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2005年1月11日 (火)

新潟中越地震に見るマスコミの教訓 【新潟〜取材記2日目】

Aobadai 1日目の取材記はやる気満々モードで書いたけど、
いざ行くとなると、不安だらけになってきました

子どもの頃から旅行らしい旅行は殆どしかことがありません
普段でも、ひとりぼっちではマクドナルドにも入れないし

とにかく知らない土地へ行くということが凄く怖いんです
天気予報を見ると、追い討ちをかけるように大雪だと言ってます
全く知らない人に声をかけるわけだし
しかも、被災なさった方たちの心は
今も尚、傷ついているのかもしれません
そこに質問するのは、人間としてOKなのでしょうか?

色々な想いが混ざって、
私は昨日、気持ちが悪くなってしましました

だけど行かなくちゃ事実を知ることはできないのです
インターネット上には、無記名で書かれているものがありまが、
責任を誰からも問われるわけではないので、真実なのかどうかは怪しいものです
真実を確かめないと、私の発言が嘘になってしまうこともあるかもしれません
私は嘘つきにはなりたくない
だから、どうしても行かなくちゃ!なのです

新潟の長岡駅に着いたのは、ちょうどお昼頃で、
ホテルのチェックインには早い時間です
荷物を預けて、フロントの方に仮設住宅への行き方を教えていただきました

言われた通り、バスにに乗ったら運転手さんが
「今日は道のりが悪いので、このバスは揺れバス」
って言ったんです
「!!!!!」

ダジャレバスにさよならしたのは、40分位経った「ニュータウンセンター」というバス亭でした
そのニュータウンセンターがどういう建物なのかはわからないまま、
出入り口の前に立った女性に取材第一声をかけました
「地震の時に取材に来ていたテレビ局などが、地元の方々へご迷惑になるような行為をしたとインターネットで噂になっています
それが本当なのかを確かめるために東京からきました」
と言うと
「まぁ、こんな雪の日に大変ですね。ご苦労さまです」
なんて、最初に声をかけた人が
ほんわか対応でホッとしました
そして
「そうゆことは、知りませんねぇ
聞いたこともなですねぇ」
(やっぱりただの噂なのか?)
と思ったけど、よく聞いてみたら
この女性は仮設住宅の方ではないらしい

やはり、避難所にいらっしゃった方じゃないと、
報道陣とのかかわりないのでは?と
仮設住宅へ向かいました

はじめての雪道に埋まりながら坂を上り、
いよいよ仮設住宅へと着きました
はじめて見る雪かき車が、
すごい勢いで雪を高く舞い上げてます
圧倒されながら敷地内へ近づくと、
意外に規模が小さいことに気付きました
人もほとんどいません

雪かき休憩中の男性2人にお話をうかがいました
長岡明徳高校に避難なさっていた山古志村の方たちでした

明るいおじいちゃんお二人も、
さっきの女性と同じように
「う〜ん、そんなことななかったっけどね」
と声を合わせておっしゃっています
「車が道を塞いでいたとか、
駐車場を占領していたとか、
ごはんがないと時に、自分たちのごはんを用意しないで
被災者に配る炊き出しを食べていたとか」
具体例を上げて聞きなおしてみると
「駐車場は校庭だったけど、
ロープを張って他の人ははいれないようにしてあったから。
でも、誰が止めているかなんてわからないからね
言われりゃどかすけどさ
そう言われれば確かに停めてたな」
ほんのちょっとだけ、おじいちゃんの目が怒っているように私には見えました

「ごはんは時間になったら出してくれるから、
みんな寄ってくるよ
そりゃボランティアの人とかも食べられるしな
誰が食べてるかわからんもん
あの人ら(取材スタッフ)が食べててもわからん
そりゃ食べとったろな
ほんでも、余る時もあったしな」
このおじいちゃんのニュアンスでは、
車の件も食事の件も、迷惑の域には達していないという感じです

そのおじいちゃんから、もっと大きな仮設住宅があると聞き、
1つ目の仮設住宅をあとにしました

バスは多い時で1時間に1本
大雪の為に、ダイヤはあってないようなものでしょうし、
おじいちゃんが歩いて行ける距離だとおっしゃるので、
歩きなれない雪道をヨチヨチ歩きだしました

歩きながら、仮設住宅に隣接している普通のお宅の方にも質問してみたり、役所の職員らしき雪かき作業中の方など、10人程同じ質問をしましたが、
どなたも同じように
なぜそんな質問をされるのかわからないといった様子でした
この地区に限っては言えば、誰にも迷惑をかけていないとしか思えません

もっと多くの人に聞かなきゃだめだ
そう思ってもこの大雪じゃ人がいません・・・

それにしても、いつまで歩けば次の仮設住宅が見えてくるのだろう
雪を溶かす為に流される水のせいで、
私のブーツもジーンズも、ぐっしょり濡れています
油断すると、足がずっぽりひざまで埋まる雪で、
つま先の感覚は、とっくにおかしくなっていました

道は雪のせいであるんだかないんだかわからないし
何しろはじめて通る道で
知らない所が目的地というのがストレスでした

階段は坂道と化し、こわくて回り道をし、
車を避けて立ち止まったり、
歩いて20分の道のりが、1時間以上もかかりました

いっぱい歩いて、いっぱい寒かったのに
たどり着いた先は、し〜んと静まり返ってまいす

しばらくの間、途方にくれていると、
ちっちゃなおばあちゃんを見つけました
にっこり笑顔が「となりのトトロ」に出てくるおばあちゃんそっくりです

この仮設住宅も長岡明徳高校に避難なさっていた
山古志村の方たちが暮らしていらっしゃる所でした

他に7人ほど声をかけましたが、皆さん
「ご苦労さまです」
と優しく優しくお答えくださいました

報道陣については
「心配してくださって」
とか
「優しい声をかけてくださって」
と、逆に感謝しているといった様子です

中には
「自分らで山に帰ることはできないから、
テレビに映してもらうと見られるわな。
村が見れるのはありがたかったよ
あの人ら(報道スタッフ)も命がけやな」
と、おっしゃる方もいました

その方はテレビで自分の家がグチャグチャになっているのを見たと、
つらい想いを笑顔で教えてくださいました

「わしもNHK出たよ」
と、かわいらしく照れ笑いをして
「わしは、あん時風呂につかっとったから、
あわててパンツを裏表にはいてな
オシッコする時にできなかったって
孫と笑い話するけどな」
ものすごく明るい笑顔でした
「ま、元気だからな
みんなで仲良く」
と、言うおじいさんの体にはどんどん雪が積もっていきます
「わしんとこのばぁさんなんか、ずっとお茶飲んでワイワイ言うてるよ」
という言葉から、その光景がすぐに想像できました

集会所へ行ってみるといいと教えてもらい、
向かうと、子どもからおじいさんまで、
とにかくひっきりなしに人が出入りしています
そして、皆さん大雪なのにすごい勢いの元気です
笑い声が絶えず、みんな親戚みたい
私のような外の人間にも優しくて、
元気をいっぱいわけてくれます

寒さになんか負けてられない!
力がみなぎってきます

気になる情報としては
「車はいっぱい来てたよ」
「わしなんか、こんな狭い部屋ん中まで、
だめだって言うのに撮られてさ、
押入れも開いてて中が見えてるのに」
という2点だけです

長岡明徳高校には、そんなに取材陣が来ていなかったそうです
天皇陛下や小泉首相が訪れた大手高校は、
すごい人だったという情報を得ました
明日は、そちらの方へ行ってみる予定です

明日の予定が決まったので、長岡へ戻り、
明日の取材のためにお買い物

表がナイロンで裏地があったかぽかぽか記事のズボン
持参したマフラーより何倍もでかいマフラー
髪が乱れてもへーきなニット帽、などなど寒さ対策です
長靴は品切れで買えませんでした
明日の朝、ぐちょぐちょブーツを履くの嫌だなぁ・・・
冷たくて、キーンと頭のてっぺんまで響くことでしょう

窓からは新幹線MAXが見えています
雪は一向に止む気配はありません
でも、もう雪は怖くないよ


本日
各マスコミへの質問状の返事
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