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2005年1月 6日 (木)

性癖を矯正すれば犯罪は減るの? 【取材記2日目】

604 1日目の取材で多く聞かれた声は、
「いろんな人がいますからねぇ」
という言葉です

その通りです
特に東京に住んでいると、見た目でそう感じられる人にもよく出会います

では、おどろどろしいルックスをしていながら、
なおかつ変態と言う同じカテゴリに入れられるおかまさんは、
ロリコンという性癖についてどう思うのか聞いてみたくなりました

幸運なことに私には、ある有名おかまバ−で振り付け師をしていた男性を旦那にしちゃった親友がいるんですねぇ
親友ご夫妻のお陰で、取材をさせていただくことができました

Higethumb
開店前にお邪魔させていただいたのは「ひげガ−ル」
歌舞伎町のど真ん中にあるお店だし、日出郎さんも在籍なさっていたことがあるようだし、
インタ−ネット上で検索すると、かなりの数がヒットするので、結構有名店みたいです

協力してくださったのは、
スリムで美肌なオデヲンさん
身のこなしが上品な侑季さん
ひげは濃いけどベリ〜キュ−トな都砂香 愛さん
です

お店に入る前には、お化粧まみれのおかまおやじや、
目が合うとかたまってしまうくらい美しいおねえさんが登場なさるのかとどきどきわくわくしていましたが、
意外にも、みなさんすっぴんでいらっしゃいました
そりゃそうですよね・・・開店2時間前に来ていただいたのですから
本当にありがとうございます

すっぴんなせいか、1杯入ってないせいか、テ−マがシビアなせいか、
大真面目な空気が流れる中ディスカッションがはじまりました

愛ちゃんなんかは、
「難しい・・・わかんないょ」
と、サブマネ−ジャ−さんにすがっていらっしゃいました
かわいくて、私が抱きしめてあげたくなっちゃったけど、拒否間違いなしでしょう

私の予想では、ロリコンに対する考えは、街行く普通の人々と変わりないだろうと思っていました
アブノ−マルな性癖と言っても、相手が同意するかしないかという点で、
ロリコンとゲイでは全く違った種類のものだからです
ところが話してみると、性犯罪者に対する意見は、一般の方々よりもずっと厳しいものでした
それは、職業差別を受ける上に、競争の激しい仕事をしている彼らの生き様がしみこんだ意見です

当事者であるゲイの人たちは、ロリコンとゲイとは全く違うと思っていても、
世の中では「変態」というカテゴリ−に一緒に含まれてしまうので、
余計に性犯罪を嫌悪するのかもしれません

性犯罪を犯した者には、ホルモン剤を打ったり去勢したりという刑を行う国もあります
オデヲンさんはその話をした上で、
「重罪犯罪を犯したのだから、そういうことされても仕方ないと思う
それだけのことをしたんだから
人間は、自分のケツは自分で拭くべき」
と言います

「自分のケツは自分で拭け」
OL時代の私の頭をよくよぎっていた言葉です
オデヲンさんのこの言葉には、説得力があり、
きっとオデヲンさん自身が、この言葉を噛み締めながら生きてきたのだろうと思いました
ちょっと惚れそう・・・

個人的には、私、おかま好きです
だって、彼女たちは性別を超えた人の幅みたいなものを持っているでしょう?
人の痛みがわかって思いやりがある
だから人としてすごく魅かれます

侑季さんのお話にはそんな優しさが出ていました
被害者や被害者を取り巻く人々に立って、
「小林薫容疑者は、絶対許してはいけないし、世の中に出てきてもらったら困る
人の命の重さをもっと・・・
私たちは、この仕事を命を張ってやってるし、
人からあ〜だこ〜だ言われても、この道を貫いているわけだし、人を傷つけてもいない」
物腰がやわらかい侑季さんですが、この言葉からとても強い人なんだとわかります
強くないと生きていけないんでしょうね
仕事が彼女を強くしたのでしょうか?
性癖が彼女を強くしたのでしょうか?

「どこからかロリコンなのかわからない」
と言うのは愛ちゃんです
ディスカッションの中では、ロリコンと言われる性癖の対象となるのは初潮前の女性
「初潮過ぎたら、若い女性って気がする」
とオデヲンさんが言って、私も納得しました
18歳未満でも、性交渉をしている女性はいっぱいいます

以前私は、30代後半、会社経営のSM愛好者と話したことがあります
彼は、女子中学生を相手にSMプレイをしていました
その女子中学生は、彼の命令でボディピアスや刺青を施しましたそうです
中学生という若さで、それをしていいかどうか判断する力があるの?と疑問に思った私は、
命令した彼のことを今でも嫌悪しています

その例を挙げてみたら、
「それは彼女の自己責任」
と、ぐっさり斬られちゃいました
確かに、自分は自分で守るべきなのだから、
中学生ならそのくらいの判断はできるのかもしれません
ただ、若さゆえの熱い感情が、その判断力を弱めるのではないかとも思います
女子中学生に恋愛感情があったなら尚更です
私にも恋愛に突っ走った時代がありましたからね

それにしてもオカマが発する「自己責任」という言葉には説得力があるものです
イラクの人質事件で議論されたものとは違う、重みのある「自己責任」に感じます
あの事件当時、自己責任を穿き違えた大人がいっぱいいると知って不安に思いました
そんな大人たちが、自分の子供たちに自己責任たるものについて教えることができるのでしょうか

自分の体に対しての自己責任
それを意識しなければ、はっきりと「No」と言うことができない
自己責任を取らないって、加害者だけでなく被害者にもなり得るということなんですね

イラクの人質事件に於ける自己責任についての議論はうやむやのまま終りましたが、
自己責任についてもっと考える時が、間違いなく来ていますね

取材に協力していただいたひげガ−ルズのことが、あちこちのblogで取り上げられています

お客で行った時のお店での様子が書かれているのは

川茂図誌〜三代目の苦悩と道楽さん

おもしろかったのは、おかまさんが、男の友人などに「自分は男が好きだ」ということをカミングアウトしたとき、
それを聞いた男が「自分が好かれたらどうしよう」と危ぶみ避けたり露骨にイヤな顔をするのが許せないという話。
そりゃそうだ。

この部分、すごく興味深いです

取材中、話題にのぼったカミングアウトについてはとても考えさせられました
カミングアウトと一口に言っても、どこまでがカミングアウトなのか?
という点です
お店という空間の中ではカミングアウトしていても、親は知ってるかと言えば、そうでない人もいる
実際のところ、「ご近所さんも知ってますよ」くらいの本当の意味でカミングアウトができるほど、
世間で認知されていないんだと痛感します
そもそも性癖なんて人様に発表することのほうが特異ですよね

それでも、職業として選んだからには、そこではオカマに徹している彼らの姿があります

PUBLICITY(自由な言論はどこにある?)さん

これもコマ劇場付近で、特に週末の夜など、「ひげガー
ル」というお店の派手なジャンパーを着た、身長180センチ
以上の、おっぱいのでかい客引きたちが「あらー、おにいちゃ
んたち遊んでいこうよぅ」と野太い声をかけて寄ってくる。彼
らの足がまた細くて長いんだ。でも行ったことはない。なんと
いうか、ディズニーランドでミッキーマウスに遭遇した感じ。
ちょっと違うか。

!Pura Vida!さん

帰り、コマ劇場付近で「ひげガール」(ゲイバー?)の
呼び込みさんを見かけた。あれが噂のひげガールか。強烈だ。
男のひとが傍通ると無理やりちゅーしてくるらしい(相方談)。
女の子にはちゅーしてくれないのか。頼めばしてくれるのか。

のように、歌舞伎町の中をおかまの集団が練り歩く光景を目にすることがあります
それは、すさまじい光景です
ひげガ−ルの店長さんとは面識があるので、
「声をかけられたらどうしよう・・・」
とビビるくらいの迫力なんです

でもその迫力こそが、彼女たちのプロ根性だと思います
指をさされようが、笑われようが、その姿はエンタ−テイナ−なのです
その生き様を知ったなら、
「世の中にはいろんな人がいますからねぇ」
では片付けられません
「同じ変態なのに、ロリコンを差別するんだ」
と責めることも私にはできません
そこには誇りがあるからです

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コメント

トラックバックありがとうございます。
貴重なウェブサイトだと思います。
お体に気をつけてくださいね!

竹山徹朗

投稿: 竹山徹朗 | 2005年1月13日 (木) 02時00分

竹山徹朗さん ありがとうございます
新潟はすごく寒くて、大雪の中バスを待って風邪をひいちゃいました
今はちょっと弱気ぃ・・・

投稿: ぁぃ | 2005年1月16日 (日) 01時33分

この記事へのコメントは終了しました。

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