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2005年1月 8日 (土)

性癖を矯正すれば犯罪は減るの? 

性犯罪が著しく増えている現代社会
情報が氾濫し、人々の欲望も多様化しています
人の性癖なんて、何を基準にノ−マルだと判断できるのか、
私には全くわかりません

奈良小1女児殺人事件では、容疑者のの性癖について大きく取りだたされています
再犯だったと判明してからは、ロリコン趣味が叩かれ、
その嗜好を矯正するべきだったという声が聞こえてきます
誰もが、何かしらの性癖を持っていると思うのですが、
矯正されるべき性癖なんてあるのでしょうか?

なんて・・・いっちょまえに書き始めたけど、
取材は大変でした
何もかもがはじめてで、泣きそうになりそうなこと連続でした

美少女アニメが好きだという人たちが集まる秋葉原になら、
カミングアウトしているオタクがいるかもしれない
ロリコンの立場から意見を聞きたくて行ってきました
東京三菱銀行から地下鉄末広町駅までのエリアです

そこに流れる空気は、他の街のものとは全く違っていました
女性ひとり、しかもおばちゃんである私にとっては、
ものすごく居心地の悪い街だと感じました
私を視界に入れようとはしない人たちばかり
私の存在を認めようともしてくれないんです
私は、完全に疎外されていました
インタビュ−なんてとんでもありません
彼らの態度はとてもかたくなでした

顔を見ながらカミングアウトをしている人を見つけるのが無理ならばと、
インタ−ネット上で探してみると、少数のロリコンを見つけることができました
そこで彼らは、同志を求めていました
でも、その言葉はかき消されるように攻撃されています
見ず知らずの人から発せられる言葉は、「死ね」
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」
と画面いっぱいに書かれているところもあるのです

ロリコンは気持ち悪いと私も嫌悪しています
こんな人たちは増えて欲しくないとも思っています
でも、ロリコン以上に、今自分が見つめている画面いっぱいの「死ね」にとてつもない恐怖を感じました
ロリコンを攻撃している人たちを異様だと思います
他人に対して簡単に「死ね」と言い、驚くべきことに、その言葉は支持されていました

インタ−ネット上だけでなく、大多数の人がロリコンを否定し、疎外している現実を知った時、
秋葉原で見たオタクたちの姿を思い出しました
彼らが、脅えたように無言のまま私をはじき出そうとしたのは、
そこが、彼らの唯一の居場所だからではないでしょうか

性癖をカミングアウトしているゲイであるひげガ−ルというお店のオカマ・オデヲンさんは、
「カミングアウトをしていると言っても、親は知ってるか?と言ったら話は別だわよ
ある空間にいるってだけでカミングアウトしてるってこともあるわよね」
と言います
カミングアウトし、社会からも認知されていると思われがちなゲイですが、
2丁目やゲイバ−という空間だけが、彼らの居場所なんですね
本当の意味で、ゲイが世の中から受け入れられているのかどうかは疑問なんだと気づきました

「誰に何と言われようと私は命張ってオカマやってんのよ」
と話す侑季さんの言葉から、地位や居場所を得るために、
彼らが努力してきたことを知ることができます

オカマである彼らは、それを職業とし努力することにプライド持っています
だから、世の中に認知されてきました
オタクである美少女マニアたちは、隠れるようにして秋葉原に集まり、
そこに経済的効果を産むことで、世の中から排除されずにきました
最近では、文化とも言われ、地位も向上しつつあります

でも、その一方で、小林薫容疑者のように繰り返し事件を起こす人がいるのも事実です
文化人
犯罪者
両極端だけど、同じ性的嗜好を持った人です
一体、何が違うのでしょうか?

新宿にいた男性(22歳・学生)は
「イマジネ−ションが足りないんだと思います
犯罪を犯せば、その後どうなるか考えればわかることだと思います」
と言います
確かに、文化人は皆、想像力豊かです
イマジネ−ションを磨けば、犯罪者は減るのでしょうか?

オカマのオデヲンさん(ひげガ−ル)の意見は科学的です
「矯正すれば犯罪は減るでしょ
医学的にねじ伏せてしまえば、物理的には減るでしょ
それが是か非かは置いといてよ
例えば、アメリカの刑務所では、乳幼児に対して性犯罪を犯した人に、
女性ホルモンをうったり、睾丸を除去したりする手術があるじゃないですか?
あれは統計的に減ってるんですよね」

オデヲンさんのお話は、犯罪を犯してしまった者に対する矯正です
ロリコン嗜好の人全てを去勢することは無茶な話です
彼ら全員が、犯罪者ではないからです
幼女の裸を想像することは、犯罪ではありません
イマジネ−ションです
ロリコン全てが殺意を抱いているとは考えられません

ん?殺意?
殺意なんて、私は日常的に抱いています
満員電車に乗った時なんか、迷惑かけてる人がいっぱいいて、頭の中で何人も殺しちゃってます
もちろん、実行するつもりはありません
想像です
私のこの想像を誰かが矯正するのは、「嫌なこった」って感じです

奈良女児小1殺人事件で、小林薫容疑者の部屋からポルノビデオを多数発見したという報道を聞いた時、
そんな男の人はいっぱいいるんじゃないの?って思ったことを思い出します
小林薫容疑者のポルノビデオを見て、オナニ−することを矯正するということは、
私で言えば、電車の中で迷惑をかけている人たちに制裁を加えている自分を想像することを矯正されるということですよね
私は、誰も殺してません
殴っても、蹴ってもいません

私みたいに想像するのは誰でもすることでしょ?
矯正されるべきところは、犯罪という行動を起こしてしまった点ではないでしょうか
それは例えば、かっとしやすい性格や、
他人とうまくかかわりを持てないという社会性だと思います

ロリコンは気持ち悪いです
幼女に対して勃起するおちんちんなんて切り取っちゃえって思います
でも、私はロリコンの人たちに「おちんちん切っちゃえ」とも「死ね」とも言えません
だって、私の頭ん中にはエッチのこともいっぱいあるし
ムカつく人がいれば、殺意を抱くことがあるからです
そのことが、ロリコンと同レベルなのかはわかりません
わかるのは、私のイマジネ−ションは誰にも矯正されるものではないということです


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コメント

こんばんわ、はじめまして。
小粋ユーザーの198といいます。今後ともよろしくです。
中々読み応えありました。
思うんですけど、近年子どもが犠牲になる事件が増加していると言う話しはあちこちで聞きます。
それが、「社会の歪み」であるとかこちらでも書かれているように「性癖」の問題であるとか識者の話しとして取り上げられる記事もよく目にします。
しかし、それって本当に増えているのだろうか?と思うんですね。少女性愛というは最近始まった嗜好でもないでしょうし、それがエスカレートして起きた事件というのも昔からある事なんだと思うんです。
それより何より”劇場型犯罪”というのが増えているように思うのです。
今回の奈良の事件もそうですが、よりショッキングな、より残虐な方向に進んでいるように感じます。それは、取りも直さず事件を報道するマスコミなどの報道姿勢にも問題があると思うのです。こうした犯罪を引き起こす人達は、少年時代とかに苛められていたり、疎外された経験を持つ人達が多いようですが、そういった経験を持つ人達には、いつか見返してやるとか仕返しをしてやるとかと言う感情が鬱屈して歪んだ認識を持ってしまい犯罪に向かうように思います。
世の中を騒がせる事が、あたかもかつて自分を疎外したものへの復讐であるかのような錯覚に囚われているのではないでしょうか?
性癖云々というのは、根源的な解決方法ではないように思います。恐らくもっと根は深いものに感じました。
初めてなのに生意気なことを書いてしまいました。
ワタシも小学一年の娘がいるので、今回の事件には大変にショックを受けたひとりです。

本来ワタシはもっとおちゃらけキャラです。(笑)ウチにも遊びに来てくださいね。

投稿: 198 | 2005年1月10日 (月) 02時22分

はじめての書き込み超うれしいです♪
ありがとうございます
こちらこそ、これからいっぱい仲良くしてください

明日から新潟へ行くので、
198さんちには、帰ってきてからゆっくり伺いますぅ♪

198さんのおっしゃることもすごく頷けます
生意気なんかじゃぜんぜんないです
バンバン書き込みしてくださいね

新宿でインタビュ−した時、22歳学生の男性が
「文化背景から行っても、ロリコンって昔からいたって思うんですよね」
と言っていました
実は、私自身も子供の頃にわいせつな行為を受けたことがあります
相手は、知ってる人もいましたし、知らない人もいます
もう30年以上の前の話です
おそらく女性は誰でも同じような経験があるんじゃないかなって思います
悲しいことですけどね・・・口に出さないだけではないでしょうか

198さんがおっしゃるように、以前よりもエスカレ−トしてきているような気がします
でも、その原因が環境にあるとは簡単には言えないと思うんです
恵まれない幼少期を過ごしても、まともな人はまともだし、
新聞屋さんに犯罪者が多いとも思えません
それは、今までにいろいろな人と出会って接した経験から言えることです

誰がまともなロリコンで、誰が犯罪者なのか、
何をどう見て判断すればいいのかわからない
何かを改善しなきゃいけないって思うけど、
何から考えればいいのかさえわからない
でも、自分だけは見失いたくない
自分をしっかり持っているということが、
とても難しいと毎日感じています

投稿: ぁぃ | 2005年1月11日 (火) 02時28分

こんにちは。私はロリコンに対して「死ね」と思う人間の一人です。ロリコンに同情的な方には異様だと思うかもしれませんが、理由はあります。小学生の時に小児性愛者の攻撃に遭い、10年近く悪夢や解離障害(という病気)、フラッシュバックに苦しみ続けています。常に全身に毒が染みたような感覚と重い頭痛があります。やった人は一時的に勝利感や快楽を得るだけかもしれませんが、暴行された子供は死ぬまでぼろぼろになって苦しんで、事実上終身刑です。

ロリコンと性犯罪者を結びつけるべきでない、ゲイ等の嗜好と同じという考え方は非常に多いですが、私は根本的な違いを感じます。私はゲイではありませんが、誰も同性愛に口を挟む権利はないと考えています。何故なら同性愛は人を傷つける性愛では無いからです。彼らが幸せになるために異性愛でなく同性愛を選ぶことは自由です。小児性愛者は違います。その性愛は、同性愛でなく殺人快楽に似ています。5歳やら12歳の女子は中年男を性愛対象には夢にも考えないでしょう。要するに小児性愛者の目的の実行には、殆どの場合暴行や矯正猥褻という方法がとられるという事です。圧倒的な違いと腕力の差があり、小児性愛者の嗜好の達成は犠牲が伴うのです。暴行の度合が重ければ深刻な後遺症を被害児は一生引きずります。

電車で迷惑をかけている人を一瞬殺したくなる感覚と、小児愛の問題は少し違うように思います。原因があって一瞬沸く怒りと、快楽目的の小児愛でしかもずっと持ち続ける価値観は少し違いますよね。

あと「オタク」文化、外国人の中で愛好されているのは小児性愛モノというより、ドラゴンボールだの宮崎作品やルパンの類です。小児性愛モノは愛好より、日本人を嫌悪していく理由になりがちです。

日本人をバッシングされるネタにされる度に(その指摘が正しいからこそ)、また世界中にその姿を広める小児性愛者に対する憎しみがわきます。一瞬でもその嗜好が成し遂げる破壊性に気付いて欲しい。
ちなみに純粋なロリコンは純粋な死体性愛者に似ています。面白い逃げ道です。

投稿: 時 | 2005年2月 4日 (金) 04時38分

時さん
つらい経験をなさったんですね
私も同じひとりです
そのことがあった場所を歩けなくなり、悪夢をみる
その男の断片的な記憶が紙芝居のように脳裏にちらつく
こどもながらに、こんな自分の傷をいかがわしいと思い、悩んでいることを親にも相談できませんでした
でも、私は殺されなかったので、いろいろな気持ちを修正しながら生きることができています
あの男のことを考えると「死ねばいい」と今でも思います

想像することは止められない
取材を通して出した私の結論です
私の取材記を通して、みなさんがそれぞれ結論を出してくださることが、私の取材のモチベ−ションです

投稿: ぁぃ | 2005年2月 4日 (金) 11時55分

「小児性愛者」というくくり方や軽蔑意識の拡大で差別していけば犯罪が減るのかな?、このことを誰かと考えようとすると小児性愛者やその手先だと思われるけど、小児性愛者を定義してる研究者達を見ていても人間的に信じられない所があるんだ。と言えば反感を買うかもしれないね・・、どうせなら権威的な力を持った正論さえも疑ってもらいたいと思うのです。

心を破壊するような行動や感情が相互に起きることで犯罪という形での表現(手段)が起きていると思うんだ、言論表現の道が閉ざされるからテロなども起きているのではないかって思うよ、何が根本的にいけないのかという所から逃げてマスコミも「小児性愛者」というイメージで済ませているように感じる、そして時間が経つと誰も口にはしなくなり表面的な理解で嫌悪して完結してるけど、事件と関連被害者のミックスされた一般的に自然な感情=(正義感)に簡単に流される事が解ではないと思うんだよ。

投稿: | 2005年7月27日 (水) 03時20分

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