・ウィリアムさん、スペシャルオリンピクス日本の理事長の細川 佳代子さん、田中康夫長野県知事と時間差で登場なさるので、その都度会場はどよめきます
司会は、あの体操の「白い妖精」ナディア・コマネチさんのご主人、バ−ト・コナ−さんですから、ドキドキしっぱなしです
バ−ト・コナ−さんはさわやかでユニ−クで、「コマネチさんでかしたわね」と言いたいハンサムでしたよ
いちばんのクライマックスは、クリントン元大統領の入場の時
会場は一時、何が起こったのかのかわからず、騒然となりました
私も、一瞬あごが外れそうになるくらい釘付けになって、慌ててカメラのシャッタ−に手をやったのですが、みんな立ち上がっちゃった後で遅かりし・・・
でも、クリントンさんはかっこよかったですねぇ
ため息が出るくらい紳士的で「なんで日本の政治家はみんな人相悪いんだろ」と思っちゃいます
海外の人みんなが通訳の入るタイミングに戸惑う中、クリントンさんだけは、きちっとそのタイミングを読んでいたことに妙に感心しました
ラスベガスから来たというアスリ−トの女の子、クリスタルちゃんはそりゃあもう大興奮
「まさか日本であなたに会えるとは思いませんでした。大感激です。」
と真っ赤な顔に手を当てながらも、更に続けて言いました
「知的障害や、脳性麻痺、あるいは車いすが必要な障害がある人でも、ひとりひとりの顔が違うことと何ら変わりありません」
障害は個性だと言った彼女をクリントンさんが優しくハグしていました
うらやましかったです
台湾から来ているアスリ−トをサポ−トしている女の子は、
「クリントンさん、あなたをテレビでしか見たことがありませんでした。
実物を目の前にして感動で何を話していいかわかりません。
スペシャルオリンピックスで、隣に立っている障害を持った彼女と友人になりました。
同じ部屋になって荷物をまとめている時、彼女がこっちを向いて言ったんです。
『ねぇ。私があなたを愛してるって知ってる?』と。
彼女の性格は、愛らしいとしか表現できないんです。」
その愛らしい彼女にクリントンさんは、
「彼女はゴルフをやっていると聞きましたが、彼女にゴルフを教えてもらうことはできるでしょうか?」
と質問し、アスリ−トである女の子は、
「教えるよりひとりでボ−ルを打つのが好きです。」
と答え、サポ−トしている女の子は、
「彼女はあなたよりゴルフがうまいですよ。」
と言い、会場内は大笑い
みんなは大笑いしてたけど、とても素敵な時間に、じんとしちゃった私は、もう歳なのかもしれませんね
エルサドバドルから来た男の子は、
「スペシャルオリンピックスを支援しているすばらしいクリントンさんをハグしたいと思います。」
と言いハグしていました(うらやましい)
そしてその男の子は、
「スペシャルオリンピックスは大きな動きであり、活動です。
周りの人に話し、そして招待してください。
障害を持った人たちをおかしいとか、変だとか言う偏見はまだまだあります。
それが間違っているということが参加することによってわかります。
つまり、人はみんな同じなんだということがスペシャルオリンピックスによってわかるでしょう。」
と話しました
クリントンさんは、会場の多くの子供たちと会話して、
「競技に参加するだけでなく、このようなフォ−ラムが開催されることもすばらしいと思います。
信じてほしいのは、人は善であるということ。
ほとんどの人が正しいことをしたいと思っています。善を尽くしたいと思っています。
誰かが、『障害を持っている人は自分と違うからこわい。こわいから無視する。』と思った時、それは障害を持った人たちと会ったことがない、話したことがない、ハグをしたことがない。
だからちょっと避けてしまう。
これだけのことなんです。」
と話し、「I see you」の挨拶を教えてくれました
私も「この人は障害があるのかしら」と思った瞬間から、「見てはいけない」と思ってしまうひとりでした
でも、彼らは誰とでも話したいと思っています
まず、目を見ることからはじめればいいんだと知りました
長野市内では、各国の選手団の姿をよく見かけます
長野駅の階段を上りかけた時、
「ハ〜イ」
という声がし見上げると、超ハンサムな白人で金髪の青年が私に手を振っています
ひとりぽっちの私は、外人バリに
「ハ〜イ」
なんて言うことは恥ずかしくてできませんでしたが、声をかけられたことがうれしくて楽しくて、笑顔で手を振りました
すると、彼は、「うんうん」と納得したようなほほえみをくれたから、きっとうれしかったんだと思います
私が恥ずかしくて声が出なかったのは、彼が障害があるかどうかなのではなく、単純に自分が英語を話せないから・・・
「英語しゃべりたぁ〜い!!」
と心の底から思う長野です
ナミビアのラファエルという少年が言いました
「スペシャルオリンピックスに参加するまでは、僕は最も傲慢で、自己中心的な人間でした。
最初の何年かは、スペシャルオリンピックスに参加すること自体が自分にとっての挑戦で、アスリ−トの方を手助けしようと思っても、アスリ−トの人は僕ができるだろうと思うことが当たり前にできないんです。
そうすると、『どうしてこんなことができないんだ』とかっかして、その場を去ってしまう。
それくらい僕は傲慢でした。
シンディ、ちょっとこっちに来て!
彼女はシンディで、とても控えめで、僕が言ったことを何でも『はい』と言って対応する人です。
シンディはひたすらがんばってやり抜きます。
彼女から努力の大切さ、誰かに対して尊敬の念も持つことの大切さ、そしてお互いに対して正直であることの大切さを学びました。
僕は、スペシャルオリンピックスが大好きです。
そして、シンディが教えてくれることが、人生においてのかけがえのない教訓です。」
言い終わった時、会場は拍手で包まれました
私はメディア席にいながら、その中でひとりだけ拍手をしていました
でも、どうしても拍手したかったから、大きく響くように拍手しちゃいました
私たちは、もっと交流して学ぶべきだとラファエルは教えてくれました
明日の私は「ハ〜イ」と言えるかわかんないけど、「ハイ♪」くらいなら言えるかも
頬をかすめる長野の風は冷たいけど、ハ−トはとってもあったまった日曜日の午後でした
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